【2020年相場まとめ】カエル先生のマーケットハイライト

カエル先生の株式相場プレイバック/ 日興フロッギー編集部平松 慶

マーケットの「温度感」がわかる連載「カエル先生のマーケットハイライト」。今回は2020年の相場を振り返りつつ、来年に向けて注目すべき投資テーマをご紹介します。

カエル先生の一言

2020年は株式相場が大きく動きました。その要因を紐解くと大きく4つに分けられます。改めてその背景を把握しておくとともに、政治の「新潮流」から相場のテーマをチェック! いち早く来年の相場に備えておきましょう。

2020年は日経平均が1万円動いた!

今年の日本株式市場は新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、大きく変動しました。2020年11月末時点で、日経平均株価の安値は1万6552円(3月19日)、高値は2万6644円(11月27日)となり、値幅としては1万円以上も動いたことになります

2020年のマーケット4大ニュース

そんな激しく動いた2020年の株式相場ですが、特に相場に大きな影響を与えた「ニュース」は以下の4つです。

①新型コロナウイルスの感染拡大
②原油先物価格が初のマイナス圏に
③安倍政権から菅新政権へ
④バイデン新米大統領の誕生

①新型コロナウイルスの感染拡大

中国の武漢から始まったとされる今回の新型コロナウイルスの世界的な感染拡大。またたく間に世界中に広がって猛威を振るい、世界中の経済が停滞する事態に追い込まれました。モノ・人の移動がストップしたことで、観光業や小売業を中心に業績が悪化。先行きが見通せない状況に陥ったことから、2月から3月にかけて世界中の株式市場が急落しました。

足元でもまだ感染の拡大や医療体制の逼迫、経済の停滞は続いています。ワクチンの開発が進み、その有効性が報じられたことから株価は上昇していますが、新型コロナウイルスは実体経済に今なお大きな爪痕を残し続けています。2021年にかけても新型コロナウイルスの流行は相場に影響を与えると考えられます。

②原油先物価格が初のマイナス圏に

また、世界の景気が減速することへの懸念から、様々な産業のエネルギー源となる原油への需要は落ち込みました。その影響で、実需の買い手がいなくなってしまい、原油先物価格は史上初のマイナス圏に落ち込みました

原油価格の下落は、産油国の財政状況を悪化させました。また、米国を中心としたシェールオイル産業に大きな打撃を与え、投資家心理を悪化させる要因の1つになりました。

原油価格急落の背景を詳しく読む

③安倍政権から菅新政権へ

世界中で景気が弱含む中、国内では政局で大きな変化がありました。8月28日に安倍首相(当時)が会見を開き、持病の悪化を理由に辞意を表明したのです。

約7年間にわたり「アベノミクス」を実行し、金融・財政の両面で脱デフレを目指した安倍氏。その間の企業利益(法人企業統計全産業ベースの経常利益)は1.8倍、日経平均株価は2.5倍にもなりました。

アベノミクスの成果を振り返る

代わって9月に新首相として選ばれたのは、官房長官を務めていた菅氏です。新政権では、コロナ禍においてニーズが高まった、あらゆる分野でデジタル化を進めようとしています。今後創設されるデジタル庁の政策次第では、行政サービスのDX(デジタルトランスフォーメーション)などに関連する企業などが株式市場で盛り上がりを見せそうですね。

NTTデータ
電算
サイボウズ
ITbookホールディングス
CARTAホールディングス

④バイデン新米大統領の誕生

11月には、米国でも大きな政治の転換点を迎えました。過激な発言や対中国への強硬な姿勢をしていたトランプ氏を破り、民主党のバイデン氏が新大統領に選出されました。

バイデン氏は、従来から再生可能エネルギーなど、環境への負荷を軽減する施策を掲げています。トランプ氏が脱退したばかりのパリ協定(2020年以降の気候変動問題に関する、国際的な枠組み)へ復帰する考えも見せています。

具体的な施策は年明け以降に明らかになると考えられますが、すでに再生可能エネルギーや環境規制に対応する技術を持った銘柄には注目が集まりつつあります。来年の投資戦略の1つとしてしっかり押さえておきたいですね。

ダイキン工業
明電舎
日本電産
レノバ
エフオン
ウエストホールディングス

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