ガソリン高でEV人気加速! 「バッテリー」関連株が上昇

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株式市場で「バッテリー」関連銘柄が買われています。QUICKが選定する31銘柄の平均上昇率は6.1%と、海外勢による買い戻しなどで上昇が続いた東証株価指数(TOPIX、4.3%上昇)を上回りました(3月25日までの5営業日の騰落)。今回は、その中でも上昇率の大きい5銘柄とその背景について解説します!

ガソリン価格は家計に大きな負担

米ウォールストリート・ジャーナルは3月23日「ガソリン価格が全米で最高を記録し、原油価格が1バレル100ドルを突破したことで、消費者の電気自動車(EV)やクリーンエネルギーへの関心が高まっている」と報じました。

全米平均のガソリン価格は3月11日に1ガロン(約4リットル)あたり4.33ドルと、1年前に比べ45%(1.35ドル)も上昇しました。車社会である米国では、ガソリン価格の上昇は家計に大きな負担となっています。いくら賃金なども上昇しているとはいえ、ほかの消費に回せるお金が少なくなる家庭も多くなっているのではないでしょうか。

ガソリン車からEVへシフト

ガソリン車に乗り続けるコストが意識された結果、米国では、EV(電気自動車)の購入を検討する人が増えています。45%の人がEVはガソリン車に代わる有力な選択肢になると考えており、40%の人はガソリン車よりEVを買いたいと回答しました(米消費者調査会社ピプルセイの調査より)。

このように、ガソリン価格の上昇を背景に、今まで以上に、EVに対する関心が高まっています。株式市場でも、EVに無くてはならないバッテリーやその材料を製造する関連銘柄が注目されています。

EV向けバッテリーではリチウムイオン二次電池が中核となっており、構成される正極材、負極財、電解液などで多くの日本企業が部材を提供しています。

「二次電池向け正極材」のトップメーカー【住友金属鉱山】

上昇率首位の「 住友金属鉱山 」はEVなどに利用される二次電池向けの正極材で高シェアを誇るトップメーカーです。フィリピンなど東南アジアを中心に材料となるニッケル鉱山の権益を保有しています。

同社は、2月8日に2022年3月期の純利益見通しを引き上げました。従来予想から340億円上積みし、前期比2.6倍の2480億円に大幅に修正しました。上方修正は2021年11月に続き今期2度目となります。

感光材のノウハウで「高純度電解液」を製造【東洋合成】

上昇率2位の「 東洋合成 」はリチウムイオン電池などの電解液となる「高純度電解液」を製造しています。2013年にはリチウムイオン電池材料などの需要増加を受けて兵庫県に淡路工場を竣工しました。

2022年3月期の業績見通しは、税引き利益が従来予想を4億円上回る前期比19%増の28億円になると予想しています(会社予想)。半導体用や電子材料向け部材なども順調に増える見込みです。

自動車の電動化は政府が推進、電池関連への注目続く

そのほかにもリチウムイオン電池のリサイクル事業を展開する「 DOWAホールディングス 」や電子部品メーカーでありながら世界有数のバッテリーメーカーとしても知られる「 TDK 」、EVなどにリチウムイオン正極材を提供している「 三井金属鉱業 」も買われています。

政府は2050年までに温暖化ガス排出量を実質ゼロにするための対策として2020年に「グリーン成長戦略」を策定しました。「成長が期待される14分野」で「自動車・蓄電池」に関して、「乗用車は2035年までに新車販売で電動車100%を実現」を目標に掲げています。

電動車の普及を促すため2030年までのできるだけ早期に、国内の車載用蓄電池の製造能力を100ギガワット時まで高める目標も掲げており、電池や電池材料を手掛ける企業の活躍が期待されます。次世代電池の「本命」とされる「全固体電池」の開発にも各社が取り組んでおり、電池関連銘柄への注目は続きそうです。