今の社会動向や投資環境をもとに旬な銘柄を毎月選定している「日興ストラテジー・セレクション」。10月号では産業廃棄物処理・リサイクル事業を展開している「ダイセキ」が新規に選定されました! ダイセキの投資ポイントをチェックして、これからの銘柄選びの参考にしてはいかがでしょうか。
資源リサイクルで持続可能な地球環境に貢献! 「ダイセキ」
着なくなった衣服を売買したり、古家を買ってリフォームしたり――。人々の行動は「使えるものを再利用・再活用する」方向へ変化してきています。
このように「限りある資源の有効活用」は世界経済全体でも重要なテーマ。実は産業界ではより大きな規模で、資源を有効活用する循環型社会への取り組みが進められています。今回仲間入りした「 ダイセキ 」は、この循環型社会のなかで活躍が期待される注目企業です。
30種以上のゴミが資源に! 技術のルーツは「朝鮮戦争」
ダイセキは、中部地方を地盤に全国6拠点で産業廃棄物処理・リサイクル事業を展開しています。国内の産業廃棄物処理を手掛ける業者数は約20万と数多くありますが、そのなかでも同社は液状廃棄物の中間処理・リサイクル最大手。
その事業内容は、廃棄物の処理にとどまらず、廃棄物からリサイクル資源を取り出し、産業界への還元までを実現しています。
たとえば廃油は「燃料」へ、汚泥は「セメント原料」へ。廃水は油分を分離して燃料へ、さらに銅やニッケルなど有用な「金属かす」を取り出します。他にも廃棄物の性質に応じて回収できる再資源としてはアンモニアやヨウ素などあり、リサイクル資源の種類は30種類以上にのぼります。
そもそも、同社は1945年に菜種油の製造に乗り出し、油脂精製業として創業しました。1950年の朝鮮戦争により石油・ガソリンの需要が増加した際、油の性質に関するノウハウを活かして廃油を潤滑油や工作油として再生する事業を開始。これが、リサイクル事業のきっかけです。
長年にわたる産業廃棄物処理・リサイクルで培った高い技術力に強みを持つ同社は、独自のリサイクル設備も活かして業界トップの座に君臨しています。
環境意識の向上でビジネスチャンスが拡大
社会的な環境意識の高まりを背景に、メーカー各社は新しい資源の利用を最小限にとどめ、使用済み資源・再生資源の循環を念頭に製品を製造する方向へ動いています。
これにより、従来は「資源→生産→消費→廃棄」と資源から廃棄まで一方通行だった経済システムは、「資源→生産→消費→リサイクル(資源再生)→生産……」と循環する経済システムへの移行が進められています。
この動きは、同社にとって強い追い風となっています。メーカー自身は資源のリサイクル・再生産を行わず、産業廃棄物処理・リサイクル業者に業務委託します。
しかし、高度なリサイクル技術が必要で、中小・零細企業では対応が難しいケースがほとんどです。そのため、同社のように高い技術力を持つ企業への業務委託が集中しているのです。
今後もメーカーの資源有効活用ニーズはますます増えることが予想され、同社にとってはビジネスチャンスの拡大が見込まれます。
業績拡大ポテンシャルとともに中長期的な成長に期待
コロナ禍で顧客企業の工場稼働率が落ちた2021年2月期は、営業利益が102億円(前期比5.7%減)と減益になったものの、資源有効活用の高まりを背景に、同社の業績は製造業の生産活動を示す鉱工業生産指数を大きく上回って推移しています。
市場予想(QUICKコンセンサス予想)では、2022年2月期の営業利益は122億円(19.3%増)、2023年2月期には135億円(10.3%増)と、連続で最高益更新を続ける見通しです。
環境省によると、産業廃棄物中間処理の市場規模は国内だけで約2.2兆円あります。同社は2018年に策定した長期経営ビジョン「VISION2030」のなかで、2031年2月期連結売上高1500億円、営業利益250億円の達成を掲げていますが、市場規模からしても計画達成はもちろん、中長期的な成長期待にワクワクしますね。
循環型社会のキーマンとして欠かせない存在に
長年培ったノウハウを活かした高い技術力と独自のリサイクル設備を強みに、産業廃棄物処理・リサイクル事業の最大手として活躍しているダイセキ。環境意識が高まるなか、産業界からのニーズに応えられる数少ない企業としてビジネスチャンスは広がっています。
今後ますます進行する循環型社会の要として成長を続ける同社を注目していきたいですね。