悪材料が止まらない! 億り人が見たコロナショックのリアル【前編】

億り人緊急座談会/ かんちDAIBOUCHOUwww9945DUKE。

日常を一変させた新型コロナウイルス。先の見えない状況が続く中、あのカリスマ個人投資家たちは今、何を考え、どう行動し、将来を考えているのでしょうか? 外出自粛で直接会えなくてもZoomがあるっ! ということで、4月23日(木)、4名の億り人さんに集まってもらい、緊急座談会を開催しました!

コロナショック、億り人さんはどう動いた?


皆さん、時間を調整していただいてありがとうございます! 新型コロナウイルスの影響でお集まりいただくのが難しいので、今日はZoomで語っていただければと思います!


DAIBOUCHOUさん、背景が……(笑)。


せっかくのZoomなので背景をオーロラにしてみました(笑)。


Zoomらしくって、すてきです!
さて2月後半以降、新型コロナウイルスの感染拡大で株式市場が大きく下落しました。皆さんにも大きな影響があったのではないかと思うのですが……。一番印象に残っている日はありますか?


私はひどい目にあいました。一番印象に残っている日は2月28日(金)ですね。この日、25日騰落レシオ(値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の比率から市場の過熱感を見る指標)が70を切っていて、日経平均も2万1000円を割ったんです。そこで結構買いを入れてしまって。信用取引も使って1億円分ほど買ったのですが、それからわずか半月で日経平均は4000円も下がってしまった。


余力を使い切ってしまったんですね。


寝て起きたら状況が悪化する日々。どうやって現金を作るか――そればかり考えていました。持ち株がみんな下げる中、信頼できるのは「 東京海上ホールディングス 」だけ、みたいな(笑)。


www9945さんよりは遅いですが、私も3月9日(月)から3月12日(木)までで、資金をすべて使って買ってしまった。日経平均が大底をつけた3月19日(木)には買えませんでした。買えないというか、旅行に行っていたんですけどね。旅行中にニュースを見たら「えらいことになってるな」と。


かんちさんもこの相場の中で買われたんですね。株を売って現金化はしなかったんですか?


現金化は1円もしてないですね。むしろ口座の資金全部を株にしました。株価の下落ほど配当は減らないので。優待と配当をもらいつつ、何年でも耐えるだけですね。


さすが優待&高配当株がメインの投資家さんですね……!

DUKE。さんだけが暴落を予期していた


私は1月末くらいから売り始めていましたが、「現金化を急がないと」と危機感を強めたのが3月6日(金)。産油国の減産協議が決裂し、金融危機が起きるんじゃないかと思い、3月9日(月)~12日(木)に現金比率を50%まで高めました。私史上、いちばん高い現金比率じゃないですかね。早い段階から処分を始めていたのは、DUKE。さんの警告を見ていたこともあります。


2月ころから「ブラックマンデー(1987年の株式市場大暴落)と同じに見える」とブログなどに書いていたんですよ。だから僕自身も2月25日(火)から早々に株を売り始めていました。とはいえ、まさかここまでになるとは思わなかったですね。


20年以上、株をやっていますが1ヵ月で株価指数が30%も下げるなんて見たことがない。


DUKE。さんは暴落をどうやって察知したんですか?


株価指標を構成する銘柄の強さを個別に見ているんです。2月の米国株市場では、株価指数は上がっているのに、構成銘柄は弱い銘柄が過半数でした。指数だけが乖離して上がるのは急落前の典型パターン。「これ、暴落が来ちゃうな」と思っていたのが2月。でも、まだ半信半疑でしたけどね。


私は、SARS(サーズ、重症急性呼吸器症候群)やMERS(マーズ、中東呼吸器症候群)のように局地的な出来事だろうと思っていましたね。そう考えた人が3月上旬に買っちゃっていたんですよね。


単なる調整だったら2月末から3月初旬に買うのが正解だったはずなんです。ここまでの暴落はまったく予想できなかった。


「調整」ではなく「暴落」だとどうすればわかるのでしょうか?


株価指数が20%下落すると大体「下落トレンド入り」といいますよね。これにスピードが加わると「暴落」ですかね。


なるほど。


ただ、株価指数が5~10%下がったときに、それがここで終わる「調整」なのかまだ続いて「暴落」になるのかは誰も確信を持てない。さっきも言ったように、私も半信半疑でした。だからこそ、5~10%ぐらい下がったときに、それが20%の暴落になる可能性を常に考えておく必要がありますね。

コロナショックは100年に一度の暴落


かんちさん、最近、「優待クッション」(株式市場が急落しても、魅力的な株主優待を設置する会社は株価が下がりにくいこと)って効かなくなってませんか?


効かないですね。「優待クッションが効くのは調整、効かないのは暴落」なんだと思います。あと、もともと優待銘柄は上がりすぎていた傾向もありましたから。


2008年のリーマン・ショックは「100年に一度」の暴落と呼ばれましたが、今回のインパクトはそれ以上ですか?


コロナショックもまた「100年に一度」レベルですよね。


www9945さんが話していた騰落レシオもそうだし、日経平均PBRが1倍を大きく割り込むことはないだろうと言われていたのに0.8倍まで下がった。しかも、「セオリー崩しの暴落」。通常の暴落相場でのセオリーとは逆の「バリュー(割安)株が売られてグロース(成長)株が上がる」という動きも起きています。


あと、コロナショックが恐ろしいのは、あとからあとから悪材料が出てくること。ある広告系の会社の株を持っていたんですが、1月には5000円台だったのが2月末ぐらいから急落し、「いい銘柄だけど仕方ないな」とルールに従って3500円あたりから売ったんです。そしたらその後、取引先がお金を払えない状態になっていて特別損失を計上するとのリリースが出た。株価は売ったところから、さらに半分以下に。命拾いしたというか、「株価は常に正しい」と思いました。後になってわかるんですけどね。


株価は材料を織り込んでいるんですね。


そうなんですよね。


コロナの影響を受けなさそうな業種も下げていますよね。心の病を患った人向けの訪問介護を行なっている「 N・フィールド 」も年初から半分くらいになったし、コロナの影響で「安全域」が小さくなっているなと思います。上がる銘柄がほんのわずかしかない。

飲食系銘柄を買うならいつ?


私は「街角ウォッチ」で銘柄を探すことが多いんですが、このような異常時こそ役立ちますね。買い物のついでに街の様子を見てみると、あきらかにおかしい。百貨店は全滅だし、ほとんどの居酒屋は20時閉店。開いてるお店には「なぜ、我々が営業を続けるのか」と決意表明が書いてありました。それだけ自粛への同調圧力が強いんでしょう。


株主優待銘柄でも、コロナの影響を受けやすい飲食系はひどいですね。


3月の既存店売上は前年同月比でざっくり50%くらいの印象です。


4月はもう一段ひどくなる。それが予想できるから株価が下げているんでしょうけど。


4月は全休のお店も多い。前年同月比10%なんて飲食店も出てくるかもしれない。


夕食のために「餃子の王将」へ行ったら、その店はお酒の提供が19時まででした。18時55分に慌てて駆け込んできた男性が「ナマ3杯! 餃子2枚!!」って(笑)。


ファンが多いんですね。だからなのか「 王将フードサービス 」は3月の月次も悪くなかったですね。売上は前年同月比96.5%。コロナの影響を感じさせない数字でした。


かんちさん、今、このタイミングで飲食系の優待銘柄を買うのはどうなんですか?


飲食業がいちばんまずい状態になったときが、いちばんいいタイミングだと思うんですけどね。飲食系の上場企業が2社、3社と潰れ、「次はどこだ」と市場に疑心暗鬼が広がるようなタイミングです。


倒産は悲しいですが、まさに投資格言「人の行く裏に道あり花の山」ですね……!

ウィズ・コロナを投資家目線で分析する


一方で、テイクアウトのお店は好調ですよね。先日、渋滞ができていて警察官が交通整理していたので、何かと思っていたらマクドナルドの行列でした。


日本マクドナルドHD 」は東京都など13都道府県で店内飲食を禁止にしましたね(編集部註:取材時)。3月は休校で行き場のなくなった中高生のたまり場となっていた店もありましたから、仕方ないでしょう。


休校とテイクアウトの相乗効果なのか、3月の日本マクドナルドは前年同月比0.1%のマイナスにとどまっていました。外食で減った分がテイクアウトや出前、スーパーに流れているんでしょうね。


僕は嫁から「食費を追加してくれ」って言われましたよ(笑)。


子どもも旦那も家にいるから、普段より食費がかさみますね。


ネットスーパーが大人気で、枠が埋まってしまっているそうです。


生鮮宅配の「 オイシックス・ラ・大地 」も宅配サービスの入会受付を一時停止していますね。あとは、うちの子が休校中なので「 ジャストシステム 」のスマイルゼミに申し込んだら教材が届くのに2週間かかった。通常なら2、3日だそうです。申し込みが殺到しているんでしょうね。

いま必要なのは「世の中に銘柄を合わせること」


どんな状況になっても伸びる業界、上がる銘柄は少なからずあるんですよね。緊急事態宣言がいつ解除されるのか、わかりませんが、私たちに今できるのは「世の中に銘柄を合わせていく」ことだけ。今であれば「プレ・コロナ」の銘柄を売却し、「ウィズ・コロナ」、「アフター・コロナ」のご銘柄を増やしていくことですよね。私も、暴落当初は苦戦しましたが、いまは「ウィズ・コロナ」「アフター・コロナ」の銘柄はもう含み益がでています。


すでに株式投資を始めていてコロナショックで損をし、落ち込んでいる人がいるかもしれません。でも、兼業投資家であれば、いくらでもやり直しがきくんですよね。また元手を作ればいいだけですから。あきらめたら、そこでおしまい。あきらめずに投資を続け、経験値を積み上げ、楽しんで実践できる人が、将来の成功を手にします。下落相場の後に待っているのは上昇相場。株式市場はこのサイクルはずっと繰り返しています。今のうちに投資力を磨き、準備していた投資家だけが、次の上昇相場で儲けられるんです。


なんて力強いお言葉……! コロナの終息はまだ見えない状況ですが、上がる銘柄もあるようですし、どんな銘柄が上がりやすいのか、とても気になります……! 後編では皆さんが今、注目している銘柄を教えてください!