ビジネスエリートになるための教養としての投資

今日からお金賢者になれる「1分書評」/ 日興フロッギー編集部

「正しい投資」を学ぶことはビジネスの視座を上げ、老後2000万円問題の対策にもなるーー。現役ファンドマネージャーによる長期投資の哲学とその実践編。「コロナショックこそチャンス」という著者だけに前向きな気持ちになれる一冊です。

投資は「知の総合格闘技」。正しく学べばビジネスにも、老後資金対策にも

実をいえば、投資そのものに「ぼんやりとしたおそろしさ」を感じていた自分です。が、本書を読んでむしろ、ほとんど何もしてこなかったことに「おそろしさ」を感じました。

個人投資家の多いアメリカはこの24年間で個人金融資産が4.2倍に増加。一方、日本のそれは同じ期間で1.5倍程度、個人資産のうち986兆円は「ほぼ金利を生み出さない口座に眠っている」というのです。

著者はまた、高齢者になっても働こうという流れには異を唱えます。「知力・体力はどうしたって落ちる。大半の人は自分で生涯働くよりも日本電産の永守さんに働いてもらった方が(=株を買う)良い結果になる」と。ものすごい喩えですが、ぐうの音も出ない自分もいました。

もちろん、株での資産形成は簡単ではありません。

いわく「投資は知の格闘技」。ファンドマネージャーである著者自身は投資先を選ぶのに5年以上もリサーチするのだとか。長期投資ではコカ・コーラやディズニーのように参入障壁の高い企業を探すことがキモで、株購入の一般的な判断材料とされる「PERやPBRはほとんど見るべき価値もない」とバッサリいきます。

自分のような素人は「注目産業だからAIに」などと発想しがちですが、これもちょっと違うみたいです。考え方としては、「AIそのものには参入障壁はない」→「AI分析の価値はもとのデータ次第」→「つまり、他社を圧倒するほどの一次情報を集められる会社であることが大事」。教養としての投資とはまさにその通りで、この視点があればビジネスエリートにもなれそうです。

「株価なんてよく振れる尻尾みたいなもの」という本書はコロナショックにも前向きです。競争優位性を持つ会社なら先に沈むのは他社で、経済が正常化した時にはライバルは減り、さらに強くなっているとのこと。「こういう局面こそ笑みを浮かべながらコツコツ買い増すべき」だそうですよ。