第13回 2019年度は「改元」関連と「70周年企業」に注目

四季報ひとすじ20年! 達人が教える活用のススメ/ 渡部 清二

「会社四季報」読みこなしの達人である渡部清二さんから、その上手な活用法について教わるのがこの連載です。今回から前編と後編の2回に分けて、2019年度の主なイベントと注目ポイント、その関連銘柄についてレクチャーしてもらいます。果たして、どんなイベントが待ち受けていて、株式市場にはどういったインパクトをもたらすのか、とっても興味津々ですね。
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最大の注目イベントは、新時代の訪れを告げる改元!

−−2019年度の主なイベントとしては、どういったものが挙げられるのでしょうか?

やはり、2019年度における最大の関心事は新天皇の即位と改元でしょう。4月30日(火)、第119代の光格天皇以来、約200年ぶりに譲位が行われて、翌5月1日(水)に新天皇が即位されます。

4月27日(土)〜5月6日(月)まで10連休となることも話題を集めていますが、新しい時代の幕開けということで、国全体が祝賀ムードに包まれて消費も盛り上がる可能性が考えられます。また、“元年婚”や“元年ベイビー”といったことを意識して結婚する人が増えたり、出生率が上昇したりするかもしれません。

「会社四季報オンライン」の検索機能を使えば、レジャー、消費関連、結婚関連、育児関連の銘柄を簡単にピックアップできます。有料会員であれば、最新の四季報の文章を検索できますし、会員でなくても四季報記事の検索から関連銘柄を見つけることができます。

たとえば、レジャー関連では格安旅行の「 エイチ・アイ・エス 」、近畿日本ツーリストを傘下に持つ「 KNT-CTホールディングス 」、消費関連では「 楽天 」、結婚関連では結婚式のクチコミサイトを運営する「 くふうカンパニー 」、ウェディングドレスメーカーの「 クラウディアホールディングス 」、婚礼施設運営の「 アイ・ケイ・ケイ 」、育児関連では乳幼児用品の「 ピジョン 」、紙オムツの「 ユニ・チャーム 」などが挙げられます。

過去を振り返ると、改元の直後には“動乱”の傾向も!?

−−改元が行われると、他にはどのようなことに影響が出てきそうですか?

改元には明るい話題が伴うものが多いものの、その一方で過去を振り返ってみると、いろいろな騒動が起きているのも事実です。明治から大正へと改元された1912年に清王朝が滅びて中華民国が誕生するとともに、グローバルには帝国主義が台頭して1914年の第一次世界大戦へと結びついていきます。

昭和に改元されたのは大正天皇が崩御された1926年12月25日で、その元年は1週間足らずの日数にすぎませんでした。したがって、その翌年が実質的な昭和の時代の始まりでしたが、閣僚の失言や日本最大手(当時)の商社だった鈴木商店が破たんしたことなどが引き金となって、昭和金融恐慌に見舞われました。

そして、昭和から平成へと改元された1989年には、日経平均株価が3万8915円の史上最高値をつけ、やがてバブル崩壊へと突き進んでいきます。国際的にもイラクのクウェート侵攻に伴う湾岸戦争の勃発で、まさに“動乱”の年となりました。

ひょっとしたら、今回も大きな波乱が待ち受けているかもしれませんが、現段階で予測することは困難です。ただ、英国のEU離脱や米中貿易戦争、インドとパキスタンの衝突など、世界的に様々な問題を抱えており、株価や企業業績にも少なからず影響を与えそうですから、注意深くウォッチしておいたほうがいいでしょう。

たとえば、中国との関わりの深い日本企業の業績には、すでに米中貿易戦争の悪影響が出始めています。「会社四季報」を通読しながらコメント欄の記載内容などを見比べると、そういった変化をキャッチできるでしょう。

節目の年なので、記念配や記念商品を出す企業が増えそう!

−−他には、どんなイベントが話題を集めそうですか?

実は、2019年は東京証券取引所が戦後に取引を再開してから70年目の節目に当たります。
東証上場企業の中の137社がこの取引再開の年が設立年となっており、こうした企業は設立70周年の記念配当や記念商品を出す可能性が考えられます。

三機工業
クミアイ化学工業
ヒラノテクシード
栗田工業
太陽誘電
オーバル
トーセイ

記念配当については、「会社四季報オンライン」の「見出し検索」で「記念配」のキーワードを入力すれば、ピックアップすることが可能です。もちろん、紙媒体の「会社四季報」でもこれまでの配当の支払い状況を確認できますし、記念配当の実施が決定・予想されれば、配当の欄に「記」と表示されますのでぜひチェックしてみてください。

引き続き次回も、2019年度に控えている要注目イベントについてスポットを当てることにしましょう。
特に今年の後半には、その後の景気の行方にも大きな影響を与えそうなイベントが控えているので、今のうちから頭に入れておくと相場の急変にも対応できそうです。

<まとめ>
・2019年度最大のイベントは5月1日(水)の新天皇即位と改元!
・お祝いムードで消費やレジャー、さらに“元年婚”や“元年ベイビー”が盛り上がる!?
・ただ、過去の改元直後には“動乱”が起きているので、今回も要注意
・設立70周年の企業では、記念配や記念品にも期待
本記事は、取り上げた企業への投資を推奨するものではありません。原則として原稿作成時点における情報に基づいて作成しております。また、記載された価格、数値等は、過去の実績値、概算値あるいは将来の予測値であり、実際とは異なる場合があります。投資に関する最終決定はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。