客数×宿泊料! 両面で上昇が期待できる「ホテル業界」

データから見つかる! 困ったときの投資アイデア/ 日興フロッギー編集部岡田 丈

新型コロナウイルスのワクチン接種が加速し、徐々に経済正常化への期待が高まっています。今回は、客数の増加と宿泊料金の上昇という2つの面で業績改善が可能な、ホテル関連銘柄に注目してご紹介します。

アメリカではレジャー関連の物価が上昇

一般的な市場経済では、需要が供給を上回ると価格が上昇します。経済の正常化で先行している米国では、レジャー需要が高まり、レンタカー代や航空運賃、ホテル宿泊費などの価格が大きく上昇しています。日本でもワクチン接種が進めば、同様の物価上昇が予想され、関連業界の業績改善に期待が高まりそうです。

ただし、リベンジ消費で旅行ニーズが急増しても、簡単に価格に転嫁できないのが新幹線などの電車運賃。運賃を変更するには国土交通大臣の認可が必要であり、利用客増の数的なメリットに限定されそうです。一方、ホテルやパッケージ旅行商品などは、需給次第で柔軟な価格の変更が可能です。

「客数」と「宿泊料金」の両面で恩恵アップ!

コロナ禍での緊急事態宣言や、インバウンド客の“消滅”によって、ホテル業界は苦境に立たされています。足元の国内リゾートホテルの稼働率は、20%台にとどまっています。

しかし、今後は「ワクチン接種を終えた高齢者のリベンジ旅行」→「Go To トラベルの再開」→「訪日外国人の復活」といった、短期から中長期までの需要増加シナリオがそろい、将来的に需給がひっ迫する可能性があります。宿泊客の数が増え、宿泊料も値上げすることができれば、その積(=掛け算)である売上は、大幅な増加が見込まれます。

また、ホテル系J-REITも投資の機会がありそうです。固定賃料契約により、価格上昇の恩恵が受けられない物件を一部所有しているケースはありますが、ヒルトンなど国際ブランドのホテル物件を所有しているREITは魅力的と言えるでしょう。

変異株による新型コロナウイルスの感染拡大は懸念されるものの、職域接種も始まり、ワクチン接種は粛々と進んでいます。また、経済活動正常化に関連する企業の株価はさほど崩れていないことを踏まえると、将来的な人流回復への期待は続きそうです。業績改善が期待されるホテル業界に注目してみてはいかがでしょうか。

ABホテル
西武HD
帝国ホテル
星野リゾート・リート
大江戸温泉リート
森トラスト・ホテルリート
ジャパン・ホテル・リート