原油が7年ぶりの高値! インフレ時代を生き抜く投資とは

カエル先生の株式相場プレイバック/ 日興フロッギー編集部平松 慶

マーケットの「温度感」がわかる連載「カエル先生のマーケットハイライト」。今回は原油をはじめとした資源高の時代を生き抜く投資法について解説します!

カエル先生の一言

原油などをはじめとする資源は、日々価格が上下します。足元では原油生産国がなかなか増産に動かないことなどから、原油価格が7年ぶりの水準にまで上昇しています。すでに私たちの身の回りでも「燃料コストの上昇」として影響が出始めています。投資でできる「インフレ対策」を今回は紐解いていきます。

10月は資源価格上昇が重しに

10月29日の日経平均株価は2万8892円となり、前月末比560円安でした。
国内の新型コロナウイルス感染者の減少が、経済正常化につながるとの思惑から、株価は底堅く推移しました。

ただ、中国不動産会社の債務問題や、米国の債務上限問題などが引き続き投資家心理を冷やしたほか、資源価格の上昇が相場の重しとなりました。

原油価格の上昇は、ガソリン価格や冬場の暖房燃料価格の上昇にもつながり、個人消費が冷え込むリスクとして懸念されています。

原油価格は7年ぶりの高さ

10月8日にWTI原油先物価格は80ドル/バレルを突破しました。これは約7年ぶりの水準で、国内ではガソリン価格の高騰や暖房燃料コストの増加につながりつつあります。

さらにこの冬はラニーニャ現象などにより、厳冬が予想されています。単価も使用量も増えるとなれば、燃料コストの高騰が家計を圧迫し、個人消費を下押しする可能性もありそうです。

カエル先生の一言

身近なところでは、クリーニング店などでボイラーを動かす重油が値上がりし、石油から作られる溶剤も値上がりしています。また、タクシー会社では燃料となるLPガスの価格が上昇しており、収益を圧迫しているとのことです。他人事ではなくなってきましたね。

WTIは100ドルの可能性も?

この資源高の状況は、世界銀行の見通しによれば、2022年まで続く可能性があるとのこと。また、一部報道ではWTI原油先物価格が100ドル/バレルに達する可能性も指摘されていて、「一時的なインフレ」で終わらないリスクが懸念されています。

背景には、石油を生産する国々で構成される石油輸出国機構(OPEC)加盟国や、非加盟国のロシアなどが、なかなか増産に動かないことが挙げられます。

また、米国でも環境への配慮などを理由に、投資や原油増産の動きが鈍く、供給量が限定されていることなどが原油価格を押し上げています。

インフレの影響を緩和させる投資法2つ

日本国内では賃金がほとんど変わらない状況が続いていますが、そんな中での資源インフレに、私たちはどう対処したら良いでしょうか。

実は投資を活用することで、インフレの影響を軽減させる方法が2つあります。

1つ目は資源価格そのものに投資をする方法です。と言っても、実物の金やプラチナを購入するのは防犯の面から考えてもコストがかかりますので、資源価格に連動するETFを持つのが一番シンプルな方法と言えます。

原油や金、プラチナ、銀の価格に連動するETFで日興フロッギーから買えるのは全部で下記6種類あります。
NEXT FUNDS NOMURA 原油インデックス連動型上場投信
WTI原油価格連動型上場投信
NEXT FUNDS 金価格連動型上場投信
純金上場信託(現物国内保管型)
純プラチナ上場信託(現物国内保管型)
純銀上場信託(現物国内保管型)

資源インフレを追い風にする会社

2つ目は資源価格の上昇が業績アップにつながっている企業に投資することです。

例えば、鉄鋼用の石炭である「原料炭」の生産量世界最大規模の炭鉱権益を持つ「 三菱商事 」や、原油の生産権益量で商社の中でトップを誇る「 三井物産 」、穀物で商社トップクラスの「 丸紅 」など総合商社が挙げられます。

さらには、原油・ガス開発生産国内トップの「 INPEX 」や、国内の天然ガス田操業を担う「 石油資源開発 」、金・銅・ニッケルなど非鉄金属の大手「 住友金属鉱山 」なども資源高が追い風となります。

また、そうした資源株にまとめて投資ができるETF「 グローバルX メタルビジネス-日本株式 ETF 」などもありますので、併せてチェックしたいところです。

もちろん資源価格が下落すれば、上記のETF価格や企業の株価も下落する可能性が高いと言えます。また、投機的な値動きになることもありますので、投資を検討する際には十分に注意する必要があります。