社会の変化の波に乗り業績拡大する企業など、今の投資環境をもとに旬な銘柄を毎月選定している「日興ストラテジー・セレクション」。3月号では冷凍食品の「ニチレイ」と、佐川急便を傘下にもつ「SGホールディングス」が新規追加となりました。両社の投資ポイントをチェックして、銘柄選びの参考にしてみてはいかがでしょうか。
日本の食卓に欠かせない、時短で美味しさを届ける「ニチレイ」
女性の社会進出や単身世帯の増加、高齢化など、社会構造の変化のなかにある日本。家庭の台所事情も変わってきています。食材を洗って切って、炒めて、揚げてという調理ステップは、冷凍庫から出して、レンジでチンに。
そんな家庭の食卓に美味しさを届けてくれるのが冷凍食品業界大手の「 ニチレイ 」です。「本格炒め炒飯」や「からあげチキン」でおなじみのニチレイは、冷凍食品の売上高で国内トップ。口にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
冷凍食品の消費量が過去最高に!
時短メリット以外にも冷凍食品ニーズの拡大要因はまだあります。そのひとつが、「冷力」による食の利便性・安全性の向上です。凍結前の品質を保ちつつ、長いあいだ食材を劣化・腐敗から防ぐことができるため、買い置きができます。
また、調理が簡単な冷凍食品ニーズの高まりは家庭での消費だけではありません。人手不足が課題となっている外食産業では、業務用冷凍食品へのニーズも拡大しています。こうしたことから、国内の1人当たり冷凍食品消費量は増加傾向にあり、2017年は22.5kgと過去最高を更新しました。
消費増税が追い風に? 節約ニーズをつかむ冷凍食品
人々の懐を冷やす2019年10月の消費増税も同社にとっては追い風です。少しでも節約しようという想いから、外食から中食へのシフトで家庭での食事ニーズがさらに高まることが予想されます。
そんな消費増税も味方にしてしまうニチレイですが、主力の家庭用炒飯類の売上数量は、2015年3月期を100とすると2018年3月期は160、2019年3月期は190超になる見込みです(会社予想)。これら主力商品の堅調な推移で、2019年3月期 通期は営業利益300億円(前期比0.3%増)を計画しています。美味しさを追求しながら冷力を武器とする同社に懐をチンと温めてもらいたいですね。
大切な荷物を迅速・確実・丁寧に運ぶ「SGホールディングス」
拡大傾向にある市場といえば、宅配便市場もそのひとつ。佐川急便を中核とする「 SGホールディングス 」にも注目してみましょう。1957年に京都で「飛脚業」として創業したことが原点である同社。いまでは宅配便取扱シェア30%を占める業界第2位の物流企業にまで成長しました。
宅配ニーズの拡大に高いデリバリー能力で応える
EC(電子商取引)市場の成長に伴い、個人宅向け荷物の宅配ニーズが増加。加えて「注文したら明日には手元に」「受取りは○時に」など消費者ニーズも多様化しています。
SGホールディングスは高いデリバリー能力でこれらのニーズに応えています。2万人のセールスドライバーが顧客の課題に合わせたソリューションを提案するというビジネスモデルを展開。365日・24時間対応の全国ネットワークを活かし、デリバリーの取扱個数は順調に伸びています(15年3月期:12億5500万個⇒18年3月期:13億2600万個)。
物流業界で抜きん出る高い収益性に期待!
同社の収益性にも注目です。国内2位のシェアを有する同社は2013年度に「シェア追及」から、1個当たりの荷物の単価や収益性を重視する「採算重視経営」に戦略転換。その結果、デリバリー事業における荷物平均単価は、2012年度の460円から2018年度には549円にアップ。この戦略が奏功し、業界大手のなかでも「日本通運」「ヤマトHD」「セイノーHD」よりも営業利益率は高い水準にあります。
2018年3月期には営業利益627億円で前期比26.8%増と2ケタ増益。2019年3月期の営業利益予想は期初の630億円から、四半期決算発表ごとに上方修正。期末予想は前期比11.6%増の700億円の見込みです(会社予想)。2020年には東京都江東区に大型中継センターを竣工予定で、取扱能力がさらに拡大することや、拠点集約を通じたコスト削減に期待がかかります。今後も荷物と共にワクワク感をデリバリーしてくれるといいですね。
高まるニーズに応えて消費者を魅了!
女性活躍や生涯現役など、働き方の変化は食事や買い物シーンを変化させています。利便性ニーズの拡大で冷凍食品や宅配業に追い風が吹いています。一方で、美味しさや丁寧さなどの満足追求も欠かせません。これらのニーズに対応し、消費者を魅了しているのが今回新規に追加された2社。これからの活躍に注目していきたいですね。
武蔵精密工業は、19年3月期の海外事業に減速感が見られることから、成長性に対する懸念の拡大を考慮いたしました。セイノーHDは、運賃引き上げは順調なものの、輸送貨物量の減少に対するコストコントロールが遅れており、業績への影響を考慮しました。