フェイクニュース対策、日本も始動

ニュースの裏事情/ 日本証券新聞

テレビや新聞で取り上げられたニュースの裏側を解説する本連載「ニュースの裏事情」。今回は、世界で影響力を増している「フェイクニュース(偽情報)」をめぐる裏事情についてご紹介します。

フェイクニュースを見破る3つの技術

ネットやSNSを媒体とした「フェイクニュース」が近年、世界で問題視されています。拡散力の高さから時に世論操作の目的で仕掛けられることもあり、世界各国で法規制による対策が進められています。

日本では表現の自由の観点から、プラットフォーム事業者に自主的な取り組みが求められています。総務省では昨年から有識者会議を開催しており、2月5日に最終報告書をまとめました。今後、最終的なとりまとめ案が公表されるものとみられます。

対策のカギは、「トラストサービス」と呼ばれる利用者の本人確認やデータの改ざん防止などの仕組みにあります。特に「タイムスタンプ」「eシール」「電子署名」の3つが重視されています。

タイムスタンプとは、電子データがある時刻に確実に存在し、それ以降データが改ざんされていないことを証明する時刻証明書です。また、eシールは組織名の電子証明書を指します。タイムスタンプとeシールについては、発行する事業者などに対し、国として認証制度を創設する方針としており、この先株式市場でも関連銘柄の物色機運が盛り上がる可能性があります。

注目度高まる「タイムスタンプ」「電子署名」関連銘柄

セイコーホールディングス 」は、子会社のセイコーソリューションズが認定タイムスタンプを発行しています。なんと国内の認定タイムスタンプ発行件数の約6割は同社が発行したものです。その数は2013年4月の営業開始から昨年11月末までで累計5億6400万件超に上ります。特に昨年は電子契約サービスの普及により、上期だけで17年の1年分に近い発行件数の推移となりました。

同社のほか、国内では日本データ通信協会(JADAC)の認定のもと、「 アマノ 」「 NTTデータ 」「 TKC 」「 サイバーリンクス 」など6事業者がタイムスタンプを発行しています。このうちサイバーリンクスは、財務省からタイムスタンプを利用したサービスのモジュール開発を受注した実績があり、過去に株式市場でも注目されました。

一方、「 SBテクノロジー 」傘下のサイバートラストは、トラストサービスのための認証基盤「iTrust」シリーズを展開しています。電子署名用証明書やリモート署名などのサービスを提供しています。個人・法人の両方に対応しており、用途に応じて柔軟に組み合わせて利用することが可能。IoT機器向けトラストサービスにも進出しています。

電子署名は「 GMOクラウド 」や「 弁護士ドットコム 」が代表的なサービス提供者です。ペーパーレス業務効率化に寄与するツールとして企業への導入が広がっているようです。不動産業界では「 GA technologies 」や「 AMBITION 」「 メタップス 」などが挙げられますが、メタップスはNASDAQ上場の電子署名サービス大手・ドキュサイン社との協業関係から特に注目度が高いと考えられます。

手軽に情報を集められる社会だからこそ、「本物の情報」を見破るニーズはこれからも増していきそうです。最新の企業動向に注目してみてはいかがでしょうか。

(出典:日本証券新聞)