カエル先生のマーケットハイライト(2020年6月編)

カエル先生の株式相場プレイバック/ 日興フロッギー編集部平松 慶

マーケットの「温度感」がわかる連載「カエル先生のマーケットハイライト」。今回は相場のリスクとして意識され始めた11月の米大統領選について、支持率や政党の政策とともに解説します。

カエル先生の一言

6月の株価は横ばいの推移となりました。新興国や米国で感染再拡大のリスクが高まっていることや、米国での人種差別に対するデモ活発化を受けた米大統領選のトランプ氏落選リスクが意識されているようです。米大統領選がマーケットに及ぼす影響について見てみましょう。

6月の株価は上値重く

6月30日の日経平均株価は2万2288円となり、前月末比410円高でした。

日経平均株価は一時2万3000円台を回復するも、コロナショック前の水準を取り戻したことや、米国での人種差別に対するデモ活発化、新型コロナ感染「第2波」に対する懸念などから株価は横ばい推移となりました。

株価を抑える2つの要因

6月に入り株価の上値が抑えられている要因としては、主に以下の2つが挙げられます。

①コロナ感染再拡大による経済へのダメージ懸念
②米大統領選でのトランプ氏落選リスク

要因①コロナ感染再拡大による経済へのダメージ懸念

5月は、先進国を中心に感染拡大が落ち着いたことから、経済を再開させる動きが出ていました。しかし、依然としてブラジルやアフリカなど新興国で感染拡大が続いているほか、6月15日には米国では1日あたりの感染件数が4月24日の3.6万件を再び上回ったことがリスクとして意識されています。このため、経済再開の動きがストップしてしまうのではないかとの憶測を呼び、企業業績の悪化懸念につながっているものと考えられます

要因②米大統領選でのトランプ落選リスク

もう1つは11月に予定されている米大統領選におけるトランプ氏の落選リスクです。

6月に入ってから、共和党・トランプ氏と民主党・バイデン氏の支持率はじりじりと差を広げています。前回の選挙でトランプ氏は支持率が低かったにも関わらず当選したことを考慮すると、あまり気にしなくてもよいという意見もありますが、マーケットでは「トランプ氏落選」のリスクを織り込み始めたとも考えられます。

きっかけはミネソタ州ミネアポリスで起きた、白人警察官による丸腰の黒人男性を圧迫死した事件です。これをきっかけに全米で反人種差別デモが広がりました。コロナによる経済自粛への不満も重なったことで、トランプ政権への反発が強まっています。

トランプが負ければ株価にはネガティブ!?

マーケットでは、トランプ氏が選挙で負ければ「株価にとってはネガティブ」とのイメージが持たれています。共和党(トランプ氏)と民主党(バイデン氏)の政策を比較すると、民主党が勝てば、法人税率の引き上げや富裕層への課税強化などが行われる予定となっています。税率の引き上げは利益の押し下げにつながるため、投資家の警戒感が強まっているものと考えらえます。

新型コロナ感染再拡大によって、なかなか本格的な再開が進まない世界経済。この状況でさらに米大統領選という不透明要因が控えていることが投資家の迷いを誘っているようです。不透明感が漂う状況下では、銘柄選別の際に「withコロナ時代を生き抜いていけるかどうか」という視点がより重要になっていきそうですね。