追い風吹く医療データビジネスで最高益更新! JMDC

ここが狙い目! 日興ストラテジー・セレクション/ 日興フロッギー編集部岡田 丈

今の社会動向や投資環境をもとに旬な銘柄を毎月選定している「日興ストラテジー・セレクション」。8月号では医療データビジネスを手がける「JMDC」が新規に選定されました! JMDCの投資ポイントをチェックして、これからの銘柄選びの参考にしてはいかがでしょうか。

持続可能なヘルスケアシステムの構築を目指す「JMDC」

少子高齢化が進み、人口構造が変化している日本。2025年には、約800万人いる団塊の世代が75歳以上になり、後期高齢者入りすることをご存じでしょうか。

公的医療保険では75歳から後期高齢者と区分され、それまで2割だった医療費の自己負担割合が1割に下がります(一定の年収以下の場合)。視点を変えれば、社会保障からの給付額が増えることになります。

高齢化による疾病リスク拡大、しかも団塊の世代が後期高齢者入りすることから、医療費の増大が予測されています。そして国民医療制度の持続性を保つための対策が求められています。

この「2025年問題」をはじめ、数々のヘルスケア課題に取り組んでいるのが、今回仲間入りした医療統計データサービス会社の「 JMDC 」です。

業界トップクラスのデータ量が強み

同社が展開する事業は、「ヘルスビッグデータ」「遠隔医療」「調剤薬局支援」の3つ。なかでも強みとするのが、売上の約6割を占める「ヘルスビッグデータ」です。これは、レセプト(診療報酬明細書)や処方履歴、健康診断結果などの膨大な医療データを収集・匿名加工および解析、有用なサービスに変換、提供する事業です。

同社は業界トップクラスのレセプトデータ量を保有しています。データ収集元として同社と契約する健康保険組合は274組合、加入者数は930万人(2021年4月末現在)にのぼります。その数は、全ての健康保険組合加入者の約3.1人に1人をカバーしている計算になります。

同社が提供するデータは、大きく「インダストリー向け(製薬会社・生損保会社など)」「保険者・生活者向け(健康保険組合・自治体など)」「医療提供者向け(医療機関・薬局など)」の3つに分けられます。

各事業者はJMDCよりデータを購入することで、新たな薬の開発や治験、保険商品の開発、あるいは健康診断の勧奨といった医療費抑制の施策などにデータを活用することができます。高齢化の進行、生活習慣病の増大などが追い風となり、レセプトデータの利活用ニーズは高まっています。

医療データ業界のリーディングカンパニーへ

レセプトデータ以外の医療データ種類の拡充も強化しています。2020年には、 2月に医療機関や医療従事者データに強みを持つ「ミーカンパニー」、 10月に学会情報データを手掛ける「医薬情報ネット」、11月に医薬品データを展開する「データインデックス」を次々と子会社化しました。

業界最高水準のデータ量に加え、データ種類拡充によるサービス付加価値向上の効果もあって、2021年3月期はインダストリー向け上位5顧客の平均取引額が前期比28.2%増加。多様な医療データで、将来的に他社が模倣できないサービスを提供できる業界内のリーディングカンパニーになるかもしれませんね。

連続最高益更新を見込む

業績も好調です。新型コロナ禍にあった2021年3月期は、対面営業の抑制、患者の来院控えに伴う医療機関の投資抑制等のマイナス要因もあったものの、営業利益は36.95 億円(前期比66.8%増)と最高益を更新しました。

この背景には、医療DX(デジタルトランスフォーメーション)化によるインダストリー向けでデータ利活用が伸長したことや、アプリケーション開発、データによる業務改善システム開発などの付加価値の高いサービスが順調に立ち上がってきていることが挙げられます。

また、健康保険組合員対象の健康増進・重症化予防サービス需要の順調な高まりや、薬剤データや医療機関へのサービス拡充による、医療提供者向け収益の成長も寄与しています。

今後も医療DX化の進展とともに、医療データの利活用ニーズは拡大が見込まれます。市場予想では、2022年3月期の営業利益は48.00億円(29.9%増)、2023年3月期は63.10億円(31.5%増)と、連続で最高益更新が見込まれています。

医療ビッグデータの力で社会に有益な価値を提供

膨大な医療データを収集・解析し、高付加価値を付けたサービスを提供する「JMDC」。業界トップクラスのレセプトデータ量やデータ種類の拡充を強みに、取引額を増加させています。

人口構造の変化や医療DX化などによる医療データニーズ拡大という追い風も受けながら、さまざまなヘルスケア課題に取り組む同社を応援していきたいですね。

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