2020年、次世代モビリティ社会をアピールへ

ニュースの裏事情/ 日本証券新聞

テレビや新聞で取り上げられたニュースの裏側を解説する本連載「ニュースの裏事情」。今回は、来年開催される東京オリンピック・パラリンピックの裏で進められている自動車業界の大きな動きについてご紹介します。

2020年7月、日本の「自動運転」を世界に披露へ

ラグビーW杯が終わり、次は東京オリンピック・パラリンピック(オリパラ)が注目されていますが、このタイミングでマラソンと競歩の開催地を札幌に移転することが決まり大騒ぎとなったのは記憶に新しいのではないでしょうか。そんなオリパライヤーである来年は様々な形で世界から日本の注目度が高まると予想されます。それを見越した日本政府は、オリパラを日本の科学技術を世界に披露する舞台にもしようと、2015年に「総合科学技術・イノベーション会議」を内閣府に設置しました。

「当初は、立体映像やプロジェクションマッピングの技術を高め、オリパラで披露したかったが、従来以上の見栄えのする、アピール力のある技術開発まで届いていない。見栄え重視なら、期待できるのは自動運転かもしれない」(内閣府関係者)

その自動運転のデモンストレーションがオリパラ直前の来年7月6日(月)~12日(日)に行われます。日本自動車工業会(自工会)の主催で「 スズキ 」「 SUBARU 」、ダイハツ、「 トヨタ 」「 日産自動車 」「 日野自動車 」「 ホンダ 」「 マツダ 」「 三菱自動車 」「 ヤマハ発動機 」の10社が自動運転実証を公開し、試乗イベントも行う予定です。

トヨタ社長、会長続投のワケ

自工会は2020年、会長をホンダ出身者に交代する予定でした。しかし、次期もトヨタの豊田章男社長が会長を続投することを決めました。その理由の一つとして、「来年、オリパラというビッグイヤーを迎える。強力なリーダーシップ、求心力のある豊田会長に、自工会の総意としてもう1期やっていただくこととなった」(ホンダの神子柴寿昭会長)と説明しています。

世界に日本の自動車メーカーの技術力を発信する場合、その「顔」は「世界のトヨタ」の社長であることが座りが良いということのようです。また、「トヨタがいると、行政との交渉が楽」(業界関係者)との声もあります。

オリパラ前に業界全体で日本の自動運転技術を世界にアピールし、そして本番ともなればトヨタが前面に出てきます。たとえば選手村での移動は、自動運転EV(電気自動車)「eパレット」が行う予定です。また、聖火リレーの隊列車両には、AI(人工知能)で会話するEV「コンセプト愛i」が使用されます。会場内では「APM(アプリケーションパフォーマンス管理)」や立ち乗りタイプの一人乗りEVも配備するなど、自動車の最新技術をアピールするポイントは多数あるようです。

こうした先進技術をお披露目することで、トヨタや自工会がイメージする次世代モビリティ社会を世界に知らしめ、日本が自動運転などをリードしていこうという戦略です。これからの各社の動向に注目が集まりそうですね。

(出典:日本証券新聞)