カエル先生のマーケットハイライト(2019年11月編)

カエル先生の株式相場プレイバック/ 日興フロッギー編集部平松 慶

マーケットの「温度感」がわかる連載「カエル先生のマーケットハイライト」。日経平均はバブル後の高値である2万4270円の背中が見えるまで上昇してきました。「どうして株価は上がり続けているの?」「誰が日本株を買っているの?」そんな疑問にカエル先生がお答えします!

カエル先生の一言

11月は引き続き米中貿易交渉の進展期待などから、投資家心理が改善し株価は上昇しました。2019年8月にかけて売り越し傾向が続いていた海外投資家でしたが、再び日本株を買い始めたようです。世界の中でも景気敏感株と言われる日本株。景気回復を示すニュースがさらに増えれば、株価上昇が続くかもしれませんね。

11月は景気回復期待で高値更新

11月29日の日経平均株価は2万3293円となり、前月末比367円高でした。
11月7日に米国と中国が追加関税の段階的撤回を発表。その後も米中交渉の進展がうかがえるニュースが相次ぎ、景気がこれから良くなるかもしれないという期待から株価は上昇しました。一方で、香港におけるデモ隊と警察の衝突などを受け、米国の上院で香港人権・民主主義法案が可決しました。これに対して中国は批判する声明を発表。投資家心理がやや悪化し、株価が急落する場面もありました。

バブル後高値の背中が見え始めた

株価そのものの水準を見ると、2018年10月につけたバブル後最高値2万4270円の背中が見えるまで上昇してきました。企業業績の悪化が想定の範囲内におさまりつつあることや、米中の貿易交渉に明るさが見え始めていることなどが株価を押し上げているものと考えられます。

7割のシェアを握る海外投資家

日本の株式市場における売買シェアを見ると、実は海外投資家が約7割を握っています。個人投資家の売買は1割にも満たず、海外からの投資が日本株に大きな影響を与えていることがうかがえます。

カエル先生の一言

海外投資家や個人投資家の売買動向は、毎週第4営業日(通常は木曜日)の午後3時に日本取引所グループの「投資部門別売買状況」で発表されます。一般的に、株価が上昇する局面では海外投資家が買い越し、個人投資家が売り越していることが多いです。

また、アベノミクスが始まった2012年11月第3週以降の買い越し状況を見ると、累積で約24兆円まで買い越していた海外投資家でしたが、2019年8月にかけて売り越し傾向が続いていました。脱デフレ実現の不透明さや、消費増税による個人消費の落ち込みなどを見越して売られたものと考えられます。

世界景気の底打ち感から、足元では再び買い越しに転じている海外投資家。景気回復を示すニュースが増えて、それがさらに鮮明になれば、景気敏感株といわれる日本株に再び資金が流入してくるかもしれませんね。これからも景気の良し悪しをを表す指標や、海外投資家の動向に注目したいところです。