「5G」の制度整備が加速へ

ニュースの裏事情/ 日本証券新聞

テレビや新聞で取り上げられたニュースの裏側を解説する本連載「ニュースの裏事情」。今回は、着々と法整備が進む5G(第5世代移動通信システム)関連企業の裏事情についてご紹介します。

総務省、負担金制度を検討へ

5Gの大容量通信を支える光ファイバー回線を全国的に維持するため、総務省が携帯電話事業者など通信事業者を対象とした負担金制度の設置を検討しているということが報じられました。

既存の固定電話網でも、事業者が携帯電話の利用者から維持費を徴収する仕組みがありますが、光回線でもこうした仕組みを参考にするようです。同時に、政府は事業者に対する税制優遇や予算措置を講じることで5Gの普及拡大を後押しする考えです。

5G関連の物色広がる

いよいよ今春から始まる商用化をにらみ、株式市場でも関連株の注目度が一段と高まっています。この報道に反応したのが、3大通信キャリア以外で唯一、全国規模の光ファイバー網を持つ「 アルテリア・ネットワークス 」。

5G時代に備える大手通信キャリアに自社の光ファイバー網を提供しています。ローカル5Gサービスについても検討を開始しており、会社側は「下半期から来年度にかけて、いくつか実証を行った上でサービス提供の可能性を検討していきたい」とコメントしています。足元では5Gに備えた各動画配信事業者や移動体通信事業者の拡張投資ニーズを取り込んでいます。株価は1月23日に年初来高値を更新しました。

また、1月21日には「 JTOWER 」が大幅高となりました。SMBC日興証券が21日付で投資評価を「1」、目標株価5400円でカバレッジ(※注)を開始したことも刺激となった模様です。

※注:カバレッジ・ユニバース(Coverage Universe)とは、担当アナリストが調査対象としている(カバーしている)投資銘柄のこと。

同社は通信基地局の共用化設備を展開する、日本初の通信インフラシェアリング企業です。立ち上げを進めている屋外のタワー事業のポテンシャルが評価されている模様で、2021年3月期に損益が黒字化し、中長期的に利益とキャッシュフローが成長していくとSMBC日興証券は予想しています。

サムコ 」は5Gで大量に使用される化合物半導体のニーズ拡大に期待が集まっています。昨年末のアナリスト評価をきっかけに人気を集め、現在も高値圏で頑強な株価推移を継続しています。

主に高周波フィルタ用のCVD装置(様々な化学物質の薄膜を生成する装置)や洗浄装置など、類似競合企業が少ない装置の需要増が見込まれ、2019年9月に発表した中期経営計画(2020年~2022年7月期)は上ブレる可能性があると指摘されています。

(出典:日本証券新聞)