花き業界をサポート!? 2027年「花博」開催へ

ニュースの裏事情/ 日本証券新聞

テレビや新聞で取り上げられたニュースの裏側を解説する本連載「ニュースの裏事情」。今回は、需要が落ち込んでいる「花き(見て楽しむ植物のこと)」をめぐる裏事情についてご紹介します。

「花き」のニーズ喚起へ

新型コロナ感染対策の影響で、「花き」の需要が急減しています。春は卒業式や送別会、お彼岸など花の書き入れ時です。江藤 拓農水相は3月6日の閣議後会見で、「花いっぱいプロジェクト」を始めると発表。ホワイトデーに花を贈ったり、胸ポケットに生花のコサージュを挿したり、地方公共団体や関連団体へは庁舎や職場で花を展示することなどを呼びかけました。

野菜の価格が著しく低落したときには、「野菜価格安定制度」に準じて補給金が交付されますが、花はこの対象品目に入っていません。したがって、このように国民に呼びかけて需要喚起するしかないようです。また、生花・園芸業界の政治力が弱いという側面もあるようです。ちなみに江藤農水相は自民党のフラワー産業議連幹事長で、同議連は2014年に成立した「花きの振興に関する法律」を推進しました。

なお、花銘柄には生花の祭壇設営や卸・物流を行う「 ビューティ花壇 」や観葉植物レンタルの「 ユニバーサル園芸社 」、葬祭関連の「 こころネット 」、生花卸のアートグリーンなどが挙げられます。

2027年、横浜の「花博」に期待

花き産業の振興に関しては、もう一つ話題があります。2027年3~9月に「国際園芸博覧会」が横浜で開催される予定です。1990年に大阪で開催された「花博」を横浜でやるという構想で、場所は旧米軍上瀬谷通信施設。その跡地は約242ヘクタールで、みなとみらい21地区の1.3倍もあります。この基地跡地の再開発の起爆剤として、園芸博を行うというのが横浜市の思惑のようです。

「上瀬谷基地の返還と再開発は、菅 義偉官房長官が横浜市議のころから携わっていた問題だった。今も林 文子市長と連携して、上瀬谷再開発にかかわっている」(横浜市幹部)

園芸博の招致は2019年9月に国際園芸家協会(AIPH)から開催承認を受けていますが、国が開催する国際博覧会(認定博)に格上げすべく、政府と調整を行っている最中とのことです。

「横浜市は園芸博の費用を600億円程度と見積もっている。実際には半分ぐらいで済みそうだが、その財源として地元財界から40億円を集めねばならない。が、日産や日揮HDなど地元企業からの寄付は期待しがたい。そこで横浜市は、カジノの収益で上瀬谷開発の資金を賄うという皮算用をしている」(前出・幹部)

ただ、カジノ構想はここへきて“ハマのドン”と称され地元に影響力のある横浜港運協会会長に加え、“神奈川県政のドン”梅沢健治元自民党県連会長もカジノ反対を表明。そうなると、園芸博の開催がおぼつかなくなるのではないでしょうか。

(出典:日本証券新聞)