世界シェア1位! ニッチな市場をガッチリつかむ企業セット

株はテーマで斬れ!/ 日興フロッギー編集部山口 洋佑

「ものづくり大国日本」と聞くと、思い浮かべるのはやっぱり自動車や機械が多いのではないでしょうか。実はこれ以外にも、日本には世界トップの企業がたくさんあります。意外な分野で、世界を制した日本の企業をみてみましょう。

意外な地域でウィッグ・カツラがバカ売れ中!【カネカ】

世界のなかで、ウィッグ(カツラ)が欠かせないアイテムとなっている地域があります。実はアフリカでは、ウィッグが大流行しています。アフリカは、髪質がカールの人が多いため、ウィッグをつかって別の髪型を楽しむのです。

そんなアフリカ市場で50%以上ものシェアを獲得し、世界でもトップを維持しつづけている会社が「 カネカ 」です。カネカは、人間の髪にかぎりなく近いタンパク繊維を、世界で初めて開発しました。この製品がすぐれているところは、ほかの合成繊維と異なり、燃えにくい点。おかげで、料理などの家事も安心してできるようになりました。また、これまでの合成繊維ではできなかった、ヘアアイロンでのカールセットもできるようになりました。

地球上最後の巨大マーケット、「最後のフロンティア」として注目されるアフリカ。そんな魅力的な地域のニーズをガッチリつかんだカネカの今後が楽しみです。

紫外線からお肌を守る! 微粒子酸化チタンで世界一【テイカ】

これからの季節に欠かせない日焼け止めですが、金属の粉から作られているのをご存知ですか? 実は多くの日焼け止めには「微粒子酸化チタン」が入っています。紫外線を遮断し、透明性も高い、魔法のような金属です。

この微粒子酸化チタンで世界シェアトップを誇るのは、「 テイカ 」です。1951年から酸化チタンの製造を開始し、独自の技術を蓄積してきました。酸化チタンの粒子の大きさや形状を工夫することで、この分野の発展をリードしてきました。しかも、微粒子酸化チタンのすごいところは紫外線カットにとどまりません。無毒性、安定性、耐久性に優れており、自動車の塗料やカラーコピー機のトナー、プラスチック、ゴム、繊維と幅広い製品に使われています。

現在テイカは、新技術も開発中。たとえば、化粧崩れの原因となる皮脂を今まで以上に吸着できるパウダーを作っています。長年蓄積してきた技術を駆使して、どんな新製品を生み出してくれるのかわくわくします。

高級ヘルメット界の王者! 世界シェア50%以上【SHOEI】

一流レーサー達のヘルメットに記されている「 SHOEI 」の文字。世界がトップブランドと認める日本の会社で、世界の高級ヘルメット市場の50%以上のシェアを占めています。

SHOEI は、MotoGPやスーパーバイク選手権をはじめ、モトクロスやトライアルなどで活躍する世界のライダー約50人と契約。その中には2016年のMotoGPチャンピオン、マルク・マルケスも名を連ねます。世界のライダーにとって、SHOEIのヘルメットを持つことが誇りでありステータスなのです。レーシング分野だけはありません。SHOEIは、特殊な専門分野向けのヘルメットも製造しています。自衛隊向けに航空機用や戦車用、警察向けに白バイ用のヘルメットを提供しているのです。

そんなSHOEIのこだわりは、Made In Japan。日本メーカーの最高素材を使用し、国内の工場で一貫生産しています。日本でつくられたヘルメットが、MotoGPのレースや航空自衛隊といった世界の極限の現場で活躍しているなんて嬉しいですね。今後も日本の技術で世界の人の命を守ってくれることでしょう。

倍率100万倍のミクロのエース!【日本電子】

科学技術の進歩を支える大事な研究ツールの1つに、電子顕微鏡があります。約100万倍と、なんと原子レベルまで拡大して観察が可能できます。小学校の理科の授業で使っていた光学顕微鏡の最大倍率は約1000倍ですから、あのさらに約1000倍というわけです。

この電子顕微鏡で世界のトップは、「 日本電子 」。さまざまな世界的な研究で活用されています。たとえば「はやぶさ」。人類で初めて、月よりも遠い天体から地表の物質を回収することに成功した小惑星探査機です。この宇宙から持ち帰った微粒子を分析したのも、日本電子の電子顕微鏡なのです。

量産型電子顕微鏡を世界で初めて開発し、研究者の「見える」世界を広げ続けてきた日本電子。世界の研究者が求める製品をつくり続ける日本電子から目が離せません。

ディープなワイン好きなら知っている? リンゴ酸で世界シェアトップ【扶桑化学工業】

リンゴ酸というのはご存じですか? リンゴやブドウに多く含まれる成分です。爽やかな酸味があり、ワインにも含まれていて風味を大きく左右すると言われています。

このリンゴ酸の製造で世界一のシェアを誇るのが「 扶桑化学工業 」です。世界シェアは約5割。リンゴ酸、クエン酸といった果実にたくさん含まれる「果実酸」の、世界で唯一の総合メーカーです。扶桑化学工業がリンゴ酸を作り始めたのは1962年。最初はジュースの酸味料としてでした。そこから50年以上たった現在は、果実酸の用途は、化粧品、農業、精密産業にまで広がっています。たとえば、土壌改良剤。果実酸が含まれる液体を土にかけると、トマトの糖度やカルシウムがアップすることがわかっています。また、海苔の養殖でも重宝されています。海苔に付着した雑菌をとる効果があるのです。

今年の秋には、リンゴ酸を一貫して生産できる設備が着工予定。扶桑化学工業のさらなる競争力の強化が期待できそうです。

いかがでしたか? 普段は気に留めることもない分野にも、世界一の日本企業が隠れています。知る人ぞ知る市場で、しっかりと戦う企業を応援してみるのもいいかもしれません。

今回のテーマで取り上げた上場企業

カネカ
テイカ
SHOEI
日本電子
扶桑化学工業
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