経済評論家・山崎元がお金初心者に徹底的に寄り添って、業界のウラ事情を暴露! 「資産運用したいな、とぼんやり思ってはいるけど、誰に何を聞いたらわからない」読者にこそ読んでほしいお金の本です。
結論はキッパリ! お金初心者が絶対損しない方法が1冊でわかる
本書のスタンスは「お金の増やし方」というよりも「お金で絶対に損をしない方法」といった方が近いかもしれません。
著者みずから劇中マンガに登場し、水戸黄門のごとく「一見良さそうな儲け話」をバッタバッタと斬っていく。その儲け話が「一部の人がハマる悪徳商法」ではないのが逆にコワイです。指摘されなければ、自分なら最後まで気づかないだろう「ごく一般的な商法」ばかりが登場する。
例えば、ある人物はFPによる生命保険の見直しで「1万円も保険料が安くなった!」と喜びます。実際には儲かったのは客ではなくFPの方。見直しと称し「新規の保険に入らせる」商法で、彼らの元には保険料の1年分近い手数料が入るのだとか。
つまるところ、この事実に「え? そうだったの?」と思った私のような、あなたのために書かれた本です。
テーマとして扱われるのは年金から持ち家問題、生命保険や投資信託、資産運用やFPとの付き合い方まで。こんなにつめ込んだら「薄味になるのでは?」の心配をみごと裏切り、マンガもコラムもページあたりの情報量は非常に濃い。
「現実のお金のビジネスを考慮してあれこれ修正し、(略)登場人物の台詞を気が済むまで書き替えて」(本書あとがきより)と言うだけのことはあり、「マンガはちょっと……」というタイプの人にも納得の読後感のはず。
「そこまで言うの?」とツッコミたくなる著者の毒舌っぷりも読み進めるうち、クセになる。「銀行の運用商品は100%クズ」だとか「新築マンションだけは買うな!」だとか「保険の本質は加入者にとって損な賭け」だとか。
フィンテックをはじめ、お金をめぐるビジネスの世界は変革期にありますが、業界へ向けた戒めの言葉にも「現在も将来もお金は幸せのために使うべき『手段』に過ぎない」という強い思いが見え隠れする。毒を吐いても爽やかな本です。