金融バブル崩壊 危機はチャンスに変わる

今日からお金賢者になれる「1分書評」/ 日興フロッギー編集部

今のバブル株高はいつ崩れてもおかしくないーー。長期投資のパイオニアが市場に警鐘を鳴らしつつ、過去のバブル史からその仕組みを分析。暴落に備え、いかに危機をチャンスに変えていくかを戦略的に学ぶ本です。

バブルと距離を置き、応援投資でひと財産を築く法

コロナ禍において株価はダダ下がりどころか、実体経済にそぐわない高値を続けています。膨らむ利益にほくそ笑む反面、一抹の不安を感じる時もある。そんなあなたにとって少し怖い本です。

現在のバブル株高は「世界中のマネーが行き場を求めて金融商品に群がっているだけ」。感染症のパニックによって「もとの問題が見えづらくなっているだけ」だとも。

日本や欧州はコロナ以前に、マイナス金利という人類未体験ゾーンに手を出しています。どういうゾーンかというと「借金をした方が得!」という世界で、北欧では「借り手に利息が振り込まれた」こともあったのだとか。

さすがに日本ではないものの、国力を示すともされる肝心のGDPは減速中というありさまです。

著者はこの経済停滞をドキリとするような形で斬ります。

原因の一つは行き過ぎた「株主利益の最大化」だと。株価を上げたいなら設備や人件費を削り、利益を上げるのが手っ取り早い。が、その裏で非正規雇用が増え、低所得化が進み、個人消費は伸び悩む。

市場がこの悪循環を生み出しているのではないか、と言います。

このように、本書の大半は「危機意識を持ちなさい」「本質を見極めなさい」の方向で進みますが、煽って終わりではありません。バブル株高から距離を置く投資法も載っています。

①まずは「絶対になくなってほしくない」企業を探すこと。②けれど、決してすぐに買わないこと。③暴落相場に入り、みんなが売りに走った時に「応援買い」に出ること。④上がり出したら「応援は任せる」とばかり、少しずつ利益を確定すること。

要するに、バブル株は狙わず生活者視点で応援投資をすればリスクは少ない。「5年〜7年くらいで2倍になればいい」のスタンスなら、まずまずの財産が築けるとも(著者自身、この方法論でまずまず以上の財産を築いていますね)。

インデックスファンド花盛りのなかでアクティブ運用の復活に触れているのも本書の特色。蒼白になりそうな話も多い反面、株に対して謙虚な気持ちになれる本でもあります。