テレビや新聞で取り上げられたニュースの裏側を解説する本連載「ニュースの裏事情」。今回は、新型ゲーム機やiPhone新モデルの情報をきっかけに再び注目を集める、有機ELに関するニュースの裏側についてご紹介します。
有機EL関連が買われる
「 任天堂 」は7月6日、家庭用ゲーム機「Nintendo Switch」の有機ELディスプレイ搭載モデルを10月8日(金)に発売すると発表しました。材料としてはややインパクトに欠け、翌7日は軟地合い下で反落スタート。
一方で、「 ケミプロ化成 」が急騰、「 保土谷化学工業 」が続伸と有機EL関連の一角が買われました。
最近は米アップルの新型iPhoneに関するうわさもあります。新型iPhoneは有機ELディスプレイ搭載とされ、既に中国パネル大手が供給に向けた投資を加速しているとの話が聞かれます。
また、新型iPhoneをきっかけに他社デバイスでも有機ELの採用が広がり、有機ELディスプレイパネルの出荷数が増加する期待があります。iPhoneの新モデルは例年9月上旬~中旬に発表されています。
黒字化・増益の動き
ケミプロ化成は有機EL材料の開発を行っていることから、iPhone報道に真っ先に反応する銘柄の1つ。有機EL材料は現在育成中のビジネスで、現在はようやく研究開発段階から脱し、早期黒字化に向けて販売ルートを構築しています。
保土谷化学工業も有機EL材料を手掛けています。スマートフォン向けディスプレイの液晶から有機ELへの切り替え需要を取り込み、前3月期は87%営業増益で着地。子会社では有機EL材料をPCR診断キット用材料としても展開しています。
関連銘柄では「 フルヤ金属 」も注目。足元では有機EL向けの化合物の受注が好調に推移しており、4月時点で2021年6月期の営業利益を期初予想の45億円から79億5000万円(前の期比2.1倍)へと大幅に上方修正しています。株価は4月高値(1万200円)から3割調整を入れたところです。
秋に出る新型「Nintendo Switch」や、新型iPhoneの発売に向けて、有機ELは楽しみなテーマの1つと言えそうですね。
(出典:日本証券新聞)