ジム・ロジャーズ お金の新常識

今日からお金賢者になれる「1分書評」/ 日興フロッギー編集部

親日家でもある世界的投資家がコロナ後の経済と投資の心得を指南! 世界情勢を知るとともにロジャーズ式「投資につながる時事の読み方」を同時に学べる本でもあります。

投資の成功で大切なのは「何もしないで待つ時間」

ジム・ロジャーズはジョージ・ソロスやウォーレン・バフェットと並び世界三大投資家と称されています。バフェットとの大きな違いはアメリカ株を買わないことでしょうか。

「安いものを買うのが何より好き」というロジャーズは「高すぎるアメリカ株」ではなく「誰も投資しないロシア株(この10年ほど最高値から半減したままの状態!)」に魅力を感じるといいます。

その投資原則は「街でパニックが起きている時は買いどき」「みんなが高揚して大胆になっている時は売りどき」とシンプル。

コロナ禍こそチャンス! と見るのは多くの投資家同様ですが、利益を出した際のアドバイスもまた身に沁みます。「もっと買える! まだ買える!」となりがちな素人に「何もするな! いったん他のことを考えなさい」とロジャーズは言います。

ゲームに参加していたいのは投資家の性だと認めつつ「成功者ほど何もしないで待つ時間が長い」。経験から出た至言でしょう。

本書は、コロナ後の日本や世界情勢(米中の対立はもちろん、あまり語る人の多くない北朝鮮への期待まで)にも詳しく、トレーダーならではの視点がそこかしこに。

氏いわく、今の日本株で唯一(?)投資価値があるのは「農業セクター」。「過疎地の農地なら無料のような安さ」ゆえ「今、農業を始めれば15年後には大儲けできるかもしれない」と本気の興味もうかがえました。

だからといって、「買うなら農業関連ね!」とわかったつもりで飛びついてはいけません。「ジム・ロジャーズが言っているからという理由で株を買ってはいけない」とバッサリ斬られますよ。

本書で繰り返されるのも自分の頭で考えること、自分の知っているものにしか投資をしないこと。これは「投資に限らず、人生全般について言えることだ」とも。なるほど、確かに。ひるがえって投資の本質を再認識させられる一冊でもありました。