カエル先生のマーケットハイライト(2020年5月編)

カエル先生の株式相場プレイバック/ 日興フロッギー編集部平松 慶

マーケットの「温度感」がわかる連載「カエル先生のマーケットハイライト」。今回は1月以降の株価下落と上昇の局面を、業種別で振り返ります。業種別に見ることで、相場を左右している「正体」が少しわかってきます。

カエル先生の一言

5月の株価はじりじりと上昇しました。国内外で外出自粛が一部緩和されたことや、マイナス圏に落ち込んでいた原油先物価格が底打ちしたことなどが株価を押し上げた模様です。業種別に株価を見ると、その影響が大きく表れていました。

5月は緊急事態宣言の解除などで株価が上昇

5月29日の日経平均株価は2万1877円となり、前月末比1684円高でした。
海外に続き、国内でも緊急事態宣言の解除が進んだことで、景気底打ちに対する期待が高まりました。また、一時はマイナス圏に落ち込んだ原油価格が、緩やかに上昇したことも投資家の安心感に繋がった模様です。

鉱業・非鉄金属が大きく下落

日経平均株価が年初来高値(2万4083円)をつけた1月20日以降の相場を業種別に振り返りましょう。全体として言えるのは、資源価格による影響が大きい業種ほど株価が乱高下したという点です。

特に大きく影響を受けたのは「鉱業」です。
「鉱業」は「 国際石油開発帝石 」や「 石油資源開発 」といった、石油資源の採掘などを行う企業が中心です。原油価格の急落により業績が悪化することが見込まれたため、株価も大幅下落となりました。

また、銅やアルミ、亜鉛などいわゆる非鉄の価格も下がったことで、「非鉄金属」の業種の株価も下落しました。主な会社としては「 住友電気工業 」や「 三菱マテリアル 」「 住友金属鉱山 」などが挙げられます。ただ、いずれも足元では資源価格に底入れ感が見られることから、株価も戻り基調にあります。

水準を回復した医薬品

一方で、唯一「医薬品」だけはすでに株価が急落前の株価を回復しています(5月27日終値時点)。ワクチンや治療薬の開発への期待から、株価は下落こそしましたがすぐに反発しました。

また、日経平均株価が安値(1万6552円)をつけた3月19日以降、多くの業種が上昇したのに対し、唯一上昇していないのが「空運業」です。国内外で人や物の動きがストップしていることに加え、ウォーレン・バフェット氏が航空株を手放したことが伝わったことなどが投資の手控え要因になっていると考えられます。

日経平均株価だけを見ても把握することができない細やかな相場要因も、業種別の株価を見ることによって輪郭がはっきりとしてきます。相場のけん引役はいつも同じとは限りません。その時のニュースとともに業種別で株価を観察することで、相場の次の主役を捉え、ご自身の投資戦略に役立ててみてはいかがでしょうか。