父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え

今日からお金賢者になれる「1分書評」/ 日興フロッギー編集部

アメリカの人気ブログから生まれた株式投資の本。「会社に縛られないだけのお金」を作るためのポイントは「たった一つのファンドを一生持ち続けること」。このシンプルさは初心者にも取っつきやすいはず。

健全な投資はシンプル。ファンド一つの長期保有で経済的自立を得る方法

「健全な投資は複雑ではない」と著者は言います。さまざまな商品に投資をしたり、あれこれいじくり回し調整し続ける必要はない、と。そんな著者がもっとも伝えたかったことは以下に要約できます。

「バンガードのインデックスファンドに一括投資し、10年以上、放っておく」。

こうしたズバリの結論は「投資したいけど、何を買ったらいいのかわからない」読者には非常にありがたいはず。ただし、レベルは入門書よりもやや上で「インデックスファンド」や「ドルコスト平均法」を知っている前提ありきです。

用語については検索するなどして補足した方がよいかもしれませんが、タイトルに「父が娘に伝える~」とあるのは伊達ではなく、初心者にもお薦めしやすい本ではある。というのも、株式投資をする際の大切な考え方が繰り返し語られているから。

その考え方とは「市場は必ず回復する」。「市場はいつも上昇する」。

コロナ禍の混乱にある中で、光が射すようなフレーズですが、著者は楽観論者ではありません。株式投資をする以上、大暴落や大損失は避けられないと語ります。数ヵ月後や2、3年後の市場はわからない。けれど、5年、10年、20年スパンで考えれば、間違いなく上昇するのが市場原理であると。

暴落の際のパニック売りを避け、長期間保有することが本書の投資法ですが、それがいかに難しいかは百も承知。メンタル対策として、リーマン・ショックやブラックマンデー、1929年の世界大恐慌までさかのぼり、暴落のケーススタディを連ねているのが心強い。「経済的自立のためにファンドを長期間保有する」ノウハウを一般読者が実現可能なところまで引き寄せて考えた本でもあります。

※本書は、もともとアメリカでの投資を念頭に置いて書かれたため、具体的な投資アドバイスはアメリカ向けになっています。