PERで読み解くモスフードサービス

月曜日はPERをトコトン!/ 日興フロッギー編集部クリッペ

PER(株価収益率)は会社の利益と株価の関係を表す投資指標の1つです。

株価を1株あたり利益(EPS)で割ることで計算でき、一般的には10倍、15倍というように倍率で表され、倍率が高くなれば「会社の利益に対して株価が高くなっている」ことを表し、割高と判断されます。反対に低くなれば割安と判断します。

PER=株価÷1株あたり利益(EPS)
(もしくは、時価総額÷当期純利益)

withコロナに沿った施策でキャッチアップ!

新型コロナウイルスの影響で、一時的に業績が落ち込んだ企業でも、withコロナにおける対策をしっかりと講じることで、すでに2019年の水準を回復している外食産業もあります。

業績が落ち込んだ分、実績ベースのPERなどが割高に見えることもありますが、それが本当に「割高」かどうかは、企業の対応策やその効果などをきちんと見極める必要があります。

case62:モスフードサービス

今回ご紹介するのは、「おいしさ」にこだわった数々のハンバーガーを提供する「 モスフードサービス 」です。

子どもも大好きなあの「テリヤキバーガー」を初めて開発・販売したのは実は同社なんです。

国内外に1721店舗もの店舗を展開。海外では台湾などを中心に443店舗を展開しており、さらなる海外展開も視野に入れています(2021年11月末時点)。

PERに割高感も、徐々に業績は回復

同社の2021年3月期の実績PERは97.9倍とやや割高感を感じます。この背景としてはほかの外食産業と同様に、昨年度は新型コロナウイルス流行の影響があったためです。

一時休業や営業時間の短縮などが発生し、店内での飲食も限定されたため、売上や利益を圧迫する結果となりました。

しかし、足元ではデリバリーやドライブスルーの売上が増加。2021年4−9月期の売上高や営業利益などは、すべて前期・前々期を上回るほど回復しました。

withコロナへの対応ぞくぞく

新型コロナウイルスの影響で中期経営計画をいったん取り下げた同社ですが、withコロナにおけるテイクアウト需要に応える施策を相次いで打ち出しています。

たとえばテイクアウト専門店の設置を進めたり、25坪以下の小型店舗を設置するなど、新たなニーズへ柔軟に対応しています。

また、ネット注文においてはネット決済を基本とすることで、接触機会の減少や、スムーズな商品の受け渡しを実現しています。こうした取り組みが底堅い業績につながっていると考えられます。

魅力的な優待

一方で、PERで見た割高感が出ても下がりにくい株価の背景には、魅力的な株主優待の存在があるのかもしれません。

同社では保有株数に応じて年間2000円以上の優待券がもらえます。家の近くにあったり、ちょくちょく利用する「ファン」にとって、優待はうれしいサービスの1つと言えます。

<PERの読み解き方3ヵ条>
①これからの業績を考える
②会社の人気度を考える
③投資家の心理を考える

今回は、①②からモスフードサービスを見てきました。コロナの影響で一時的にPERに割高感が見られた同社。しかし、withコロナ時代に合った店舗施策などにより、業績はしばらく底堅い状況が続きそうです。

徐々に業績が回復することで、PERの割高感も解消されるかもしれませんね。

本記事は、PERを解説するものであり、素材として取り上げた企業への投資を推奨するものではありません。