SaaSは上がりすぎ!? 億り人は「隠れクラウド」銘柄をさがす【9月前編】を読む
株式市場にも大きな影響を与えた新型コロナウイルス。ウィズコロナの時代、さらにはコロナ収束後にも有効な銘柄選びの考え方を3人の億り人が惜しみなく教えてくれました!
「暇だしな~、〇〇しようか」がコロナ禍で伸びた!
皆さんが最近、気になったニュースや意外だった決算はありますか?
車の洗車、コーティング剤を主力とする「 KeePer技研 」の伸びは意外でしたね。
KeePer技研は私も気になった会社です。株価も好調ですよね。
みんなが巣ごもりして車での移動が減るので、業績は不調かと思いきや、8月の月次売上高は前年比152%。
なぜだったんでしょう?
新車の買い控え→今の自動車をきれいに→高価格カーコーティングの増加、という流れのようです。
新車ではなく中古車を買って自分でコーティングしようという人が増えたことも要因でしたね。
「暇だしな~、車の手入れでもしようか」ということですよね。コロナ禍で「暇だしな~消費」があると思うんです。手芸用品店を展開する「 藤久 」も伸びましたよね。これも、「暇だしな~、マスクでも作ろうか」という発想からの需要です。
面白い! たしかにコロナ禍で上がっている意外な銘柄は「暇だしな~」から始まっているものが多いですよね。
逆にいえば、「暇だしな~消費」で伸びた会社は、コロナが収束すれば元の株価水準へ戻ってしまうリスクもあります。
可逆的な変化か、不可逆的な変化かを見極めることがすごく大事ですね。「これはコロナが収束しても、もう戻らない不可逆的な変化だろう」と思えばアフターコロナでも好調は続く。
藤久でいえば、コロナが収まったときにマスクを自作する人は激減しませんか?
ただ、マスクをきっかけにして手芸に興味を持った人が顧客として残る可能性もある。そこの見極めですね。
「自分ならどうするか」と想像するのが一番いい。テレワーク関連の銘柄も盛り上がりましたが、「コロナが日常になったとき、自分はテレワークを続けるだろうか?」と自分に問いかけてみるんです。
私だったら、100%テレワークは難しい気がします。
僕がいた会社は以前からテレワークを導入していましたが、僕が得た結論も「100%テレワークはベストじゃない」ということ。元から信頼関係があればテレワークでも円滑にコミュニケーションできますが、知らない人とだと集中力が低下しやすくなりますし、週1日か2日くらいのテレワークが最適だと思います。
なにがどの程度継続されるかという視点が大事ですよね。ちなみに現状だとテレワーク環境を整えるために「 ニトリ 」で家具を買ったり、「 パルマ 」のトランクルームを利用したり、あるいは「いっそのこと家を買おう」という動きも出ています。1次取得者、つまり「1軒目」の自宅購入者向けの分譲住宅を主力にしているのは「 ケイアイスター不動産 」ですし、中古住宅をリノベーションして販売する「 カチタス 」も5−6月の反響数(広告に対しお客さんからの問い合わせ)は前年同月比120%と好調です。テレワークの頻度は減ってもテレワークという働き方が継続する限りしばらく恩恵がある銘柄もありそうです。
入院患者数は減っても好調だった「入院セット」
特需が決算に数字として出るかどうか、ビジネスモデルからの見極めも必要ですよね。「 レアジョブ 」という会社があるんですが――。
オンライン英会話の会社ですよね。コロナ禍で巣ごもりする人が増えれば、「暇だしな~、英会話でもやるか」と考える人が増えそうです!
外出自粛なのでオンライン英会話を、というストーリーはその通りなんですが、ここは基本月額で、月に何日学んでも同じ料金の定額制。ところが講師への報酬は習った時間に応じて支払う従量制なんです。そうすると利用者1人あたりの学習時間が増えるほど、講師への報酬がかさんで利益が思ったほどは伸びないという結果になってしまいました。
スポーツクラブもそうですね。会員は多いが、あまり使われないほうが儲かる。
反対に意外に好決算だったのが「 エラン 」。入院患者に対して衣類やタオルなどの「入院セット」を提供する会社です。4月以降、コロナの影響で入院患者数が減少しました。そのため、エランの業績も悪化すると思ったのですが、逆に伸びた。入院する人の総数は減っても、感染拡大防止のために面会謝絶とする病院が多かったため身内が日用品を渡せず、エランの入院セットを利用する人が増えたようです。
エランの4−6月期は増収増益でしたよね。ストック型ビジネスのようなニュアンスはあるんですが、ただ模倣しやすいビジネスモデルなのが不安材料。「タオルを洗って渡すだけでしょ?」みたいな。病院への独自のネットワークがあるのかもしれませんが……。
病院はエランのパンフレットを患者に渡すだけで、料金を支払うのは患者さんです。なので、病院には他社のサービスへ切り替えるモチベーションはあまりなさそうな気がしますね。ただ、エランはPER60倍まで買われています。「 ジャパンエレベーターサービスHD 」と同じ感覚でストック型ビジネス銘柄として機関投資家が多く入っているのかもしれません。
前編でおっしゃっていた「ストック型は業績が読みやすいからか、機関投資家が好むのかも」というお話ですね!
同じサブスクでも「社会課題との距離感」が大事!
コロナ後の世界だと銘柄選びの視点が変わりますか?
今日は再三お話しているように、ストック型ビジネスやサブスクリプションは強いのでそういうところへ目をつけるのと、もうひとつは世の中の大きな流れに沿った銘柄に目をつけられると株価が長く上昇すると思いますね。今であれば「医療」「介護」です。なので、これを掛け合わせた医療介護の分野のサブスクリプション型ビジネスは面白い。
どんな会社ですか?
先ほど話したエランもそうですし、有料老人ホームを展開する「 チャーム・ケア・コーポレーション 」や終末期ケアを行なうホスピスの「 日本ホスピスホールディングス 」もそうです。チャーム・ケアや日本ホスピスなら部屋数がストックとなります。また、調剤薬局向けシステム大手の「 EMシステムズ 」も月額課金方式ですし、老人向けにお弁当を宅配する「 シルバーライフ 」もフランチャイズ方式なのでストックです。これらのように、メガトレンドの領域でサブスクリプション型の事業を推進している会社に注目しています。
成長セクターに注目すべきですよね。そのど真ん中ではなく周辺にも目を向けるとさらに面白いかもしれません。ゴールドラッシュで本当に儲けたのは、金を採掘する人に作業着を提供したリーバイスだった、という逸話もあります。iPhoneが売れそうならばアップルを買うのではなくiPhone用のアクセサリーを売っている「 エレコム 」を買うといった発想です。
ど真ん中だと割高になっていますもんね。ITという成長セクターの周辺を買うというのは面白いです。
DX(デジタル・トランスフォーメーション)関連でサブスクリプション型のビジネスモデルを持っているところは強い。それは事実ですが、株価も割高になっている銘柄も多いという点は理解しておいたほうがいいですよね。その中で期待を超えて成長を続け、「王様」となるGAFAのような銘柄も出てきますが、どこが勝ち抜くか、見極める必要があります。
最低600万円必要な任天堂株を手軽に買うなら?
すぽさんの中で王様になる銘柄は見えていますか?
面白いんじゃないかと思っているのは「 任天堂 」。Nintendo Switchという「箱」が売れ続け、これに合わせてソフトが売れています。スイッチの積み上がりが売れる要素を作っているという状態です。
しかも、以前だと、ゲームソフトのライフタイムはせいぜい買ってから3ヵ月程度だったのが、追加コンテンツなどの販売により、長く遊ばれるようになっています。ソーシャルゲームならヒット作は5年、6年と遊び続けてもらえることもある。任天堂は「ニンテンドーオンライン」を使うなら月300円払ってくださいというサブスクリプション型の課金制度をしている。こういった面でも今のスイッチの伸びは今後恩恵になる要素だといえます。
ソシャゲが流行った時期には「任天堂なんてオワコン(編集部註:終わったコンテンツのこと)」と言われていたのに、今はむしろハコ(ゲーム機)が強みになっている。
「プレイステーション5」の発売が間近でスイッチとの最終決戦となりますが、PS5がコケるんじゃないかという懸念も抱いています。そうすると、今までPS5が得意としていたヘビーユーザー向けのゲームもスイッチに移行し、任天堂の業績がもう1段階上がる、なんていう未来も夢想できる。ただ、任天堂を買うには最低でも600万円。手が届きにくいですから、フロッギーのような100円から買えるサービスを利用するのがいいですよね。
ありがたいお言葉を……!
株式投資は「始めやすい、やめやすい、儲かりすい」
最後に「これから株を始めてみよう」という初心者に向けてアドバイスをお願いします!
自分の場合、芸人を続けながらお金を稼げて、かつ将来の可能性を感じられる方法が株しかなかった。やってみた今、思うのは株には「始めやすい、やめやすい、儲かりやすい」の三拍子が揃っている、ということ。
わかりやすいキャッチフレーズです!
不動産であれば多額の元手が必要で始めにくいし、やめようと思っても物件がすぐ売れないリスクがある。株なら少額でも始められるし、「売りたいのに売れない」ということも少ない。しかも資本主義の発展を前提にすれば株式市場全体の時価総額が増えていく「プラスサム」の構造がある。騙されたと思って始めてみてもいいのではと。
そうすれば井村さんのように1銘柄で4億円を稼げる可能性が!
ただ、気をつけてほしいのは期待しすぎないということ。「億を稼ぐぞ!」と始めちゃうと、ちょっと損をしただけで「株って駄目じゃん」とやめてしまいがち。誰でも損をすることはあります。儲けたり損したりを繰り返しながら、楽しくなったら勝ち。楽しければ自分で調べたり勉強するようになるし、続けていれば儲けるチャンスとも出会えます。
株の古典と呼ばれる本で勉強してほしいですよね。
たとえばどんな本ですか?
私だったら、ピーター・リンチの『株で勝つ』ですね。
僕も読んでます(笑)。
基礎的なことを頭に入れて、実際に株を買ってみる。そして、オフ会に行ってみれば、みんな話を聞いてくれて楽しくなるし、もっと勉強しようという好循環が生まれる。片隅であっても株式市場に10年、20年と居続ければ自然と資産は増えていくはずです。
「楽しく・長く」続けることが成功への秘訣!
長く続けていれば株は雪だるま式に資産が増えていくものです。初心者ほど「どの銘柄が儲かりますか?」と聞きがちですが、長期的に考えるなら最初は損をしたほうがいいくらい。いつかは株価が下落して苦しいときが来ます。最初から楽に儲けてしまうよりも損をして、そこから学びを得て、長く付き合っていくほうがいい。そういう意味では、「何したらいいの?」と聞かれたら「いいから株を買え!」と。
株式投資だと会社それぞれのストーリーを描いて投資することになる。しかも新しい物語がどんどん始まるし、答えを誰も知らない。それを探したくなる。だからハマっちゃうんですよね。
一方、投資信託は面白くないですよね。日経平均に連動するインデックスファンドを買うと、投資成績としては日本株市場全体の平均値は取れるし、投資法としては間違えていない。でも、学びは得られません。「いいから株を買え!」と(笑)。
投資信託を積み立てて買うのはものすごーく楽なので何も考えたくない人はいいんでしょうね。ただ、会社がつまらなくて浮かび上がりたいとか、将来の目標や夢があって、平均より上のリターンを得たいと思ったら個別株ですよね。もし私がインデックスファンド積立をやっていたら、まだ仕事していたでしょうから。
説得力がすごいです……! 「楽しくなったら勝ち」って素敵ですね。株の楽しさを改めて実感しました。今日はお忙しい中お時間くださり、ありがとうございました!
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