ROEで読み解くダイキン工業

水曜日はROEをトコトン!/ 日興フロッギー編集部サヌキナオヤ 

「ROEで読み解く花王」を読む
自分の知っている企業の株を買いたいけれど、その中で何を基準に選んだらいいのかわからない。そんなときは、まずはROEが高い企業に着目してみましょう。ROEとは、「Return On Equity」の略称で、日本語では「自己資本利益率」または「株主資本利益率」と言います。ROEは1株あたり利益(EPS)を1株あたり自己資本で割ることで計算でき、5%、10%というようにパーセンテージで表されます。日本企業の場合、一般的に8%が資本効率の1つの目安であると言われ、それを上回ると資本効率が良いと判断されます。

ROE(%)=1株あたり利益(EPS)÷1株あたり自己資本×100
(ROE(%)=当期純利益÷自己資本×100)

企業の財務体質と課題対応力をチェック!

高ROEで財務体質が良好な企業は、一般的に投資家から高く評価される傾向があります。そんな高評価の企業でも、政府による政策変更などにより、一時的に業績が悪化し、株価が落ち込むことがあります。今回は、そうした好財務企業が業績悪化の原因に対して迅速に対応しているケースについてご紹介します。

case4:ダイキン工業

今回取り上げるのは、ルームエアコンや空気清浄機でおなじみの「 ダイキン工業 」です。エアコン市場では国内トップ、世界でも中国の格力電器と首位を競っています。「空調のスペシャリスト」として、世界150ヵ国以上に展開。中期経営計画では、2020年度に売上高2.9兆円、営業利益3480億円を目指しています(2017年度実績:売上高2.3兆円、営業利益2537億円)。

高ROE・好財務の人気企業

ダイキンのROEは15.7%(2017年度)と、機械セクターの平均である8.6%を大きく上回っています。また、自己資本比率も52.1%と、資本安全性の目安である5割を超えており、投資家からの人気も集まりやすいことがうかがえます。

同社は、2012年8月に米国の空調大手グッドマンを2960億円で買収したり、2016年4月の伊ザノッティ社、2018年11月のオーストリア・AHTクーリングシステムズなど、これまで30社超を買収。空調に関わる会社を積極的に買収しているにも関わらず、借金(有利子負債)を大きく増やさずにキャッシュをうまく活用することで、自己資本比率を高い水準に維持できているものと考えられます。

中国事業が足かせに

しかし、足元では中国事業の失速などから、株価の上値が重くなっています。背景には、米中貿易摩擦による景気減速や、中国政府の不動産取引抑制策により、住宅向けエアコンの売り上げが芳しくないことなどが挙げられます。

売上高全体に占める中国事業の割合は、約17%(2017年度)と決して高くはありませんが、利益率が高く、潜在的なニーズはまだ大きいことが想定されることから、これからも重要な国として位置づけられると見込まれます。同社は、まだ他国で実施していないエアコンの「ネット販売」にも踏み出す予定としており、その結果次第では再び株価は上昇基調に戻るのではないでしょうか。

<ROEの読み解き方3ヵ条>
①これからの業績を考える
②株主還元策を考える
③投資家の心理を考える

今回は、①からダイキン工業を見てきました。中国事業の減速が足かせとなり、一時的に株価は弱含んでいますが、高ROE&好財務企業であることに変わりはありません。そのため、いま同社が実施している対策の成果や、新たなM&Aのニュース次第で、株価は再び上昇基調を取り戻す可能性があります。ROEを支える企業の体質そのものに加え、課題への対応姿勢などもチェックして投資を検討するようにしましょう。

本記事は、ROEを解説するものであり、素材として取り上げた企業への投資を推奨するものではありません。原則として原稿作成時点における情報に基づいて作成しております。また、記載された価格、数値等は、過去の実績値、概算値あるいは将来の予測値であり、実際とは異なる場合があります。投資に関する最終決定はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。