お金の教育がすべて。

今日からお金賢者になれる「1分書評」/ 日興フロッギー編集部

学校の成績は「2のオンパレード」、けれど資産は10億円以上。そんな個人投資家が実践してきたファイナンシャルリテラシーの教育本。親子間のほっこりするような体験談あり、アフターコロナを想起させるような分析ありと、緩急に富んだ内容です。

子どもの金融教育にフォーカスした良書。マネー初心者にも。

本書でいうファイナンシャルリテラシーの定義とは「お金の信念」を持ち、「お金の仕組み」と「お金の歴史」を学ぶこと。子どもの金銭教育ではなく金融教育にフォーカスしたところが大きな特色でしょうか。

著者自身、4人の子どもを持つ父親です。

「外食をしたら会計をあてさせるゲーム」をし、iPadを欲しがる息子に「それを作ってる会社の株を買ってみない?」と提案する。投資家らしいユニークな教育法ですが、投資マインドを持つことは経済への理解が深まるだけではなく、キャリア教育にもつながると言います。

たとえば、「お金を得るためだけのバイトをしないこと」もその一つ。仮に子どもがファーストフード店で働くなら、「チェーンの仕組みはどうなっているのか?」「なぜ、人が集まるのか?」などの問いを持たせるべきだとも。自分の学生時代を振り返れば耳の痛い話です。一方で、こんな教えで育った部下が欲しいと思うのは私だけではないはずでしょう。

本書は子育て世代がターゲットですが、金融初心者の大人が読んでも◎。

特に、「1971年は世界経済の転換期。お金が自由に刷れるようになり、以降、世界は借金ベースになった」話を知らなかった私のような読者なら、「お金の歴史」のパートだけ読んでも十分に元が取れそうです。

その流れで、ぎくりとする指摘も。本書が出版された2019年と「株価が40%下落した1930年代後半」の経済状況が酷似しているというのです。「この先、経済がいつクラッシュしてもおかしくない。その時は一度に大ピンチと大チャンスがやってくる」とのくだりはアフターコロナを予見したかのよう。

今後来たる100年に一度の大転換期に備え「お金の勉強だけはしっかりやろう」、著者は本書で繰り返しますが、読んだ自分も確かにそう思えた本でした。