みなさんこんにちは! 公認会計士、税理士の山田真哉です。今回は、2022年に大改正されるiDeCoについて、お話しします。この改正で、今までiDeCoに入れなかった会社員の方も加入できるようになるなど、よりお得な制度に変わりますので、ぜひ最後までチェックしていただければと思います。
iDeCoは「個人型確定拠出年金」というものなんですが、ようは自分で作る年金制度のことです。自分で掛金を決めて、投資信託などを購入して運用し、その掛金と運用益の合計額を給付金として受け取ることができます。
iDeCoのメリット
まずは改めて、iDeCoのメリットから見ていきましょう。
2.運用している間の利益は非課税
3.受取時は退職金or年金扱いで、税金が安い
4.いざというときの「生命保険」代わりになる
メリットの1つ目は、掛金の15%~55%が減税になる点です。iDeCoの掛金は、全額所得控除になり、いわゆる「経費」のようなイメージで所得から減らすことができます。所得には、所得税と住民税がかかるんですが、最低でも15%、所得が増えると税率も上がり、最高で55%になります。なので、iDeCoの掛金が「経費」として所得から減らせれば、結果的に所得税と住民税も減ります。
仮に、所得税と住民税の税率が合計で30%の人が、月々2.3万円拠出しているとしましょう。そうすると、年間の拠出額は27.6万円(2.3万円×12ヵ月)になりますね。これが全額所得控除になるので、27.6万円に税率30%をかけて、8万2800円の減税になります。
みなさんの所得によって変わりますが、税率が高くなるほど、iDeCoの減税効果も高くなるわけですね。
実際には、会社員の方は年末調整で、個人事業主の方は確定申告で『小規模企業共済等掛金控除』の欄に、その年のiDeCoの掛金額を記入すれば、自動的に税金が安くなります。ようは「税金のキャッシュバック」というわけですね。
2つ目は、iDeCoで運用している間に出た利益が非課税になる点です。投資をして得られた配当金や売却益などの利益には、通常20.315%の税金がかかるんですが、iDeCoならこの税金はかかりません。この点は、ちょっとNISAに似ていますね。
そして3つ目は、受け取りです。受け取り時に一括を選ぶと退職金扱い、分割払いにすると年金扱いとなるので、税金が通常より安くなります。そして一括と分割を併用する、併給というのもOKです。
それから4つ目は、これは意外とあまり知られていないのですが、いざというときの「生命保険」代わりになる点です。iDeCoに加入していた人が亡くなった場合、死亡一時金として、iDeCoの掛金を遺族が受け取れます。これは加入者が60歳になっていなくても大丈夫です。死亡一時金は、原則遺族に相続税がかかりますが、法定相続人1人あたり500万円までは非課税です(みなし相続財産として、退職金などと合計して法定相続人1人あたり500万円まで非課税となります)。
また、自分自身が障がい者になった場合(身体障がい者の1級から3級、精神障がい者保険福祉手帳の1級から3級などの場合)、障がい給付金として、一括、分割もしくは併給で、iDeCoで積み立てた部分を受け取ることができます。
この障がい給付金は非課税なので、いくら戻ってきても税金はかかりません。 そして当然、掛金がそのまま戻ってくるわけではなく、iDeCoで運用した後の最終金額で戻ってきます。運用が上手くいったらかなり増えて返ってくるわけですね。
生命保険は、いくら払っても税金的に節税効果となる『生命保険料控除』の上限は年4万円です。一方、iDeCoは上限があるものの、払った全額が控除になるので、これは大きな違いだと思います。
2022年4月から、iDeCoが変わります!
そんなiDeCoですが、これから3つの改正が予定されています。
【5月】加入年齢が64歳までに広がる
【10月】企業年金のある会社員の制限がなくなる
まずは4月。iDeCoの年金を受給し始める年齢が広がります。これまでは60歳から70歳の間までだったんですが、60歳から75歳に広がります。
そして5月から、iDeCoに加入できる年齢も広がります。これまで20歳から59歳までだったのが、60歳から64歳の方も、国民年金被保険者であれば加入できるようになります。これにより、掛金の拠出も65歳まで可能になります(例外として専業主婦(夫)の方は、いろいろ条件をクリアすれば対象となります)。
ここまでの話で「えっ、自分には関係ないじゃん」って思った30代、40代、50代のみなさん、じつはこれ、大きな改正なんです。
たとえば僕の場合、現在45歳で月々2.3万円をiDeCoに拠出しているんですが、60歳まで、あと15年拠出し続けると、トータルの拠出額は414万円です。その頃まで仕事を頑張って続けて、税率30%のままでいられるとしたら、拠出額414万円に対して税率30%をかけて、124.2万円の減税になります。
それが65歳まで、あと20年続けられるとなると、トータルの拠出額は552万円になり、それに税率30%をかけて、165.6万円の節税効果になるんじゃないかという計算ができます。
この例は、あくまでも取らぬ狸の皮算用なんですけど、iDeCoを長く続けられるのは、節税メリットが大きいです。
それから、10月から企業年金がある会社員の加入制限がなくなります。これまでは「労使で協定を結んでいないとだめ」とか「企業型DCの方で入っている掛金を上回っちゃいけない」とか、いろんなルールがあったんですね。
ところが、もう今回はそれも無くしましょう、ということになりました。企業型年金に加入している人も、自由にiDeCoを始められます。ただし、上限は他の加入者の方よりは少なくて、上限月1.2万円~2万円となります。この金額は、会社によって違うので、ぜひご自身の会社の方で確かめてみてください。
iDeCoの注意点
最後に、iDeCoの注意点についてもお伝えします。
2.投資リスク
3.掛金の上限がある
4.手数料がかかる
まず、原則60歳になるまでiDeCoに預けたお金は引き出すことができません。運用している投資信託などを売ったり買ったりと、途中で入れ替えることはできますが、引き出すことはできません。それから、あくまでも投資なので、運用している商品が値下がりするなど、投資リスクがないとは言い切れません。
さらに、毎月の掛金にも上限があります。自営業の方は6.8万円、会社員は2.3万円、企業年金がある方だと2万円、もしくは1.2万円になります。ただ、最低金額は月5000円からなので、「今年はお金がない……」というときは、掛ける金額を調整して続けることは可能です。
また、もともと非課税の方や扶養されている側の人がiDeCoに入る場合、節税メリットはなくなります。もともとiDeCoの大きなメリットとして、掛金の15%~55%が減税になるんですが、もともと税率が0の人は、このメリットがないということですね。ただ、iDeCoは年ごとに減税のメリットを受けられるシステムなので、今は非課税でも、将来的に課税になる可能性があるなら、今iDeCoに入っても損ではないかもしれません。
そしてiDeCoは、どこの銀行、証券会社でも手数料が発生します。加入時に2,829円、運用中は最低でも月々171円発生します。ただ、僕がiDeCoを始めたころは、月300~400円払っていましたから、今は良くなった方じゃないかと思います。
というわけで、iDeCoについて、ざっくりとお話ししました。注意点もありますが、2022年は法改正もあり、iDeCoを始めやすい環境になってきていると思います。実際にiDeCoを始めたら、どれくらい値段が上がったり、下がったりするんだろう……と気になった方は、ぜひ僕の過去の記事や動画も参考にしてみてください!
それでは今回はこのへんで! ば~いば~い!