今の社会動向や投資環境をもとに旬な銘柄を毎月選定している「日興ストラテジー・セレクション」。2月号では世界的エンタメ企業の「スクウェア・エニックス・HD」が新規に選定されました! 早速、スクウェア・エニックス・HDの投資ポイントをチェックしてみましょう。
世界の人々にゲームで喜びと感動を「スクウェア・エニックス・HD」
2021年の東京五輪開会式では、数々の日本のゲーム音楽とともに各国選手団が入場行進をしたことを覚えている方も多いことでしょう。
ゲームファンはもちろん、国内外の多くの人々に嬉しい驚きと感動を与えたイベントの幕開けを飾ったのが、2021年に35周年を迎えた「ドラゴンクエスト」の曲です。次いで演奏されたのが、全世界で累計1億6400万本以上(2021年10月4日時点)の出荷・ダウンロード販売を誇る「ファイナルファンタジー」。実はどちらも今回仲間入りした「 スクウェア・エニックス・HD 」が世に送り出したシリーズです。
同社は主にゲームソフト等の企画、開発、販売をしている日本有数のエンタメ企業。前述シリーズのほか、「トゥームレイダー」「キングダム ハーツ」など、世界的に人気の高い有力コンテンツを多数保有しています。
2022年以降は有力タイトル豊作の年に
現在、同社は新作「ファイナルファンタジー XVI」や「ドラゴンクエスト XII」を開発中。過去にはこれらの新作発売時に量販店に長蛇の列ができるという社会現象にもなりました。
これらは独自の世界観で楽しむロールプレイングゲーム(ストーリー性があり、キャラクターの成長を楽しむゲーム)です。一度プレイすると、新たなストーリーを求めて新作を入手したいファンを虜にしてしまいます。実際、前作「ファイナルファンタジーXV」「ドラゴンクエスト XI」が発売された2016年から2017年にかけて、同社の業績も堅調に推移しました。
2022年以降、これらの主力タイトルを中心として続々と有力タイトルの発売が見込まれています。ファンならずとも、同社の業績アップに高い期待がかかりますね。
大型タイトル以外でも利益の底上げが進む
大型タイトルの新作ヒットは業績に大きなインパクトがあるものの、数年おきの発売ということもあり業績への影響は短期的というのも事実です。そこで大型タイトル以外の同社事業にも目を向けてみましょう。
近年、同社は短期的な売上増大に左右されない収益基盤を整え、利益の底上げを進めています。例えば、主力のデジタルエンタテインメント事業で行っている、オンラインゲームやモバイルゲームなど、サブスクリプション(定額制サービス)等の新たな手法でのゲーム提供です。
また、コミック雑誌、コミック単行本、ゲーム関連書籍などの出版事業では紙媒体の書籍に加え、デジタルコミック、マンガアプリなどデジタル媒体でも提供することで、継続的なキャッシュが生み出され、業績に貢献しています。
22年3月期、23年3月期は連続最高益更新に期待
2021年3月期には、「ファイナルファンタジーVII リメイク」「Marvel’s Avengers(アベンジャーズ)」の発売が大きく貢献し、営業利益は472億円(前期比44.2%増)と過去最高益を達成した同社。業績の好調ぶりを見せています。
その反動もあって2022年3月期上期(4−9月)は 営業利益291億円(同7.9%減)となりましたが、市場では、2022年3月期通期で544億円(前期比15.3%増)、2023年3月期には588億円(8.0%増)と最高益更新が継続すると見込んでいます。
これは、2022年以降に有力タイトルのリリースが続くことが背景にあります。加えて、2021年3月期の決算発表の際に公表された中期業績目標も注目されます。同目標では開発費やマーケティングの効率化による売上高営業利益率の改善や、2024年3月期に営業利益600億~750億円を目指しており、目標の達成に向け業績が拡大することが期待されます。
また、世界のゲーム市場はPC、スマートフォンなどゲーム機器の多様化やサブスクリプション、ストリーミング(インターネットを通じた配信)などゲーム提供方法の広がりなどを背景に加速度的に拡大傾向にあります。こうした状況からも、同社のさらなる業績拡大に大きな期待がかかりますね。
FFやドラクエとともに世界を飛翔する
有力コンテンツを多数保有し、世界中のゲームファンを楽しませてくれている「スクウェア・エニックス・HD」。新たなゲーム提供法など収益基盤も整え、利益の底上げも図っています。2022年以降に見込まれているファイナルファンタジーやドラゴンクエストシリーズなど有力タイトルの新作発売に期待しつつ、さらなる業績拡大に取り組む同社を応援し続けたいですね。