新型コロナウイルス対策として配られる、給付金10万円の使い道が話題になっています。その一部でもいいので、投資に回してみませんか? 今のうちに株式市場へ種をまいておけば、将来もっと大きな金額になるかもしれません。今回は「億り人さんのポイ株!」番外編として、給付金10万円で買うならどの株がいいのかを、スゴ腕投資家・はっしゃんさんにお伺いしました。「月次分析」を駆使して、「コロナ特需」か「実力」なのか見極める投資法は必見です。
実績の伴う「ウィズ・コロナ」銘柄に投資する
お久しぶりです! 先日はインタビューで大変お世話になりました。月次情報を分析しながら成長株に投資する投資手法に共感する読者がすごく多かったです!
それはよかったです。
はっしゃんさんが紹介してくださった銘柄はほとんど上がりましたね……!(※) そんなスゴ腕投資家のはっしゃんさんにぜひお伺いしたいのですが、今は株の始めどきだと思いますか?
はい。いまはリーマン・ショック以来、10年に一度の株を買う好機。長い目で見れば買い場だと思いますよ!
3月の安値を更新する「二番底」への懸念も根強く残っていて、株を買うのに不安を抱く人もいると思うのですが、この点についてはどう思われますか?
私自身は2月に一度、持ち株をすべて売って、日本の感染者数増加が落ち着き始めた4月下旬に再び株を買い始めました。コロナショックは「10年に一度」の大暴落。ピンポイントで大底を狙って買う必要はありません。銘柄をきちんと選べば、業績がひどく悪化する懸念は小さく、二番底が来ても大崩れするリスクは小さいはずです。
長期投資のスタンスで、少し下がっても気にせず1年後、2年後の値上がりをじっくり待てばいいということですね。資金を投じて長期的な成長を待つ。まさにはっしゃんさんが得意とする「スロートレード」ですね!
新型コロナ対策で10万円の給付金が出るので、これを機会にフロッギーで株を始めてみようという方も増えると思うんです。そんな中で、はっしゃんさんでしたら、10万円でどの株を買うのか教えてください!
銘柄選びの前提となるのは「ウィズ・コロナ」。これまでの過剰な利益至上主義や東京一極集中、オフィスを軸にした働き方など、日本のあり方がこれから変わっていくでしょう。そのときに恩恵を受けるセクターが出てきます。
10万円で始めるなら、コロナによる社会の変化で恩恵を受ける銘柄に長期投資するのがよいでしょうね。テレワーク関連は、かつてのITバブルを思い出させるような株価の動きとなっています。ただ、期待があっても実際の業績の伸びが伴わなければ安心して持てない。月次の売上や利益、決算などを見ながら判断していくことになります。私が選んだのはこの10銘柄です。
ポイント1.月次情報をチェックアパレル関連で月次プラスは2社だけ。中でも「ワークマン」に期待
月次で大きく明暗が分かれたのは小売、中でもアパレル関連です。緊急事態宣言が出された4月の月次がプラスとなったのは2社だけ。「 ワークマン 」と「 西松屋 」です。あとは前年同月比50%減程度まで落ち込んでいる会社が大半です。
なぜ、この2社だけが強かったのでしょうか?
ロードサイド中心に展開しており、営業を継続できたことが大きいのでしょう。
人が密集しやすい駅ビルや繁華街の店舗は軒並み、臨時休業でした。郊外のロードサイド型店舗は開いていたんですね!
ワークマンと西松屋を比較すると、西松屋は企業価値を高めるような新規事業などがあったわけではなく、単なる特需と考えています。コロナ前まで、月次売上も飽和状態でした。一方、ワークマンは新業態の「WORKMAN Plus」で企業価値が高まり「第2の成長期」へ突入していたところへコロナの外出自粛でちょっとした逆風になって株価も下がった。それでも同業他社より好業績を維持できていますから、投資チャンスになるのではと思います。
単なる特需か、今後も成長が見込めるかは、月次情報でコロナ前後の推移を見るとヒントになるのですね!
ポイント2.「伸びる会社」と「沈む会社」をセットで考える「外食から内食へ」が追い風になるのは「クックパッド」
外食関連も月次を発表する会社が多いですよね。「 日本マクドナルドホールディングス 」は好調だったようですが。はっしゃんさんのリストには入っていませんね。
マクドナルドについては、一時的な特需が主因だと考えています。他の飲食店が閉まっているから、マックのドライブスルーで買おう、という感じですね。お肉の量を増やして、今までの「昼食向け」から「夕食向け」への拡大も行なっているという新しい取り組みもしているのですが、マックはすでに外食日本一。成長余地が限られているのが難点です。
そうすると外食関連は厳しいですか。
「伸びる会社」を考えるときは、「沈む会社」をセットで考えるんです。外食は厳しいですが、一方で伸びるのが「内食」。弁当を持ち帰ったり、自宅で作ったり、あるいは材料をデリバリーしてもらったり、「外食から内食へ」という流れも活発になるでしょう。
だから「 クックパッド 」がリストに入っているのですね! 私も毎日、クックパッドのレシピを見ています!
ポイント3.テンバガーを狙うなら新規事業に取り組む割安株クックパッドの新事業・クックパッドマートの成否に注目
クックパッドは今までは「レシピ屋さん」でしたが、「クックパッドマート」というネットスーパー事業を2018年に始めており、コロナで改めて注目されています。「レシピ込みのネットスーパー」となれば他社との差別化もできますよね。
知りませんでした。自宅ではなく駅などの拠点まで配送し、あとは利用者が自分で取りに行くんですね。スーパーに行く必要がなくなるのでとても便利そうです!
クックパッドの株価は高値から10分の1まで落ちています。クックパッドマートが新しい食品流通のスタンダードとなれば、株価が10倍になる可能性も十分あります。ただ、一般的に新規事業は成功する確率が低い。決算できちんと数字を見ていく必要があります。
憧れのテンバガー……!
クックパッドマートの成長次第なので不確実性も高いですが、もともとPBR1.4倍と割安水準ですから下値リスクが小さく、10倍を狙えるのではないかと考えています。株式投資でいちばん美味しいのはクックパッドのように割安に評価されている会社が新規事業などで急速に人気化することなんです。WORKMAN Plusを始める以前のワークマンがそうだったように。
食品宅配の「オイシックス」は成長ペースがUP
食品の宅配でいえば「 オイシックス・ラ・大地 」もリストに入っていますね。
オイシックスも期待しています。今期予想が9.8%増収、21.6%増益と成長ペースが上がっています。クックパッドマートとオイシックスが競合しながら、生鮮ECが伸びていくことを期待したいです。
「マンションから戸建てへ」が追い風になるのは「オープンハウス」「カチタス」
テレワーク関連では、変化球的ですが戸建て住宅が面白いかなと思っています。自宅で仕事していると、近所の目や環境が気になります。先ほどのように「伸びる会社」と「沈む会社」をセットで考えると、「マンションから戸建てへ」の流れが生まれるのではないかと考えています。
テレワークなら都心に住む必要がないですし、広くて庭付きの戸建てを求める人は増えそうですね!
戸建て住宅の販売で成長力が高いのは「 オープンハウス 」。また地方を中心に展開し中古住宅を販売するのが「 カチタス 」。この2社はこれまでのマンション需要も取り込む形でコロナを追い風にするのではとシナリオを描いています。
インターネット通販なら「千趣会」「スクロール」「エニグモ」
なるほど……! 外出自粛中、インターネット通販を利用する人も増えたと思います。EC関連はいかがですか? リストにはニッチなイメージの銘柄がありますね。
ところが、小さなところへ向けると面白い会社があります。たとえば「 千趣会 」。カタログ通販の「ベルメゾン」の会社です。
老舗の通販会社ですよね!
本業の通販売上は回復しつつあるのですが、千趣会のPBRはわずか0.4倍なんです。
とても割安な水準ですね! なぜですか?
コロナの影響でブライダル事業が大きく赤字になってしまったんです。結婚式ができなかったためです。でも、コロナが落ち着いて延期された結婚式ができるようになれば、株価は一気に上がる可能性があります。
本業の完全復活とウェディングの回復が待ち遠しいですね。
もう1社は「 スクロール 」。生協向けのカタログ通販を中心とする会社です。以前は「ムトウ」という社名でした。ここもPBRは0.5倍台。赤字なわけでもないのに割安水準です。ここは月次売上を開示しているので、毎月の数字を確認しながら投資できます。業績は大きく変わらずとも今の割安な水準が是正されるだけで株価が上がる可能性があります。
すでに割安なら、さらに売り込まれるリスクは比較的小さいともいえますね。
あとは「BUYMA(バイマ)」を運営する「 エニグモ 」。ここは成長企業なのでPBRなどは割高な水準ですが、コロナによるインターネット通販の需要拡大に期待するなら、というところでしょう。
増収増益を続ける「チャームケア」「アンビスHD」
残り2社「 チャーム・ケア・コーポレーション 」「 アンビスHD 」はいかがですか?
介護老人ホームやホスピスはニーズが高く、新設すれば満室という状況なのですが、人件費の高騰が課題になっていました。コロナ不況で買い手市場になると収益性が高まり成長が加速することも考えられます。そこで注目しているのが関西を中心に有料老人ホームを展開する「チャームケア」。増収増益を続けています。
毎年、最高益を更新しているんですね!
終末期に特化した医療施設型ホスピスを展開する「アンビスHD」も成長中で、競合が少ないのも魅力です。コロナでも介護の必要な人の数は減りません。これが、例えば葬儀屋さんだったら、死ぬ人の数が増えても葬式ができないので、コロナはマイナスになるのですが、介護施設や終末ケアは欠かせませんからマイナス要素ではないんですね。ただ、感染リスクのイメージのため、成長株としては割安になっています。投資対象として魅力的だと思います。
10銘柄への投資方法は3パターン!
いろいろな視点で10社を紹介くださり、ありがとうございました! 10社に1万円ずつ分散投資したいと思います!
無難なのは10社への分散投資ですね。でも、10倍株を狙うなら千趣会とクックパッドの2社に5万円ずつ集中投資しても面白いですよ。安いということはリスクもあって業績は不安定です。でも、千趣会はウェディング需要が回復してかつ本業の通販ECが完全復活すれば、またクックパッドは新規事業が成功すれば、それぞれテンバガー(10倍株)の期待もゼロではありません。
このまま低迷するリスクもありますよね。でも、面白そうです!
もしくは、10倍株とまではいわないけど、ちょっと攻めたいという方は、ワークマンとオープンハウスへ5万円ずつ投資するのもいいかもしれません。どちらも増収増益の成長企業ですが、コロナショックのおかげで比較的安い水準で買えます。なおかつ、コロナを追い風にして成長が加速する可能性があります。
それも魅力的です……!
投資をしてどんな風に資産形成したいか考えて、ぜひポートフォリオを組んでみてください。
売り時はいつ?
ちなみに、売り時はどう考えればいいでしょうか?
成長企業であれば、成長シナリオが崩れない限りはOK。保有継続です。増収増益を続けていた会社が減益になったら売りを検討しますし、低PRBを根拠に買った会社ならPBRが通常の水準に戻ったところで売りを検討してください。先ほどリスクがあるとお伝えした千趣会とクックパッドは、もし赤字になった場合は残念ながら失敗と思って損切りになっても売却してくださいね。
承知しました! 今日は貴重なお話をありがとうございました! 10年に一度のチャンスを逃すことなく、しっかりウィズ・コロナ銘柄に投資したいと思います!
ぜひがんばってください。私はアーリーリタイアに成功したので、これから株に関連したウェブサービス開発をする予定です。いつでも連絡くださいね。