制限緩和で「旅行・飲食・イベント」関連に追い風か

カエル先生の株式相場プレイバック/ 日興フロッギー編集部平松 慶

マーケットの「温度感」がわかる連載「カエル先生のマーケットハイライト」。今回は行動制限の緩和で恩恵を受けそうな業種について解説します!

カエル先生の一言

菅首相の総裁選不出馬報道により、新政権に対する期待などから3万円台を回復した日経平均株価。一方で海外では中国の不動産会社の債務問題などがリスクとして意識されており、両手を挙げては喜びづらい相場展開が続いています。そんな中、10月からの行動制限緩和が追い風となる企業に、株式マーケットの注目が集まりつつあります。

9月は次期政権への期待から3万円台回復

9月30日の日経平均株価は2万9452円となり、前月末比1363円高でした。

9月3日に菅首相の総裁選不出馬が伝わったことで、次期政権の経済政策期待から日経平均株価は上昇。約5ヵ月ぶりに3万円台を回復しました。また、9月14日には1999年8月以来となる「十一陽連(11日連続陽線)」を記録し、約31年ぶりの高値を更新。

ただ、中国不動産大手・恒大集団の債務問題をめぐる警戒感から、一時株価が急落する場面も見られました。

脱「緊急事態」が追い風へ

次期政権への期待と同時に、株式市場で下支え要因となっているのが緊急事態宣言の解除などによる行動制限の緩和です。

9月28日に菅首相(当時)は、東京や大阪など19の都道府県に出している緊急事態宣言と、8つの県に適用しているまん延防止等重点措置について、30日の期限をもって、すべて解除することを決め、発表しました。

感染が再拡大することを防ぐために、行動制限の緩和は徐々に行われる見通しですが、飲食店での酒類の提供や、営業時間の拡大など、外食や観光業にとってようやく追い風が吹き始めることとなりそうです。

制限緩和で「旅行・飲食・イベント」関連に注目

また、地域によってはワクチン接種歴などを条件に、さらなる行動制限の緩和を検討する方向で調整しており、関連企業の業績にも影響を及ぼしそうです。

そこで今回は、こうした制限緩和による追い風を受けそうな、旅行・飲食・イベント関連の企業をご紹介します。

旅行関連は紅葉シーズンも支援材料に

これまで控えていたけれど、感染対策を継続しながらのニーズが高まりそうな行動として、まず「旅行」が挙げられます。特に10月〜11月は紅葉の時期とも重なり、行楽地では賑わいを見せるのではないでしょうか。

関連企業としては、航空大手の「 ANA HD 」や「 日本航空 」が挙げられます。

また、安く予約するのに欠かせない旅行サイトを運営する「 エアトリ 」や「 オープンドア 」などにも、すでに株式市場では注目が集まっています。

「そろそろ外食も」に応える飲食産業

感染対策を講じながら、酒類の提供や営業時間の拡大で恩恵を受けるのが、外食を中心とした飲食産業です。

コロナ禍でも最高益を更新する見込み(会社予想)のスシローを運営する「 FOOD & LIFE COMPANY 」や、英国風パブを展開する「 ハブ 」、磯丸水産などを運営する「 クリエイト・レストランツ・ホールディングス 」、最近トリキバーガーなど新業態もチャレンジしている「 鳥貴族HD 」などが挙げられます。

リアルイベントも底打ち感あり!?

また、日頃の娯楽として欠かせない音楽やスポーツ業界も、大規模イベントの自粛などで大きな影響を受けてきました。まだ100%収容などは難しいと見られますが、足元では少しずつリアルイベントも計画されており、イベントを手掛ける企業にも追い風が吹きそうです。

企業としては、チケット販売を展開する「 ぴあ 」や、音響・映像設備を手掛ける「 ヒビノ 」、リアルとデジタルで展示を企画する「 博展 」、イベント企画大手の「 TOW 」等が挙げられます。

まだまだ予断を許さない新型コロナウイルスの感染状況。次の波や新しい型の流行に備える必要もあります。しかし、ワクチン接種が進展したことから、経済との両立をしっかりと見据えていく段階に入りました。

目先は、最悪期を脱して「リスタート」する企業に注目していきたいですね。