株式市場で「海運業」関連銘柄が買われています。QUICKが選定する13銘柄の平均上昇率は9.6%と、大幅安の東証株価指数(TOPIX、2.0%下落)に対して「逆行高」となりました(2月18日までの5営業日の騰落)。今回は、その中でも上昇率の大きい「海運業」関連銘柄をご紹介します!
運賃上昇で業績上方修正が相次ぐ
2月中旬までに出そろった海運各社の2021年4〜12月期決算では、運賃の上昇を主因に2022年3月期の業績予想を上方修正する企業が相次ぎました。海運業関連株には業績拡大を好感した買いが入っています。
海運各社の業績を占ううえで注目される「バルチック海運指数(1985年=1000)」は、2021年10月に5500台まで上昇した後、2022年1月下旬には1300を下回りましたが、足元では2000近辺まで戻しています。
高運賃のスポット貨物獲得で採算改善!【飯野海運】
上昇率1位の「 飯野海運 」は大型原油タンカーや化学製品を運ぶケミカルタンカーなどタンカーを中心に106隻の船舶を運行(2021年6月末現在)しています。2月8日に発表した2021年4〜12月期決算はドライバルク船の運賃上昇や大型原油タンカーの新造船の本格稼働などが貢献し、売上高は前年同期比15%増の760億円となりました。
2022年3月期の業績見通しは売上高が従来予想を50億円上回る1030億円、本業のもうけを示す営業利益は14億円上回る59億円に上方修正しました。ケミカルタンカーで高運賃のスポット貨物の契約を獲得し、採算が改善する見通しです。
変動大きい海運市況を注視、世界経済の動向が焦点に
そのほかにも船舶取得による費用増で2022年3月期は前期比36%の営業減益を見込むものの、1%の増収見通しの「 共栄タンカー 」や船舶の新規稼働などによる外航海運事業の好調で2022年3月期に前期比で12%増収、59%の営業増益を見込む「 明治海運 」にも業績回復を好感した買いが入っています。
なお、上昇率2位の佐渡汽船は、5月6日に上場廃止となる予定です。
「海運業」関連銘柄は、業績が海運市況に左右される側面があるため市況の動向を注視する必要があります。バルチック指数は13年ぶりの水準まで上昇した後、大幅に低下したものの反発しています。また、物流の混乱などを背景にコンテナ船の運賃上昇は長期化するとの指摘も出ています。荷動きは世界経済の動向を映す鏡ともいえ、世界経済の回復がいつまで続くかも焦点です。