スガノミクス銘柄は「行政のデジタル化」から連想しよう!【10月前編】

億り人緊急座談会/ DAIBOUCHOUwww9945とりでみなみ日興フロッギー編集部

コロナショックから半年、日本では安倍首相から菅首相へと政権が変わりました。政権が変われば新しい投資のチャンスも広がりそう。菅首相のもと、アベノミクスの再来に期待する声も高まっています。コロナ関連の物色も続いている中、加わった新たなテーマの「スガノミクス」で、3人の億り人が注目する銘柄は?!

コロナショックでも今年の成績はプラスに!


今年も残すところ3ヵ月となりました。皆さんのパフォーマンスはいかがですか?


私は4.7%のマイナスです。


私は今日でプラス19%。コロナショックで一時はマイナス30%くらいまでいきましたから、そこからだと50%のプラスですね。


さすがです!


いえいえ。でも、今回の下落時に痛感したのが「専業投資家なので収入がない」ということです。お金がなくなったら終わってしまう。とりでさんのように兼業であれば給与収入もあるから挽回もできますが。なので、結果的に売る必要はなかった銘柄も、現金化のために一部売却しました。


私は今日になってようやくプラスになりました。私もコロナショックでは資産の評価額が一時、50%くらいのマイナスになりました。何もしなければDAIBOUCHOUさんと同じくらいのマイナスで止まっていたのでしょうが、下落の途中、信用取引で買い下がってしまった。


崖を転げ落ちる直前でしたよね(笑)。


9945師匠のアドバイスもあって、機械的に損切りしました。


せっかく増えた資産がゼロになったら、元も子もないですからね。


現物取引と信用取引、両方を使っていると暴落時に雪だるま式に損失が増えてしまいます。


億り人になってから、いろんな手法を試したいと思って始めたのが信用取引でした。今回は痛い目を見ましたが、手段としては有効だとわかりました。キャッシュを持たずにフルポジションで株を持っていて暴落すると、買いたい株があっても買えない。そんなときには信用取引も有効です。


信用取引はリスク管理がしっかりできる上級者向けなんですね。

株式市場は二極化の「K字型」に


今年1月は私もフルポジ(フルポジション、資金をすべて投じて株を持つこと)で信用取引も使って買っていました。それから徐々にポジションを減らしていき、3月時点では資産の50%くらいがキャッシュとなっていました。


買いに転じたのはいつごろなんですか?


3月23日、24日ころです。日経平均で大きな陽線が出たので、反転の兆しかなと思いました。ただ、最初は不況が長引くと思い、不況に強い業種、倉庫などのディフェンシブな銘柄へ行こうと思ったんです。でも、どうやら今回は「K字型」になるらしいと気づいて――。


上昇する銘柄と下落する銘柄が二極化する市場が、K字型ですね。


K字の上に行く銘柄はすでに割高なものも多い。ECプラットフォームの 「 BASE 」もそうでした。私はPERやPBRが低い銘柄のほうが安心して持てる性格なので、コロナが追い風になり、かつ割安な銘柄を選んでいきました。


コロナが追い風になるようなIT関連は過熱感が半端ないですからね。どう見ても行き過ぎだし、どこかで転機がくる。今まで物色されていなかった鉄鋼なりタバコなり、スーパー地味銘柄がリバウンドする可能性もあると思います。ただ、私も今の主力は動画関連です。


以前、教えていただいたのはAbemaTVを運営する「 サイバーエージェント 」や「 東映アニメーション 」でした。


動画配信の「 USEN-NEXT HD 」も最近買っています。こうした銘柄は外出しない時代に伸びる可能性があると予想しています。しかも、ここの子会社はマイナンバーを利用した医療のDX化に取り組んでいます。同姓同名の人の取り違いは医療では特に致命的なのでマイナンバーを利用するんです。


僕は3月に損切りしてポートフォリオの半分以上を入れ替えたんですが、サイバーエージェントも買いました。あとは無印良品の「 良品計画 」や「 トランザクション 」です。

「家から人が出なくなる未来」で上がるのは?


トランザクションは雑貨の企画販売ですね。なぜこれらの銘柄を買ったのですか?


コロナ対策商品を扱っているというのもありますが、私はもとから「人が家から出なくなる」という未来を描いていました。それがコロナによる外出自粛で加速した。うちの親も外出を控えるようになりましたが、ペットの散歩だけは出かけていました。ペット用品も扱っているトランザクションは有望かなと発想しました。そういう感じで、外出自粛の中で身近なところで感じたことを反映させました。良品計画も巣ごもり関連銘柄です。


今年の大きなニュースといえば、政権交代もありますよね。2012年から続いた安倍政権が退陣し、菅義偉さんが総理大臣に就任しました。高い支持率での船出となっています。


支持率が高いと株価って上がりやすいんです。リーマン・ショック以降、日本株は低迷しましたが、その理由のひとつが支持率の低さでした。支持率が低いと、いい政策をやろうとしても通りにくいですから。第2次安倍政権が発足し支持率が高まると本来やるべき政策がやれるようになり株価も上昇しました。


アベノミクスで本格的な資本主義がやっと日本にも到来しました。株式投資をしていないと置いてけぼりにされる時代です。アベノミクス開始からの5年で日経平均は年17%ペースの上昇。ETFを購入しても資産が2倍以上になるペースでした。


とりでさんもアベノミクスで資産を増やしたんですか?


アベノミクス初期は現金比率が高く、乗れませんでした。というのも、リーマン・ショック後、保有銘柄21銘柄中、7銘柄でMBOやM&Aがかかり強制的に現金化させられたんです。すぐに別の銘柄へ乗り換えればよかったのですが、株への興味を失っていたこともあり、気付くのが遅れました。


安倍首相の時代は政治が積極的に株式市場にコミットしてくれました。日本銀行の異次元金融緩和やETF買い、国債買い入れ――やりやすかったですね。


小泉純一郎首相の時代もやりやすかった。わかりやすい言葉で国民に語りかけ、高い支持率のもと政治が安定し、株価も好調でした。

スガノミクスの注目は「GIGAスクール構想」


菅首相のもとでも株式市場が好調だといいですね! 「スガノミクス」で株価上昇が期待されるテーマや銘柄はありますか?


ひとつは「GIGAスクール構想」ですね。


小中学生が1人1台パソコンを使えるようにする構想ですね。


教育のオンライン化は以前から注目していました。アメリカではオバマ政権時代にオンライン教育が急速に進みました。国土が広く学校へ通学するのが難しいためです。日本でも外出自粛でオンライン教育への注目が高まりましたから、通信教育のスマイルゼミを運営する「 ジャストシステム 」を買いました。 アメリカが先に進んで日本が後から追うというのはいつものパターンですしね。


ジャストシステムはど真ん中の銘柄ですが、PERやPBRが割高感もある。なので、GIGAスクール構想からの連想で私が買ったのは「 因幡電機産業 」。電設資材のトップ商社です。


GIGAスクール構想と電設資材にどんな関係があるんですか?


GIGAスクール構想が進めば小中学校にケーブルなど電気通信の配線が必要となりますよね。GIGAスクール構想が商機になることは四季報にも書いてあります。


四季報は宝の山ですね!


それに加えて熱中症対策のための学校への空調整備や、延期された東京五輪の資材需要もあります。配当利回りも3.8%なんです。


オンライン化という流れでは「 レアジョブ 」もありますね。


定額制オンライン英会話の会社ですね。9月の座談会でも注目の会社として名前が挙がりました。ただ、コロナ禍で受講する時間が増え、コストがかさんでいるとして警戒もされていましたが……。


みんなが外出するようになり受講時間が減ってくれば、利益が出やすくなります。それにZoomなどのビデオ通話が広まって、オンライン英会話に対する苦手意識も薄まっていますよね。

「脱はんこ」からスタートした「行政のデジタル化」


菅政権が発足してすぐ話題になったのが「脱はんこ」でした。


重要だと思っています。デジタル化が進まないのって、印鑑文化があるからです。はんこを押さないといけないから業務が紙ベースになってしまう。はんこからの脱却が進めば、行政のデジタル化関連銘柄は上がりやすくなる。


どんな銘柄がありますか?


チェンジ 」の子会社が開発した自治体職員向けのチャットサービス「LoGoチャット」というものがあります。これまでは各自治体間は横のつながりがあまりなかったらしいんです。でもこれがあれば、たとえば大阪市と横浜市の職員がチャットを通じて成功事例を共有したりできます。


菅政権の発足前後で株価がだいぶ上がっているんですね!


はい、なのでこれはモデルケースですね。チェンジよりは比較的買えると思ったのは3社。ひとつが防災などの官公庁向けクラウドサービスを行なう 「 サイバーリンクス 」です。


クラウドは今年のメインテーマのひとつですね!


菅政権とは関係なくクラウド関連は伸びているんですが、サイバーリンクスはドコモショップも運営しているため、評価が上がりにくかったんです。今は利益に占めるIT関連の割合が高まっており、評価が変わるかもしれない。


「ドコモショップの会社」から「行政向けクラウドサービスの会社」に衣替えしつつあるんですね!


あとは公会計システムや大学向けの基幹システムを提供している「 システムディ 」や、警察・消防署関連向けのビデオ通話システムを開発している「 ドーン 」。110番や119番は音声だけでなく映像もあったほうが状況を伝えやすいですよね。この3社はそれぞれ違った感じで面白いと思います。


行政のデジタル関連だけでも、こんなに注目の会社があるんですね……!


行政改革を担当するのは河野太郎さん。河野大臣のもとで行政改革が進めば、既得権益に守られていた業種は危ないかもしれない。その代表格が通信です。


菅総理は再三、携帯料金の値下げを主張していますよね。気になるお話です。次回もっと詳しく教えてください!