緑の『モンダミン』と人気を二分する、あの商品【後編】

なぜ売れ続ける? 担当社員が語る、あの企業の定番商品/ 日興フロッギー編集部CHINATSU

1987年に誕生し、日本の洗口液ブランドのトップを走ってきた『モンダミン』。「すべての世代のお口のすべての悩みの解決」をモットーに、展開数はいまや50以上!

「お口、クチュ、クチュ。モンダミン〜」の30年以上の歴史から今後のブランド戦略まで、アース製薬マーケティング総合企画本部の北口明宏さんと村田陽子さんにご解説頂いた。
必ず普及する! 『モンダミン』先見の明【前編】を読む

洗口液で虫歯予防の承認を取る難しさ

――2015年に発売した『モンダミン プレミアムケア』が好調ですね。ロングセラーの『モンダミン ペパーミント』と人気を二分し、既にコンビニの常連でもあります。

村田さん
こちらは『モンダミン』の技術の集大成ともいえる商品なんです。医薬部外品で虫歯予防や歯肉炎予防、出血予防などモンダミン史上最多の7つの効果を謳っていますが、それぞれ表記に至るまでは簡単な道のりではありませんでした。

例えば、虫歯予防の効果はブラッシングが必要な歯磨き粉や液体ハミガキであれば承認をとりやすいですが、洗口液はエビデンスが少ない分、なかなか難しい。

洗口液の効能として「虫歯予防」を取得する検討は97年頃からスタートしました。様々なエビデンスデータを準備し、「虫歯予防」の承認を得られたのは2005年。

その後、歯肉炎予防や出血予防など7つの効果を謳えるようになるまで数々の段階を踏み、ようやく実現できたのが『モンダミン プレミアムケア』です。

『モンダミン プレミアムケア』 虫歯予防、歯肉炎予防など7つの効果がある

なお、昔からの定番の『モンダミン ペパーミント』の主要購買層が50、60代であるのに対し、『モンダミン プレミアムケア』の購買層はやや若年よりです。

洗口液は種類がありすぎてどれを選んでいいかわからないというお客様もいらっしゃる中、「これ1本でいい!」というわかりやすさも選ばれている理由だと思います。

北口さん
ゴールドの洗口液やパッケージも良かったんでしょうね。何か効きそうな感じがするという(笑)。

村田さん
カラーをどうするかも議論になりましたね。様々な効能が備わったプレミアム感を醸し出すには「シルバーや青の方がいいんじゃないか」という声も出る中、最終的にゴールドに決まった経緯があります。

――洗口液でも色のブームといったものはあるのでしょうか。

北口さん
以前は緑や青が中心でしたが、最近は変わってきていますね。他社さんの商品には白いボトルで液体色を一切見せないパッケージも多いです。

『モンダミン』でも今は透明ボトルと不透明の白いボトルの両方を展開していますけれど、有効成分によっては光を通さないよう遮光した方がいいものもある。

もちろん、白ボトルの全てが遮光対策というわけではありませんが。『モンダミン ペパーミント』に関しては、誕生当時から緑の透明ボトルですのでブランドの象徴として外せないカラーではありますね。

マーケティング総合企画本部 北口明宏さん

3歳頃から要介護まで、全ての年代に応える『モンダミン』のラインナップ

――洗口液市場やブランドの未来を担う層ということで、キッズラインの展開や啓発活動にも精力的です。

村田さん
お口クチュクチュは3歳頃からできるため、その年齢のお子さまを対象にした 『モンダミンKid’s』を展開しています。

いちご味やぶどう味があり、本当にジュースのような味なので「美味しい。もっとクチュクチュしたい」というお子さんは多いですね(笑)。

小中学生向けの『モンダミンJr.』もあり、こちらはミント感とまではいきませんが、やや爽やかさをアップさせた味になっています。

やはり、子どもの頃から習慣としてずっと使い続けて頂けるブランドに育てたい。大人になる前の橋渡しとしてラインナップを揃えています。

マーケティング総合企画本部 村田陽子さん

北口さん
キッズラインは2012年に発売しましたが、啓発活動の一環として『モンダミンキッズ体操』というものも作りました。

昨年この体操もパパイヤ鈴木さんの振り付けで一新し、啓発のために、全国の幼稚園を訪れて、子どもたちと一緒に踊ったりもしているんです(笑)。

――ターゲットがすべての年代であるだけに、『ヘルパータスケ』シリーズの口腔ケアだったり、バスクリンと共同開発した『薬用洗口液』など介護・高齢化社会を見据えた商品も相次いで発売されていますね。

北口さん
どちらも2019年に販売を開始したものです。『ヘルパータスケ』は介護で頑張る方を応援する介護用品ブランドで『モンダミン うるおうドライケア』はその中の一つ。

「歯茎の状態が悪い方、歯ブラシを使用できない状態の方もいる」など介護側の声にお応えすべく開発した商品で、保湿成分を配合したしっとりとろみのあるタイプになっています。

高齢になるにつれ、口の筋肉は衰えますし、唾液が減るためにドライマウスにもなりやすいんです。自分でクチュクチュするのが難しい状態の方に向け、スプレータイプの商品も展開していますね。

一方、『バスクリン 薬用洗口液』はシニア層に向けた通信販売限定のものです。

モンダミンで培ってきたアース製薬の洗口液の技術と、生薬の研究・知見が豊富なバスクリン社の技術を組み合わせた、グループ会社だからこそ実現できたシナジー効果のたまものです。

タイでは独自の「モンダミン カワイイ」シリーズも

――近年、アース製薬は海外戦略を強化中ですが、『モンダミン』はタイでも好調ですね。日本とは違う独自のラインナップも展開しているそうで。

北口さん
アジアの中で日本の次に洗口液市場が大きいのがタイなんです。『モンダミン』の輸入販売そのものは以前から細々と行っていましたが、2019年に市場の成長を見据え、本格展開に踏み切りました。

一部日本との商品共有もありますが、基本は現地に向けた独自の商品開発です。

国によって味の好みは変わってくるようで、甘めのものであったり、ミックスフルーツ味など日本にはない香味も多い。日本語の『カワイイ』という名称で展開している商品もあり、パッケージにはカタカナでの表記もしていますね。

タイでは独自に『カワイイ』シリーズなどを展開。10タイプの商品のラインナップがある

最終的にはクチュクチュするだけでお口の健康を守りたい

――洗口液市場の拡がりもあり、『モンダミン』は社内でもプライオリティの高いブランドです。今後の中長期的な目標をお聞かせ願えますか。

北口さん
虫ケア用品で有名になったアース製薬ですが、現在、目指しているのは感染症予防のトータルカンパニー。『モンダミン』はコロナ禍での注目もありましたし、虫ケア用品のように季節や天候に左右されることもありません。

会社からの期待も大きいですから、担当者としてプレッシャーは感じています。お口の状態がさまざまな病気につながることもわかってきている中、『モンダミン』ですべての世代のお口の悩みを解決したいと思っています。

すべての世代のすべてのお口の悩みを解決したい『モンダミン』

究極的な話をしますと、クチュクチュするだけの『モンダミン』さえ続けていれば「虫歯にならないし、お口の健康も守れる」といえるものを開発したいんです。

洗口液ならすすぐだけなので、例えば災害時の衛生対策にも重宝する。いつであろうと、どこであろうと、お客様のお口の健康を守り、ひいては身体全体の健康を守っていく。その実現が「モンダミン」の最終目標かなと思っています。

日本人の洗口液の使用比率は約35%ですが、それを限りなく100%に近づけること。使用率はまだまだ上がると思っていますので、現在、使われていない方に向け、少しずつ違った切り口の商品提案や啓発を続けていきたいですね。

アース製薬