カエル先生のマーケットハイライト(2020年3月編)

カエル先生の株式相場プレイバック/ 日興フロッギー編集部平松 慶

マーケットの「温度感」がわかる連載「カエル先生のマーケットハイライト」。欧米を中心としたコロナウイルスの感染拡大などから、一時日経平均株価は1万7000円を割り込みました。「これから何が起こるの?」「株価はいつ落ち着くの?」そんな疑問にカエル先生がお答えいたします。

カエル先生の一言

3月はコロナショックに加えて、原油価格の下落も投資家心理を悪化させる要因になりました。いったんは落ち着きつつあるマーケットですが、これから想定される「雇用の急速な悪化」「業績見通しの不透明化」「追加の金融・経済対策」などに注意しておくと、投資の役に立つかも。

3月は金融・経済政策が次々に出された

3月31日の日経平均株価は1万8917円となり、前月末比2225円安でした。
2月に引き続き、株価は大きく下落しました。ただ、3月は新型コロナショックだけでなく、原油価格の急落も株価下落の要因となりました。中旬には米国の中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)が、1.00%の大幅利下げと量的緩和の再開を発表。米国の2兆ドル規模の景気支援策なども追い風となり、いったん株価は上昇する場面も見られました。

これから起こるかもしれない3つのこと

いったんは落ち着きを見せつつある株価ですが、これから以下のようなことが起きる可能性があることを頭の片隅に入れておきましょう。

1.雇用の急速な悪化
2.業績見通しの不透明化
3.追加の金融・経済政策

1.雇用の急速な悪化

足元でありとあらゆる人・モノ・金の移動が止まりつつあることで、特にサービス業を中心に資金繰りが苦しい状況となっています。日本ではまだ大規模な人員調整などは行われていない模様ですが、米国ではすでに失業者が急増しています。

3月26日に米労働省が発表した「新規失業保険申請件数」を見ると、過去最高の328万件もの申請があったとのこと。リーマン・ショック後のピーク時でさえ66万件程度だったことを考えると、今回のコロナショックがいかに急速な雇用悪化に繋がっているかがうかがえます。

こうした状況を受け、いまマーケットでは明日(4月3日)に発表される毎月の米雇用統計に注目が集まっています。週明けの日本株市場も要注意と言えそうです。

2.業績見通しの不透明化

4月以降に相次ぐものとしては、3月期決算企業の決算発表があげられます。一般的には、過年度について業績の結果を公表し、新しく始まっている年度(現時点での2020年度)の業績予想を発表するところが多いでしょう。

しかし、現状では国内だけでなく海外においても、いつ新型コロナウイルスの流行が収まるか予測が困難な状況です。そのため、ほとんどの企業は業績見通しについては「未定」とすることが予想されます。投資家が最も嫌がるのは「不透明」であることです。このため、赤字の決算や今期業績を「未定」とすることによって、マーケットにさらなる不透明感が漂う可能性については考えておくべきでしょう。

3.追加の金融・経済対策

大規模な金融・経済対策を発表しても、ウイルスの流行に終焉の兆しが見られない場合は、マーケットが追加の政策を催促する雰囲気になることがあります。つまり、株価が下落することを通じて、投資家から「このままでは対策が足りない!」というメッセージを発することがあるのです。

逆に言えば、十分な対策が打ち出されれば、それが株価反発のきっかけになることがあります。そうした局面では、新たな政府の施策などに注目するとともに、株価が直近の高値を超えるかどうか等に注目してみましょう。

いずれにしても、まだ世界の景気の先行きが見えない今は、我慢の時間帯といえます。ドルコスト平均法などをつかって、リスクをおさえた投資を心がけましょう。