カエル先生のマーケットハイライト(2020年1月編)

カエル先生の株式相場プレイバック/ 日興フロッギー編集部平松 慶

マーケットの「温度感」がわかる連載「カエル先生のマーケットハイライト」。いま気になるのは中国から拡大している「新型コロナウイルス」。「株価に影響はあるの?」「いつになったら落ち着くの?」そんな疑問にカエル先生がお答えします!

カエル先生の一言

1月は株価が底堅く推移するなかでも、イラン情勢や新型コロナウイルスがリスクとして意識されました。新型コロナウイルスに関しては、感染拡大が続くうちは株価の低迷が予想されます。しかし、過去の事例からも、感染拡大が落ち着けば株価はすぐに回復することが予想され、急な変動に惑わされないようにすることが肝心です。

1月はイラン情勢と新型コロナウイルスがリスク要因に

1月31日の日経平均株価は2万3205円となり、前月末比451円安でした。
年初は米軍によるイラン軍司令官の殺害を受け、日経平均株価が大幅安でスタート。その後、イランからの報復があったものの、徐々に事態は沈静化したことから株価は反発しました。しかし、昨年末から確認されていた中国での新型コロナウイルスの感染が拡大。1月23日には上海株が急落したことなどを受け、日本株も売りが相次ぐ展開となりました。

被害は2002年のSARSを上回り拡大中

コロナウイルスから思い浮かぶものと言えば、2002年末から2003年にかけて流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)でしょう。SARSは大きな被害を世界中にもたらし、当時32の地域と国で8000人を超える症例が報告され、305人の方が亡くなりました。

足元の新型コロナウイルスについては、1月30日にWHO(世界保健機関)が緊急事態宣言を発表。2月2日に中国保健当局が発表した情報によると、感染者数は1万4380人、死亡者数は304人となりました。まだ中国国内では実態が正確に把握できていないという声もあるなど、しばらくは被害拡大が続きそうです。

一時的な株価急落には注意

一般的に、こうした世界的な感染症が流行すると、人・モノの移動を制限することになるため、世界的に景気が減速する傾向があります。そのため、2002年のSARS流行時も、景気減速を予想する投資家の売りが出て、日本株は航空株や小売業などを中心に、株価が大きく下落する局面がありました。

ただ、各国政府が水際対策を徹底することなどにより、当時は約半年程度で事態が沈静化。株価もそれを織り込むように先んじて回復していきました。すでにSARSよりも被害が拡大している今回の新型コロナウイルス。しばらくは感染拡大などの報道を受けて株価は低迷が続きそうですが、拡大のペースが鈍化し始めれば、株価は反転するのではないでしょうか。

最新のニュースで「歯止め」の兆しを探ろう

投資の格言の1つに「噂で買って、事実で売られる」というものがあります。今回は、その逆のケースですが、投資家の多くが感染拡大を懸念するうちは、売られやすい状態が続きそうです。しかし、どこかで拡大に歯止めがかかったことさえ伝われば、たとえまだ終息できていなくとも、株価は上がりだすことが予想されます。最新のニュースをチェックして、株価下落の「歯止め」の兆しを見逃さないようにしましょう。