2018年の東京株式市場も本日が最後。平成も残すところあと数ヵ月となりました。そんな中、日経平均株価は約27年ぶりの高値をつけたことで、1989年のバブル相場と比べられる局面も多くなってきました。実は平成が始まったころは日経平均株価が4万円近くあったということをご存知でしたか? そこで今回は、日経平均株価とともに約30年の平成の株式相場を振り返ってみたいと思います。
(この記事は2017年11月17日配信の記事を更新したものです)
平成の6大相場
平成の株式市場を大きく分けると、以下の6つに区分けすることができます。
②金融機関の連鎖破たん
③ITバブルとバブル崩壊
④小泉郵政相場
⑤リーマン・ショック
⑥アベノミクス相場
①日経平均3万8915円 〜バブル経済のピークと崩壊〜
1989年から始まった平成の時代。資産価格の上昇と好景気などを背景に株価はうなぎ登りとなり、日経平均株価は1989年末に史上最高値3万8915円を付けました。いわゆるバブル時代の絶頂期です。この頃は、夜間なかなかつかまらないタクシーを止めるために1万円札を振る光景がよく見られたというほど、景気が良い時代でした。
しかし、浮かれ気分もつかの間、実体経済以上に買われていた資産は売られ、ついにバブルは崩壊してしまいました。4万円近くまで上昇していた日経平均株価が、わずか1年余りで半値にまで下がってしまうほど急激なものでした。また、株価だけでなく、不動産やゴルフ会員権などの価格も暴落し景気は悪化。平成の「失われた20年」が始まったのです。
②日経平均2万円 〜金融機関の連鎖破たん〜
日経平均株価が再び2万円台を回復するなど、バブル崩壊の影響が一巡したかに見えた1996年。しかし、株や土地など様々な資産価格が下落した影響は長引き、金融機関の抱える多額の不良債権が大きな社会問題となりました。また、1997年4月から消費税率が引き上げられた(3%→5%)こともあり、ますます景気は悪化。こうした景気の悪循環などにより、金融機関が相次いで破たんし、四大証券の一角であった山一證券が自主廃業に追い込まれてしまいました。
③日経平均1万円割れ 〜ITバブルとバブル崩壊〜
1999年から2000年初頭は、いわゆる「ITバブル」と呼ばれた時期です。パソコンや携帯電話、インターネットの普及により、ヤフーなどIT企業の株が大きく買われ、株価が急上昇しました。じつは、ネット専業証券が台頭してきたのもちょうどこの時期です。いまでは当たり前となったインターネットによる株取引ですが、当時はまだ電話や店頭での注文が大部分を占めていました。
2000年に日経平均株価は2万円台をつけたものの、実態を伴わない企業の株価まで上昇するようになり、急速にITバブルは崩壊しました。そんな中、2001年9月11日に米国で同時多発テロが起きたことで投資家心理がさらに悪化。翌日には、日経平均株価は節目である1万円を割り込みました。その後も株価の下落基調は続き、2003年4月にはなんと7607円まで下落してしまいました。しかし、これでも「平成の最安値」ではありませんでした。
バブルとその崩壊が強く印象に残っている人ほど、「株式投資はギャンブル」という人が多いかも。でもバブルに乗ること自体は悪いことではない。大事なのは、自分が許容できる範囲のお金で、「損切りルール」などを設定して冷静に投資をすること。
④日経平均1万8000円回復 〜小泉郵政相場〜
こうした中、日本株を復活させたのは、小泉純一郎首相(当時)による郵政解散でした。郵政民営化という争点に絞った解散総選挙で自民党が圧勝したことで、規制改革などが一気に進むとの期待が高まり、株価は大きく上昇。景気回復も続き、ITバブル崩壊後からこの時期にかけては、戦後最も長い景気拡大期間(73ヵ月)となりました。また、資源高や中国株の上昇なども追い風となり、日経平均株価は2007年7月に1万8261円をつけました。
⑤日経平均バブル後最安値7054円 〜リーマン・ショック〜
記憶に新しい不況の大きなきっかけと言えば、リーマン・ショックです。米国の住宅価格の下落をきっかけに、借金の返済能力が少し低い人々が借りるサブプライムローンが不良債権化し、この証券化商品を保有していた世界中の金融機関が多額の損失を被ってしまいました。中でも、米リーマン・ブラザーズが経営破たんしたことで株価が大幅下落し、日経平均は2009年3月にバブル後の最安値7054円をつけました。その後、半年ほどで株価は持ち直しましたが、2010年のギリシャの財政危機や2011年3月の東日本大震災などから本格的な上昇には至らない時期が続いていました。
⑥日経平均2万4000円へ! 〜アベノミクス相場〜
こうした中、足元まで続く上昇相場のきっかけとなったのは、2012年12月から始まったアベノミクスです。日本銀行による「異次元緩和」によって、マーケットに資金が大量に供給されたほか、法人税の引き下げや賃上げの促進など「脱デフレ」を促す政策が相次ぎました。海外では、英EU離脱やトランプショックなど大きな節目となる出来事もありましたが、日経平均株価は一時2万4000円に達し、約27年ぶりの高値を回復するなど上昇基調を維持しています。
株価も新時代入りへ
日経平均株価が3万8915円→7054円→2万4270円とジェットコースターのように上下した平成の日本株市場。いまちょうどバブルからの下り坂を半分登った折り返し地点にいることがわかります。2018年末には一時1万9000円を割り、世界景気の先行きに対する懸念が台頭していますが、次の時代ではどうなっていくのでしょうか。これまでの歴史を踏まえつつ、新しい時代の株価を考えてみるのも面白いかもしれませんね。