今の社会動向や投資環境をもとに旬な銘柄を毎月選定している「日興ストラテジー・セレクション」。5月号の新規採用銘柄は「マクアケ」です! マクアケの事業内容や投資ポイントをチェックして、これからの銘柄選びの参考にしてはいかがでしょうか。
事業者と消費者のニーズをマッチ! 「マクアケ」
今回仲間入りした「 マクアケ 」は、購入型CF(クラウドファンディング)のプラットフォーム「Makuake」を運営している会社です。
2013年に「株式会社サイバーエージェント・クラウドファンディング」として創業し、「Makuake」を提供開始した同社。これまで、さまざまな自治体や金融機関・事業会社と連携しながら、多くの事業者の物づくりや資金調達、販路拡大などのビジネスサポートをしています。
2017年に現在の社名に変更、2019年にはCF業界で唯一の上場企業となるなど、同社自身も新しい展開の幕開けを次々と実現しています。
人気高まる「新しい買い物の形」
CFは、簡単に言うと、事業者などが新たなプロジェクトの実現を目指して広く一般から資金を調達する方法のひとつです。CFにはいくつかのタイプがありますが、そのうち購入型CFは、プロジェクトに賛同して資金を提供した支援者が、支援金の見返りとして実現した製品やサービスを受け取ることができます。
「面白いアイデアや優れた技術等を用いたモノやサービスを世に生み出したい」という事業者の呼びかけを見て、自分が欲しいと思えばお金を出して作ってもらう。この仕組みは、新しい買い物の形として消費者の人気が高まっています。
とくに、自分の趣味嗜好に合った商品を誰よりも早く手に入れられる特別感や事業者(プロジェクト実行者)と直接つながる連帯感は、2000年以降に成人となったミレニアル世代を中心とする新たな消費傾向とマッチしています。
この傾向を受け、事業者側の購入型CFの活用目的も変わってきています。かつてはベンチャー企業が資金調達をする場として広く利用されていた購入型CF。しかし、最近では消費者やバイヤーの反応をいち早くつかみ、コストをかけずに効果的なマーケティングが実現できる場として、積極的に活用する大手企業も増えてきています。
このように購入型CFの存在感は増してきており、同社が運営する「Makuake」サイト上での決済総額、会員数も右肩上がりに増加しています。
サポート事業強化で購入型CFとしての地位を強固に
購入型CFとしての同社の強みの1つが、「Makuake」利用者およびデビューした製品・サービスに対するサポートです。
2021年2月26日時点で、創出された商品を販売取次するEC(電子商取引)サイトの「Makuakeストア」や実店舗の「Makuake SHOP」を、全国で9店舗展開しています。
また、2021年1月には世界最大級の購入型CFを手掛けるIndiegogo(米国)と提携し、欧米への販路拡大サポート体制も整えています。ほかにも、これまで蓄積してきたプロジェクト実現のデータを分析し、次のヒット製品・サービス創出につながる助言の展開なども想定し、サポート体制の強化に注力しています。
様々な面でサポートを強化することで、新製品・サービスをデビューさせる場としてますます強固になる「Makuake」の地位向上に期待がかかります。
今後も大幅増収増益が続く見込み
消費傾向の変化の波にうまく乗っている同社。コロナ禍によるオンラインショッピングの増加や、ニューノーマルな社会に対応した商機創出の動きもあって、2020年9月期の売上高は32.25億円(前期比139.9%増)、営業利益は5.10億円(同308.5%増)と大幅増収増益となりました。
採用の強化や認知度向上に向けたテレビCMやWEB/アプリ広告の増加など、中長期成長戦略を進めている同社。この一環で先行投資を実施したことや、市場では巣ごもり関連銘柄の調整もあったことなどから、株価の上昇は一服しています。
ただ市場予想では、2021年9期の売上高は56.11億円(74.0%増)、営業利益7.45億円(46.1%増)、2022年9期も売上高84.73億円(51.0%増)、営業利益10.58億円(42.0%増)と連続増収増益見込み。これらの状況を鑑みると、現状は押し目買いのタイミングと言えるかもしれません。
時代の波に乗り、盤石な地位を築く同社に注目
購入型CFのプラットフォーム「Makuake」を運営する「マクアケ」。消費者と事業者の双方にメリットがある購入型CFは、新しい買い物の形として市場規模が急速に拡大しています。
その波にうまく乗ると共に、デビューする製品・サービスの販路を提供するなど独自のサポート体制で利用者を増やしている同社。次々と”幕開け”する製品・サービスと共に、同社の活躍を見守っていきたいですね。
業績は堅調に推移しているものの、昨年の巣ごもり需要の反動減が懸念される局面となるなか、5G時代の成長を担うとみるネットワークコンテンツにおいて、新たなヒットタイトルを創出できていない点を考慮しました。