高成長が続くグローバルニッチトップ企業に注目

データから見つかる! 困ったときの投資アイデア/ 日興フロッギー編集部岡田 丈

2020年6月に経済産業省が選定した「グローバルニッチトップ企業100選」。そのうち、上場している45社は市場平均を上回る増益率、株価パフォーマンスが続いています。そこで今回は45社のなかから、今・来年度に増益が予想される11銘柄に注目してご紹介します。

ニッチ分野で高成長を見込む日本企業

ニッチトップ戦略は、大企業がターゲットとしないような小さな市場(ニッチ分野)で、自社の強みを活かして差別化を図り、シェア1位を狙うというもの。市場での存在感が高まれば、安定して収益を確保しやすいのがメリットです。

経済産業省は、世界のニッチ分野で勝ち抜いている企業や、サプライチェーンにおいて重要性が高い部材・素材等を手がける優良な企業をグローバルニッチトップ(GNT)企業として選定しています。

選定企業は全部門で113社(このうち13社は、前回(2013年度)に引き続いての受賞)。各社が提供する製品・サービスは、各々のニッチ分野において平均で世界シェア43.4%を誇っています。さらに、世界市場規模は選定時から5〜10年後に平均2.21倍の高成長が見込まれています。

TOPIXを上回る株価、利益水準が続く

GNT113社のうち、上場企業は45社(以下、GNT45)あります。GNT45とTOPIXに採用されている各銘柄の2014年度(14年4月期~15年3月期)における営業利益を100として単純平均し、1社当たりの推移をみると、増益率の平均は2017年以降GNT45が上回っています。

また、2014年初を100としたGNT45の平均株価とTOPIXは、2021年9月10日時点でGNT45がTOPIXを大きく上回って(アウトパフォームして)います。GNT企業は、特定分野で独自の強みを発揮し、ライバルを寄せ付けない地位を築いていると言えます。

2期連続で増益を見込む11銘柄に注目

GNT45から、実績及びQUICKコンセンサス予想において、今年度(2021年4月期~2022年3月期)来年度(2022年4月期~2023年3月期)ともに営業利益が10%以上の増益、かつ経常利益、純利益の増益が見込まれる11銘柄をご紹介します。

ねじ切り工具を手がける「 OSG 」は、欧州で自動車向けが好調、またアジアで中国を中心に半導体や電子部品関連の需要が旺盛でした。特に2021年3−5月は、「めねじ」加工を行うタップの売上高が四半期として過去最高となり、業績はコロナ禍前の2019年度9−11月期を超える水準となりました。

「圧入」をベースとした無公害建設工事を推進する「 技研製作所 」は、土木工事における“インプラント工法”のパイオニア。この工法をパッケージ提案し、ブラジル、米国、中国など海外での受注が拡大しています。中長期的には、減災、防災、老朽化した社会インフラ整備関連需要増が国内だけでなく、欧米アジアなど海外でも追い風になることが期待できます。

医療機器製品を手がける「 朝日インテック 」は、8月13日に新中期経営計画「ASAHI Going Beyond 1000」を発表しました。カテーテル関連を伸ばし、センサーを活用した器具など新製品の投入で、2026年6月期の売上高を1100億円(2021年度は615億円)、売上高営業利益率は23〜25%(同20.8%)を目指していきます。

イビデン 」は、2022年3月期4−6 月において、サーバー向け半導体の高需要を背景に、主力のICパッケージ基板が好伸。通期では、大垣中央事業場の新ライン量産開始が寄与する見込みです。また、河間事業場の建て替えが23年度に竣工予定で、高機能ICパッケージ基盤の量産を計画しています。

このように、普段なじみのない分野にも、世界トップの実力を誇る日本企業は隠れています。知る人ぞ知る、ニッチな市場で活躍する企業に注目してみてはいかがでしょうか。

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