株価暴落を受けて、緊急アンケートを実施! 今回はチャート分析の専門家・小泉秀希さんに、いま考えておきたい投資家としての心構えや動き方を伺いました。数々の暴落を経験した小泉さんは、今どのように動けばよいと見ているのでしょうか。
①今回のような暴落時の心構え
②何がきっかけで、株価は上昇し始めると思うか
③投資初心者に向けたメッセージ
チャート分析の専門家 小泉秀希さん
「悩むぐらいなら売る。生き残ることが一番大事。」
①今回のような暴落時の心構え
今回のような暴落時には、致命的な損失にならないように対処することが大切です。株を保有し続けるとしても、心配な株は売って、何があっても耐えられる金額の範囲で持つ程度にとどめるということです。
これまでアジア通貨危機、ITバブル崩壊、世界同時多発テロ、リーマン・ショック、東日本大震災など様々な暴落局面を経験してきました。それらを通じて感じたのは、常に無理せずに投資を続けることが大事であるということです。そして、とにかく生き残って、次に来るチャンスを待つのです。
私は今回の暴落の中、ゼロベースで検討し直し、本当に欲しい株はどれか、いくらなら買いたいか、ということを吟味しました。とは言っても、全体の投資資金の1~2割程度です。このため、株価がどんなに揺らいでも動揺せず、下がったら「安く買えてラッキー」と思える状態でいられました。
損切りした後に、株価が急上昇したケースなんてたくさんあります。しかし、それ以上に「損切りして良かった」と思うことが多いので、私としては「悩んだら売り」を徹底しています。
調べぬいて考えぬいて、どう考えても将来的に大きく伸びると思える会社の株を持っているなら、ほどほどの金額分だけ持ち続ければいいと思います。そんな素晴らしい株だと分かっているならば、パニックの中で慌てて売る必要はないですし、むしろ買い増ししてもいいでしょう。ただし、どんなに株価が乱高下しても目をつぶってやりすごせる範囲の金額にする必要はあります。
②何がきっかけで株価は上昇し始めると思うか
今回に限ってはチャートやテクニカル指標で底打ちを判断するのはリスクがあると思います。
一般的に、東証一部の25日騰落レシオが60%を割り込むと、強い底打ちシグナルとして意識される傾向があります。過去25年間で10回出て、9回は概ね底をとらえることができました。失敗した1回は、リーマン・ショック前の2008年1月のみでした。
東証一部の25日騰落レシオとは、上昇している銘柄と下落している銘柄の25日間の割合を示すもので、相場の過熱感を表す指標の1つ。一般的に、120%を超えると過熱感のシグナル、70%を下回ると売られすぎのシグナルと言われています。
ほかにも、出来高が通常の何倍かに膨らんで急落する「セリング・クライマックス」など、いくつか底打ちのシグナルがありますが、今回はことごとくそのセオリーが打ち破られています。
株価上昇のためには、新型コロナの収束が見えることと、そのときに金融危機(金融機関の倒産など)が起きていないことが条件になるでしょうか。
③投資初心者に向けたメッセージ
投資家として生き残ることが一番大事です。お金が減ってしまっても、生き残ることができればまたチャンスはめぐってきます。30年間振り返ると、いつもそうでしたし、多分、これからもそうでしょう。