解散風吹く中、麻生氏に次期総理の芽

ニュースの裏事情/ 日本証券新聞

テレビや新聞で取り上げられたニュースの裏側を解説する本連載「ニュースの裏事情」。今回は、いまニーズが高まっている「治水事業」と、「次期総理」に関する意外な関係についてご紹介します。

記録的な豪雨で治水ニーズ高まる

各地の記録的な豪雨とその被害により、治水の必要性が叫ばれています。

ダムと言えば 「 西松建設 」や「 安藤ハザマ 」が有名です。また、土木建設コンサルの「 建設技術研究所 」はダムの新規開発や既存ダムの有効活用などを得意としています。さらに、特殊土木大手の「 日特建設 」は国内の大型ダムの基礎処理工事の大半を手掛けています。

その日特建設は2年前、麻生グループ(福岡)の子会社となりました。麻生セメントを核とするグループなので、ダム建設とは親和性があるのではないかと考えられます。

次は麻生政権?

話は変わって解散風が吹き始めた永田町では、麻生セメント社長を務めていた麻生太郎副総理兼財務相について、次期総理の芽と観測する声が出始めています。そのストーリーは、次のようなもの。

安倍政権はコロナ対応や検察庁法改正、さらに黒川検事長の賭けマージャン問題などで支持率が低下しています。河井前法相夫妻の公選法違反事件も今後まだ進むものと見られます。これまで安倍政権は解散で危機を乗り越えてきた経緯があるため、再び解散に踏み切るのではないか、とささやかれています。

しかしいま解散すれば、かつて安倍人気で当選した自民党の3回生以下の多くが落選すると見込まれています。そのため3回生以下は「安倍総理の下で選挙はしたくない」と言い始めているとのこと。そうした自民党の抵抗で、安倍総理は解散に踏み切れないという見方も出ています。

「そこで麻生副総理に総理を譲る流れが想定される。どうせ来年9月には自民党総裁選があるので、それまでのワンポイント、つまり敗戦処理内閣にする。衆議院の任期は来年10月なので、1年かけて次の自民党の『顔』を選んで総選挙に臨む。それまでの“敗戦投手”を麻生さんが担うのだ」(政治評論家)

敗戦投手とはいえ一国の総理だから、国政には影響力があります。自民党の支持拡大のために、今回の豪雨災害を踏まえ、ダムなど治水対策強化を麻生政権が打ち出すことが想定されます

「今は財務相なので財政規律を重視しているが、麻生さんはもともと積極財政派。コンクリートをどんどん使う政策を打ち出したいんじゃないか」

今後の政権の行方に注目が集まりそうです。

(出典:日本証券新聞)