外食産業の「勝ち組」を支える2つの理由とは!? サイゼリヤが新しく追加に 3月の日興ストラテジー・セレクション

ここが狙い目! 日興ストラテジー・セレクション/ 日興フロッギー編集部岡田 丈

今の社会動向や投資環境をもとに旬な銘柄を毎月選定している「日興ストラテジー・セレクション」。3月号の新規採用銘柄は、低価格イタリアンレストランの「サイゼリヤ」です! サイゼリヤの投資ポイントをチェックして、これからの銘柄選びの参考にしてはいかがでしょうか。

安さと美味しさで人々に喜びを提供「サイゼリヤ」

美味しいものを食べると嬉しくなりますが、美味しいものを安く食べられればもっと幸せを感じるものでしょう。
今回仲間入りした「 サイゼリヤ 」はそんな人々の気持ちに応え、リーズナブルな価格で美味しさを提供するイタリアンレストランです。2019年10月の消費税増税後には、ほぼ全てのメニューで税込価格を据え置く実質2%の値下げをし、消費者の出費抑制に貢献しました。

1973年に1軒の個人経営レストランとして始まったサイゼリヤ。価格、品質、充実したメニューなどによって成長を続け、今では国内で1000店舗以上、海外でも400店以上(2020年8月期末)を展開しています。

会計時間の削減やテイクアウトで新しい生活様式に対応

新型コロナウイルス感染症の拡大による外出自粛や営業時間短縮の影響で、外食産業は大きなダメージを受けています。しかし、このような厳しい状況のなか、同社は外食業界の勝ち組となることが期待されています。

その要因のひとつが2020年7月に実施した価格改定です。顧客が安心して食事を楽しめる価格を提供することは、創業以来のこだわりですが、コロナ禍の新しい生活様式への対応として税込価格の末尾を00円または50円に統一。同業他社を圧倒する価格を維持しつつ、使用する硬貨をしぼることで会計時間の3割削減を目指した取り組みを始めました。

もうひとつが、持ち帰りやデリバリーへの対応です。昨年4月に緊急事態宣言を受けた後、美味しく安く楽しめる人気メニューを家庭でも味わえるようテイクアウト販売を開始。その後も同社ならではのテイクアウトメニューを拡充し、前菜からメイン、デザートまで自宅でも楽しめるサービスを提供しています。

営業時間の短縮により客数は前年同期を割る状況ですが、コロナ禍を乗り切るさまざまな取り組みにより客単価では概ね前年比プラスを維持しています。新型コロナウイルスの収束により、客数が戻れば売上高は大きく改善することが期待されます。

美味しいイタリア料理は海外でも大人気! 成長の再加速に

ルネサンス期の名画を飾る店舗で美味しいイタリア料理を、同業チェーン店の半値以下の価格設定で提供する同社。海外でも人気を誇り、高い営業利益率を確保しています。

同社は2003年に中国・上海市に海外第1号店を開店して以来、外食文化が根付いている中国を中心にアジアでの店舗展開に注力、順調に店舗数を増やしています。この勢いはコロナ禍でもとどまることなく、2021年8月期では中国3都市(上海、広州、北京)中心に、アジアで前期末比48店増の476店を計画しています。

同業他社が大量の店舗閉鎖に追い込まれているなか、強固な財務体質で海外成長の再加速を目指す同社に注目です。

2022年8月期のV字回復に期待

人々の行動制限やソーシャルディスタンス確保のため客席数を減少させた影響で、2021年8月期第1四半期(9−11月)の営業利益は前年同期比で80.4%減と大きく落ち込んだものの、3.7億円の黒字を確保しました。これは海外での利益13.8億円が貢献し、国内での9.3億円の営業損失をカバーした結果です。

第2四半期(12−2月)は緊急事態宣言の再発令の影響もあり、13.8億円の営業損失が見込まれています。しかし、新型コロナワクチン接種開始による行動制限緩和や海外での出店増による利益貢献度のさらなる高まりといった期待材料もあり、下期(3−8月)で8.3億円の黒字転換が想定されています。2021年8月期通期では営業損失は1.8億円と厳しさを残すものの、来期の営業利益は57.8億円とV字回復が期待されています(いずれも市場予想)。

低価格かつ美味しさへの挑戦を続け、外食産業の勝ち組に

リーズナブルな価格と美味しさの提供で人々の期待に応え続ける「サイゼリヤ」。新型コロナが社会に厳しい影響を及ぼすなか、魅力的な価格やテイクアウトメニューを強みに同業他社との差を広げています。海外での成長戦略も再加速させ、業績拡大にも期待がかかります。食を通した社会貢献に挑戦している同社を、これからも応援していきたいですね。

2021年3月号では、伊藤忠テクノソリューションズとワークマンが除外となりました。
伊藤忠テクノソリューションズは、携帯電話料金の見直しなどから、5G関連の設備投資効率化が志向され、同社の案件受注の伸び率が減速する可能性を懸念しました。
また、ワークマンは既存店月次売上高が前年同月比でやや減速傾向となり、「#ワークマン女子」など新業態店の本格拡大までに一時的な踊り場ができる可能性を懸念しました。
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