投資で1億円以上の金融資産を築き上げることに成功した、通称「億り人」。投資家なら誰でも夢見る“億万長者”に、投資手法や持っている銘柄などを直撃取材! “億り人”願望満々のカエルくんが、根掘り葉掘りうかがいます。
株のことをたっぷり話してくれた億り人のかぶ1000さん。ところでご自宅には気になるコレクションがそこここに……。株券や宝石、ピンバッジなどなど、気になる秘蔵コレクションを大公開してもらいました! 株式投資だけでなく、日常生活でも貫く「バリュー投資」的お得なライフスタイルは必見です。
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「投資家は資産額によってやるべきことが違う」
ところでカエルくん、毎月の支出ってちゃんと把握していますか? 携帯電話や動画サービス、フィットネスジムの会費……毎月支払いが発生するのに使っていないサービスとか、あるのでは?
言われてみれば……アレとかコレとか、気がつくとイロイロ契約しちゃってますー。
株式投資では銘柄選びも大切ですが、「資産額によってやるべきことが変わる」ことを覚えておいてください。株式投資で仮に10%の利回りが期待できるとしますよね。元手が100万円なら10%は10万円ですが、1億円なら1000万円です。当たり前ではありますが、元手が大きいほうが、同じ利回りでも利益の額が大きくなります。
10万円の利益だと一度、海外旅行したらなくなっちゃいますね。
そうなんです。だからこそ資産がまだ小さいうちはなるべく元手を増やすことを考えたほうがいいんです。一度契約すると毎月支出が発生するようなサービスは無駄遣いになりがちだし、逆に言えば、忘れているのに支出が発生するような業種は儲かりやすい。一度契約してもらえば、定期的な収入になり収益が安定しやすいからです。
チャリンチャリンと毎月売上が入ってくれば、経営は安定しますよね。そういえば、「チャリンチャリンビジネス」はwww9945さんやDAIBOUCHOUさんも投資テーマとして注目しているとおっしゃっていました。
私たちがついつい無意識にお金をチャリンチャリンと落としてしまいがちなビジネスは、会社や投資家からするとチャリンチャリンとお金が入ってくる美味しいビジネスなんですね。私、かなりカモになっている気がします。
日常生活と株式投資って結構リンクしていて、学べることがたくさんあるんですよ。目指すべきは賢い投資家、さらには賢い消費者になる事だと思います。
家に帰り次第、契約中のサービスを総点検したいと思います!
資産の少ない人は「日常の5%」を考える
あと覚えておいていただきたいのは、日常生活には5%程度の利益(割引)を狙える場面がたくさんあるということです。2008年のリーマン・ショックの後では――
かぶ1000さんが2001年以降で唯一、年間収益がマイナスになった年ですね。
2008年はありえないことが各市場で起きました。J-REITでは一部の銘柄で利回りが20%を超えていたり、株式市場でも配当利回りが10%を超える銘柄がありました。その時、私は千載一遇のチャンスと思い、家にあった金券や家財道具などを売って株を買いまくりました(笑)。また、昔、格安で買った金(コイン)・プラチナもその時に売りました。
キラキラ! 金の地金(じがね)ですね。
金(コイン)はそごうで買ったんです。そごうは現在はセブン&アイ・ホールディングス傘下ですが、2000年に経営破綻したことがあります。経営破綻をきっかけに金券ショップではそごうの商品券が暴落したんです。それを見て私は逆にチャンスと思い、何かこの商品券で買えるものはないかと調べました。するとなんと金が買えることが分かり、暴落した商品券で金を買いました。5%を遥かに超える割引率で金が買えたのでまさに錬金術でした(笑)。あと景気が悪くなると、節約志向が強まるので金券ショップが賑わいます。とくに時代背景からテレホンカードがその時はマイブームでした(笑)。
携帯電話が普及して、テレカはめっきり使わなくなりましたよね。
そのため500円のテレカが地方だと300円くらいで買えました。ところが東京では415円以上で売れたんです。しかも、地方だと絵柄にかかわらず値段が同じことが多かった。アイドルやアニメ、競馬など、マニアが多い絵柄のテレカなら高く売れるかもしれないと思い、ネットオークションにも出してみました。すると500円以上で売れる物もあり、これはいけると思いました(笑)。最高価格は1枚のテレカがなんと40万円で落札されたこともあって、ビックリしました!
300円で仕入れたテレカが40万円……! 1000倍以上ですね!
もちろんこれらの事は簡単にまねはできないかもしれません。ただ5%程度なら日常でも十分節約できる機会はたくさんあります。例えば行く予定のお店が決まっていて株主優待を実施しているお店なら、オークションや金券ショップで事前に優待券を手に入れておくんです。とくに使用期限が近くなると金券も安くなります。期限前日だと半額になることもありますから超お得です!
株主優待のあるお店なら、使わないと損ですね。
私の日常生活はこうした細かい節約と工夫の積み重ねです。配当利回りは高くても5%程度だし、株で得られる平均的な期待収益率は7%程度です。でも日常生活には5%程度を確実に稼げる(節約)場面がたくさんあるんです。みんな「株の5%」には気を配るのに、「日常の5%」は見落としがちです。ましてや高額品ならなおさらです。
現金は株を買うため。日常ではなるべく使わない
かぶ1000さんのご自宅、高価そうなものが多いです。このソファも座り心地がとてもいいですね。
「マラルンガ」というソファでカッシーナ・イクスシーで販売されてます。実はこのソファ、受注生産品なのですが、お客さんの都合でキャンセルになった物なんです。普通なら200万円以上するのですが、キャンセル品ということもあり格安で【値段は秘密】で買えました。高額品ほど、買い方を考えることで大きな効果があります。
そんなにお得に……! 他に安く買う秘訣はありますか?
なるべく現金で買い物をしないようにしています。現金だと常に100%ですよね。当たり前ですが1万円で1万円分の消費しかできない。でも、クレジットカードなら1~2%程度のポイント還元があるのでその分節約になります。優待券や商品券を安く手に入れることでも節約することができます。ただし、株だけは現金でないと買えない(笑)(最近はポイントで買える証券会社も出てきてますが)。あとはオークションも現金でしか払えないですね。
オークションにも参加しているんですか?
この指輪は3ct(D、VS1)のダイヤモンドリングですが、同じぐらいのランクのダイヤモンドリングを有名ブランド店で買うと恐らく3000万以上します。このダイヤはオークションで買ったのですが、予想落札価格のカタログ掲載ミスがあったのと、同じ日に別の目玉商品があったため、競る人がおらず格安で買えました。お店で買う価格の10分の1ぐらいの価格です(笑)。
宝石も金やプラチナと同じく現物資産として保有されているんですね。本質的価値を見極めて割安に資産を獲得する……まさにバリュー投資ですね! しかも、保有している間はこのキラキラを味わえるなんてうらやましいです……!
実は世界的に見ると日本はダイヤモンドが割安で買えるんですよ。そのため最近はインド人や中国人の参加者も増えて落札価格も上昇傾向です。先日なんかは150万円からスタートなのに、いきなり500万円! って声が出たりして(苦笑)。オークションは徐々に競り上がって行くのが楽しいのに(笑)。
「クレイジーキャップ」と万博
このピンバッジのコレクションも将来の値上がりを見込んでいるんですか?
最初は値上がり目的もあったのですが、今は純粋に楽しんでいます。万博に行くと、言葉が通じなくても、ピンバッジの交換を通じて、いろんな国の人と交流できるんです。2010年の上海万博では現地の新聞に載りましたし、2015年のミラノ万博では帽子にたくさんピンバッジをつけていたので、スタッフから「クレイジーキャップ」と呼ばれました(笑)。
よっぽど目立っていたんですね。
上海万博でもミラノ万博でも、最初はそれほどピンバッジは人気がありません。なので、例えば開幕記念のピンバッジがあった場合は大量に買っておきます。そのうちにどの万博でも必ずピンバッジのブームが起きるんです。その頃には開幕記念のピンバッジはもう売り切れて手に入らないので、希少価値が出て、価格も高騰するので、人気のピンバッジと交換しやすくなるんですよ。
人気が上がる前にピンバッジをゲットして希少価値が上がったころに、それを元に人気のピンバッジと交換するなんて……。これもまさにバリュー投資ですね。
そうですね。本質的価値を見極めて、割安なタイミングで獲得するという手法は、株や現物資産に限らず、日常生活にも通じるところがすごく大きいと思います。
しかもピンバッチに関しては、ピンバッジの交換を通じて世界中の人と交流できる。集めたピンバッジ1つ1つにそのときの思い出が詰まっています。とっても楽しいですよ!
倒産企業の株券は自分への戒め
こちらは何のコレクションなんですか?
倒産した会社の株券です。今では電子化されてしまいましたが、以前はこうして紙の株券が発行されてました。山一證券、マイカル、アーバンコーポレイション、拓銀、長銀、三光汽船など――。どれも今は倒産してしまった会社です。上場廃止となるとき、記念で1単位だけ買ったり、オークションで買ったりして集めました。
どれも文字通り、「紙切れ」ですよね。
もちろん今は株式としての価値はゼロです。ところが、この「なみはや銀行」の株券は1株単位だった事と、上場廃止直前100円以下まで下がったので、たくさん買いました。つまり株券1枚を100円以下で手に入れたんです。後日、それをオークションに出したらなんと1000~2500円ほどで売れてビックリしました(苦笑)。
テンバガー(10倍株)ですね!
ただ、それは例外的で基本的には株券は記念品ですね。裏を見ると株主の移り変わりが見られます。個人であったり銀行であったり、「最後にババをつかんでしまったのは誰だったんだろう……」とストーリーを想像することもできます。それに倒産した会社の株券は自分への戒めでもあります。ビクター・ニーダーホッファーをご存知ですか?
伝説の投資家ですね。それまでものすごいパフォーマンスをあげていたのに1997年のアジア通貨危機で全財産を失ったという……。
ニーダーホッファーはタイタニック号の絵をたくさん自宅に飾っていたそうです。「絶対に沈まない」と言われながら、沈んだのがタイタニック号でした。日本でも絶対に潰れないだろうと思われながら潰れた会社はたくさんあります。慎重に選んだつもりの銘柄でも、潰れるリスクはゼロではない。ニーダーホッファーがタイタニック号の絵を飾ったように、僕にとってのタイタニック号の絵がこの倒産した企業の株券なんです。
かぶ1000さんほどのレベルになっても謙虚なんですね。
お話だけでなく貴重なコレクションまで見せていただきましてありがとうございました! 「バリュー投資とは何たるか」を株式投資以外の側面からも学ぶことができました。もはや「バリュー投資」は株式投資にとどまらず、日常生活も貫く、かぶ1000さんの生き様ですね。かっこいいです……!
私も日常生活の5%も大切にして元手を増やして、億り人を目指したいと思います!