酸素装置など「在宅療養」関連に注目

ニュースの裏事情/ 日本証券新聞

テレビや新聞で取り上げられたニュースの裏側を解説する本連載「ニュースの裏事情」。今回は、「在宅療養」に関するニュースの裏側についてご紹介します。

拡大が見込まれる「在宅療養」

政府は8月2日、新型コロナウイルス感染症の医療提供体制に関する関係閣僚会議を開催しました。

首都圏を中心に全国で急激なスピードで感染が拡大する中、重症患者や重症化リスクの高い人以外の感染者については、在宅療養を基本とする方針を示しました

具体的には、パルスオキシメーター(血中酸素濃度計)を配布し、身近な地域の診療所が往診やオンライン診療などによって、患者の状況を把握できるようにするとのこと。

そのため、往診の診療報酬を拡充する予定です。また、家庭内感染のおそれがある場合には、健康管理体制を強化したホテルを活用します。

さらに、入院・死亡リスクを7割減らすとされる「 中外製薬 」の治療薬「ロナプリーブ」を、50歳代以上や基礎疾患のある人に積極的に投与し、在宅患者も含めた取り組みを進める予定です。

なお、日本経済新聞の報道によれば、都道府県が確保したコロナ病床は7月下旬で3万6000床で、東京都などで病床がひっ迫した1月から上積みできたのは8000床のみとのこと。

酸素関連装置や遠隔診療などに注目

これを受けて、医療用ガス大手の「 星医療酸器 」が8月3日にストップ高となりました。5月に付けた年初来高値(4050円)を更新。

同社は病院向けの医療用ガスの供給のほか、在宅酸素事業を展開しています。在宅酸素供給装置など機器レンタルから病院の指示による代行業務、専任スタッフによる家庭訪問など、在宅酸素療法を包括的にサポートしています。

今3月期業績は売上高120億円(前期比1.6%増)、営業利益14億7000万円(同2.3%増)と前期に続く増収増益の見通し。足元では24時間サービス体制を持続できる人材の確保と育成を進めています。

医療用電子機器メーカーの「 フクダ電子 」も、酸素濃縮装置を使用した在宅酸素療法サポートサービスを展開します。

同社は各都道府県に少なくとも1ヵ所以上の営業拠点を置き、地域密着型の在宅医療サービス網を敷いています。7月末に発表した今3月期第1四半期(4~6月)決算では、営業利益41億9500万円(前年同期比79.5%増)と好実態が確認されたばかりです。

パルスオキシメーターの製造・販売を行う「 小池酸素工業 」や「 コニカミノルタ 」なども関連銘柄として注目される可能性があります。

このほか、在宅医療関連で代表格の「 エムスリー 」、医療分野で画像処理技術を提供する「 イメージ ワン 」、在宅医療支援サービスを全国の医療機関向けに提供する「 オプティム 」なども注目が集まりそうです。

・イメージワン(2667)は記事執筆時点で、金融証券取引所の日々公表銘柄に指定されています。

(出典:日本証券新聞)