最高益更新も! エネルギー高で「総合商社」が上昇

直近の値動きから見るテーマ株/ QUICK

株式市場で「総合商社」が買われています。QUICKが選定する8銘柄の平均上昇率は0.2%と、ウクライナ情勢の混迷で下落が続いた東証株価指数(TOPIX、2.5%下落)に対して「逆行高」となりました(3月11日までの5営業日の騰落)。今回は、その中でも上昇率の大きい「総合商社」を紹介します!

国際商品の総合指数、約8年ぶりの高水準に

ロシアのウクライナ侵攻や経済制裁で供給網が混乱する恐れが強まり、原油や天然ガス、パラジウム、ニッケルなど幅広い資源価格に上昇圧力がかかっています。

また、総合的な値動きを示すリフィニティブ・コアコモディティーCRB指数は3月8日に309と2014年以来ほぼ8年ぶりの水準に上昇。指数を構成する19品目のうち約4割が過去最高値圏で推移しています。

商社は世界中で資源の権益を保有

資源価格や商品市況の上昇によって、国内外の生活にもジワリと影響が出てきています。3月8日には全米のガソリン平均価格が約14年ぶりに最高値を記録。米国の2月の消費者物価指数(CPI)の前年同月比の上昇率は7.9%で、40年ぶりの高水準で推移。また、日本でもガソリン価格の高騰が続き、政府の補助金増額などが話題になっています。

一方、総合商社は世界中で資源の権益を持っており、資源価格の上昇は業績の追い風になります。

石油・天然ガス、銅価格の上昇が追い風!【丸紅】

上昇率首位の丸紅は石油・天然ガスや銅価格の上昇を受けてエネルギーや金属事業が好調です。2月3日に発表した2021年4〜12月期決算はエネルギー事業の営業利益が275億円と前年同期の4.1倍に急増。金属事業は2億円の営業赤字から301億円の大幅な黒字に転換しました。会社全体の営業利益は86%増と好調です。

2022年3月期の業績見通しは、純利益が従来予想を500億円上回る4000億円に上方修正しました。上方修正は2021年11月に続き今期二度目となり、これまで最高だった2019年3月期の2308億円を大きく上回り最高益を更新する見通しです。2〜4月にかけて300億円を上限に自社株買いを実施する方針も発表しました。

天然ガスや金属資源に強み!【三菱商事】

上昇率2位の三菱商事は天然ガスや金属資源、自動車事業などが大幅な増益となり、2月3日に発表した2021年4〜12月期の純利益は前年同期の3.8倍の6447億円に膨らみました。

2022年3月期の純利益の見通しは、従来予想を800億円上回る8200億円に上方修正しました。従来予想でも2019年3月期に記録した最高益の5907億円を上回る見通しでしたが、一段と上振れるもようです。

ウクライナ情勢の影響に警戒感も、資源高の恩恵継続か

そのほか、鉄鉱石、原油の生産権益量が商社断トツの三井物産、繊維や食料などに強い伊藤忠商事、資源では非鉄が軸の住友商事にも資源価格の高騰が追い風になるとの思惑などから買いが入っているようです。

世界で事業展開する総合商社にとってウクライナ情勢やロシアへの経済制裁が業績に悪影響を与えかねないとの警戒感もありますが、市場では資源価格の上昇が追い風になるとの見方が広がっているようです。