マーケットの「温度感」がわかる連載「カエル先生のマーケットハイライト」。前回のカエル先生の一言の通りに大きく反発した9月の日本株市場。どうして株式相場は反発したの? 景気は回復していないのになぜ株価が上がったの? そんな疑問にカエル先生がお答えします!
9月は、米中貿易協議再開の報道や、香港の「逃亡犯条例」改正案の撤回などが株価を押し上げました。景況感は完全に回復していませんが、実態よりもマーケット参加者の目線が下がったことで、株価が反発したものと考えられます。景気が大きく回復したわけではないので、株価の本格上昇はまだ先と想定されますが、個別では割安な株を見つけるチャンスかもしれませんね。
9月は米中協議再開で大幅上昇
9月30日の日経平均株価は2万1755円となり、前月末比1051円高でした。
8月に米中貿易摩擦が激化した状況から一転、9月は米中貿易協議が再開するというニュースなどが株価を押し上げました。また、大規模デモが続く香港にて、行政長官による「逃亡犯条例」改正案の撤回が表明されたことも、先行きの不透明さが払しょくするという期待につながったものと考えられます。
景気はまだ良くないけれど株は買った方が良い?
「悪材料出尽くしは買い」という格言がありますが、まさに9月の相場はそれを表すかのようなマーケットでした。米中貿易問題などから、景気そのものは決して良い環境にあるとは言えません。現在の景気が以前と比べて良くなっているか悪くなっているかをアンケート調査した結果である「景況感」。景況感の速報性の高さや、株式市場でも注目が集まりやすいことは、4月の振り返りでもお伝えしました。そしてその世界の景況感自体はいま、節目の50をまだ下回っている状況です。
「最悪」を織り込んだら、株価は上昇
しかし、景況感が下がっている間に株式市場でもリスクオフ(投資家がリスクを回避し、安全な資産へ資金が向かいやすくなる相場状況)の状態が長く続いたことで、株価自体が大きく下がりました。つまり、投資家の景気に対する目線が下がり、先行きを楽観的に見る人が減っていたのです。
その状況は「エコノミック・サプライズ指数」を見るとわかります。この指数は、エコノミストや投資家の予想する水準に対して、発表される経済指標が上回るとプラスに、下回るとマイナスになります。8月中旬以降、米国をはじめとした主要国において大きく改善していることがわかります。
次の株価本格上昇はしばらくおあずけ?
「最悪」を織り込んで上昇し始めた日本株ですが、油断は禁物です。というのも、世界の景気そのものはまだ大きく改善しているとは言えないからです。あくまでも今回の株価上昇は、過度に悲観的になりすぎた状態から通常の状態に戻っただけと言えます。
株価が本格的に上昇するには、米中貿易摩擦が一部解消に向かったり、あるいは日本の輸出企業にとっては円安の進行などが必要になると思われます。それまでは我慢を強いられる相場展開が続くのではないでしょうか。
もちろん、個別で見れば割安な状態で放置されている銘柄もあります。
かぶ1000さんのように割安に放置されている「ネットネット株」を探したり、はっしゃんさんのように「月次情報」に注目して、銘柄を発掘してみるのも手かもしれませんね。