アジア市場の拡大を追い風にする企業や、生産自動化・省力化などで世界の潮流に乗る企業など、今の社会状況をもとに旬な銘柄を選定する「日興ストラテジーセレクション」。10月号では、シャッター業界最大手の「三和ホールディングス」が新しく加わりました! 同社の投資ポイントをチェックして、銘柄選びの参考にしましょう。
シャッター業界世界トップクラスの三和ホールディングス
「 三和ホールディングス 」はシャッター業界最大手で、重量シャッター、軽量シャッターともに首位のトップ企業。主力製品である軽量シャッター(主に店舗出入口や住宅車庫に設置される)の国内シェアは50%超を占めています。
海外展開も積極的に推進し、1996年からは米国や欧州でシャッターやドア、ガレージの業界トップクラス企業を次々に買収。また、ドアなど他の金属建材においても多角化を積極的に進め、北米・欧州のシャッターやドア業界においてトップクラスのポジションについています。
売上好調! シャッターに吹く2つの追い風
現在、三和ホールディングスにはシャッターの需要増という追い風が吹いています。
シャッターのニーズが増えている理由の1つには、都心部の規制緩和やインバウンド需要の拡大によって、大型の再開発が相次いでいることが挙げられます。ビルや工場などの入り口には、防火や防犯を目的としたシャッターが不可欠です。同社では、顧客のニーズに応じて柔軟に対応できる施工技術者を全国に配置しており、再開発による多様なシャッター需要を引き受けられる体制が大きな強みになっています。
2つ目は、2016年6月より、防火設備が新たに定期検査報告制度の対象になったためです。この制度により、シャッターなどの防火設備が正常に動くかどうかを毎年点検し報告することが求められるようになりました。そのため、同社のメンテ・サービス事業に対する需要は高く、同分野の売上は6期連続で増収となっています。今後もサービス収入や、部品・製品交換の増加が見込まれ、収益に貢献することが期待されます。
2期連続の最高益更新に期待
こうした国内の追い風と、積極的な海外展開を背景に、2018年3月期は売上高・営業利益ともに過去最高を更新。シャッター・ドアなど「動く建材のグローバル・メジャー」としての競争力を強化するべく、2018年に入ってもM&Aを通じてグローバル拡大を図っています。
2018年4~6月期決算での売上高は、前年同期比、国内で+4.5%、北米が+1.7%(外貨ベース+6.8%)、欧州では+23.5%(外貨ベース+12.2%)と好調。景気拡大を背景に住宅着工が増えている欧米でのニーズと、国内ニーズの高まりを見ると、これからが楽しみな企業のひとつと言えそうです。
自然災害で株価に明暗
三和ホールディングスを加え、10月の「日興ストラテジー・セレクション」は全部で22銘柄となりました。7~9月期に大雨や台風など自然災害に見舞われた日本では、海外需要に強みを持つ企業とインバウンド需要に強みを持つ企業とで、株価は明暗を分けました。
中国・アジア需要がけん引
9月末時点で株価が好調なのは、「 ピジョン 」「 ヤマハ 」「 花王 」「 ダイキン工業 」です。
「 ピジョン 」は、2~7月期の上半期実績で会社計画を上回る増収増益となったことが株価を押し上げました。赤ちゃん関連市場の成長が著しい中国をはじめとするアジアでは、可処分所得が増加しています。また、衛生意識も高まっていて、哺乳瓶や乳首などのベビー用品売上が好調に推移しています。
「 ヤマハ 」は、4~6月期の楽器売上が中国や北米において2ケタ成長となるなど好調に推移し、営業利益は前年同期比14.6%となりました。また、ベトナムでは楽器を実際に演奏して学ぶ「器楽教育」のメリットを音楽教育現場に広める方針で、8月末にハノイ国立教育大学と協力覚書を締結。アジアでの需要増で同社に追い風が吹いています。
北海道地震の影響も
一方、株価が軟調に推移しているのは、「 セイノーHD 」「 共立メンテナンス 」です。
「 共立メンテナンス 」は4〜6月期に売上高が前年同期比7.5%、営業利益が同1.7%増となるなど、訪日外国人旅行者の増加に伴うホテル事業が好調をキープしています。しかし、9月6日に発生した北海道地震の影響を受けた同社。ラビスタ函館ベイ(北海道函館市)など3ホテルの営業停止の発表を受けて株価は下落しています。一部サービス限定で営業を継続していた北海道内のドーミーインは、14日より全てのホテルにおいて通常営業を再開しました。インバウンド需要の回復を期待したいところです。
10月に除外となった銘柄はありません。
今回のテーマで取り上げた上場企業
三和ホールディングス
ピジョン
ヤマハ
花王
ダイキン工業
セイノーHD
共立メンテナンス