三田紀房/マンガ家
(「お金を語るのはカッコいい・三田紀房のお金の話 」より)
駅に行くのに路線バスに乗っても、駅前が渋滞で混んでいたら、賢い人は1つ手前のバス停で降りてさっさと歩きます。一方、世の中の多くの人は、降りて歩くほうが早いとわかっていても「みんな乗っているから」と言って何となく最後まで乗って行く。時間の損失より、みんなと同じ行動をとる安心感を優先してしまうのです。株も一緒で、「みんなまだ売っていないから」と言ってぐずぐずと売り逃し、大損してしまう。
そうではなく、いいと思ったことは自分で判断してさっさと動くのです。経済の知識も同じで、周囲が知らないからこそ、あなたが少し学ぶだけで差が出るはずです。
私はマンガ家になるとき、「みんながマンガ家になるために何をしているか」なんて、考えもしませんでした。ただ必死に、ペンと紙を用意して見よう見まねで描きました。デビューしてからも、他人と自分を比べたことなんてありません。ただ面白いマンガを描き続けることだけを考えて、気が付いたら同じころデビューしたマンガ家がどんどんいなくなる中、今でも現役です。
こういう例があるのですから、怖がることはありません。周囲のことなど気にせず、自分の意思でバスを降りられる大人になること。それが、成功への第一歩なのです。
何かをはじめるときは、不安で周りをうかがってしまいたくなるもの。しかし三田さんが成功への第一歩を踏み出せたのは、「周囲のことを気にせず自分の意思でバスを降りられる大人」だったからでした。