イギリスのEU離脱問題にトランプショックと世界的に「まさか!」とのけぞるような事態が次々と起こった2016年。IPOといえば、「買えば儲かる」と 言われることもありますが、今年のIPOはどうだったのでしょう?話題となったLINEのIPO結果は?最も上がった銘柄は?2016年の結果を振り返り、新年の投資へ作戦を立てましょう。
そもそもIPOとは
IPOとは、企業が初めて株式を上場し、一般の人でも自由に売り買いできるようにすることです。例えば、2016年にはLINEが上場しました。上場するまでLINEの株を一般の人は買えなかったのですが、IPO後の今は誰でも売買できるようになりました。LINEは公募価格(投資家が新規に公開する株式を購入する価格)が3300円だったので、IPOに応募して当選した投資家は3300円でLINEの株を手に入れることができました。そしてLINEの初値(上場した時に一番最初についた値段)は4900円。そこで売却していれば50%近い利益が出たのです。
勝率は約8割
では、今年のIPOの戦績を見てみましょう。今年11月末までに上場した企業は69社でしたが、そのうち初値が公募価格を上回ったのは55社でした(REITとインフラファンドは除く)。これは割合にすると約8割です。2015年の勝率は約9割でしたのでやや悪化しています。やはり、株式市場全体の相次ぐ波乱要因に影響されたようです。
とはいえ、それでも約8割の勝率があったことがIPOの強さです。しかも値上がり率が100%を上回った銘柄、つまり株価が倍以上になった銘柄は28%ありました。 さらに言えば、初値の値下がり率は最大で17%と、値上がり率に比べ小さめです。株価が倍になる銘柄は3割近くあるのに下落率は2割もない……。この戦績こそがIPOが個人投資家の興味を惹く理由の1つといえるでしょう。
一番株価が上昇した銘柄
そんな中でも最も株価が上昇した銘柄はグローバルウェイという転職関連情報サイトを運営する会社です。公募価格2960円に対し初値は1万4000円と、株価が5倍近く(上昇率373%)上昇しました。「働き方改革」を推し進める政策の追い風を受けたのかもしれません。このほかにも上昇率が大きかった銘柄を見てみると、ビッグデータ、AI、医療など、時代の流れに乗ったものが名を連ねています。2017年の投資戦略を立てる上でも参考になりそうです。
株式数が最も多かった銘柄
とはいえ、「そんなお宝銘柄はレアだから、なかなか手に入れられないんでしょう?」「IPOで儲けられるのはごく一握りの人でしょう?」とお思いの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、そんなことはありません。IPOは、誰でも応募することができますし、一握りの人だけが儲かるというものではありません。今年上場した企業の中で募集・売出し株式数が最も多かったJR九州をみてください。JR九州の募集・売出し株式数は1億6000万株と、LINEの3500万株、コメダの2670万株を大きく引き離した大型上場でしたが、 2割近く上昇しています(数値は国内外、OA除く)。
こうしてIPOの勝率や上昇率をみてみると、IPOに対して、投資家の興味が高いこともうなずけますね。誰でも応募できるIPO。そして、「まさか!」とのけぞることが多かった2016年でも勝率が8割だったIPO。「どうせ当たらないから……」と思わずに、2017年はチャレンジしてみるとよいかもしれません。
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