PER(株価収益率)は会社の利益と株価の関係を表す投資指標の1つです。
株価を1株あたり利益(EPS)で割ることで計算でき、一般的には10倍、15倍というように倍率で表され、倍率が高くなれば「会社の利益に対して株価が高くなっている」ことを表し、割高と判断されます。反対に低くなれば割安と判断します。
(もしくは、時価総額÷当期純利益)
コロナ禍を追い風に、成長戦略もしっかりと
衛生意識の高まりから、追い風が吹いている衛生関連メーカー。足元では外出自粛の影響からやや逆風を受けている品目もあるようですが、自社の強みと成長戦略をしっかりと掲げる企業は株式市場での評価が高まっているようです。そこで今回はコロナ禍でもしっかりと成長戦略を立てている企業をご紹介します。
case57:小林製薬
今回ご紹介するのは、「ブルーレット おくだけ」や「熱さまシート」などわかりやすい商品名でおなじみの「 小林製薬 」です。水洗トイレ用洗浄剤や、洗眼薬などニッチな市場でトップシェアを握っており、2019年度まで22期連続増益(当期純利益)を達成しています。
衛生意識の高まりがPERを押し上げ?
予想PER(東洋経済予想)は51.1倍と過去の平均や業種平均と比べても高くなっています。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、引き続き衛生関連の売上が好調に推移するとの見方などから買いが集まっているようです。
「のどぬ~るスプレー」などが好調
新型コロナウイルス流行の影響を品目別に見ていきたいと思います。
同社は、「のどぬ~るスプレー」や「便座除菌クリーナ」など除菌・衛生関連製品を多く手掛けています。そのため、例年より売上が好調に推移し、全体で33億円の増収効果(2020年1–9月期)がありました。
一方、外出の機会が減ったことにより、「ブレスケア」や「あせワキパット」などのニーズが減少。また、軽度の風邪を発症する人も減ったことから、「熱さまシート」の売上がやや落ち込みました。
海外で成長を取り込めるか
2020年1–9月期の決算では、ロックダウンや外出自粛の影響で国際事業の収益は大きく落ち込みました。しかし、2020年2月に発表した中期経営計画では、国際事業の売上高を2022年に330億円にすることを目指しています。
これは、海外の収益を年率10%で伸ばすことになり、新たな成長ドライバーとして育てていくことを意味しています。コロナを機に衛生意識が世界中で高まっていく状況が、さらなる追い風になることを期待したいですね。
21期連続増配中!
また、投資家にとっては同社が21期連続で増配していることも魅力の1つです。着実に収益を稼いで、投資家にもきちんと還元する姿勢がPERや株を下支えしている模様です。
①これからの業績を考える
②会社の人気度を考える
③投資家の心理を考える
今回は、①③から小林製薬を見てきました。お客様の「あったらいいな」をカタチにし続けている同社。衛生意識の高まりを追い風に、業績は大きく落ち込むこともなく好調をキープしています。中期経営計画にあるように国際事業が成長の軸になれば、さらなる株価上昇も考えられるかもしれませんね。
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